ちょっと待ったぁ!
【ちょっと待ったぁ!】
♂2人 ♀1人 計3人
~10分
かずと ♂
さすけ ♂
ちひろ ♀
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かずと ♂ :
さすけ ♂ :
ちひろ ♀ :
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かずと「マスターもう一杯!」
さすけ「もうやめとけよ・・・」
かずと「うるせぇ!飲まねーとやってらんねぇんだよぉ」
さすけ「いや、店に来て水しか飲まない客とか、迷惑すぎんぞ・・・」
かずと「ちゃんと食ってるよ」
さすけ「食うだけならファミレス行けよ・・・」
かずと「あー。彼女欲しいー」
さすけ「まーた始まった・・・」
かずと「お前だって思うだろ?」
さすけ「こないだ夜景デートとか言ってたじゃん。あれは?」
かずと「・・・あ。あぁ・・・そうそう。デートしたんだよ。もう俺、あいつ一筋って決めたからさっ」
さすけ「いやww直前に彼女欲しいって言ってんじゃねーかww」
かずと「それはあれだ、言葉の綾ってやつだ」
さすけ「へー、綾ちゃんっていうのか」
かずと「お、おう。せやで。可愛い名前やろ?」
さすけ「でもあかんやろ。中学生は流石に・・・」
かずと「いや、なんでやねん!乗ってみたけど乗り切れんわっww」
ちひろ「まーたバカやってる」
かずと「あ、ちひろさん。こんばんは」
さすけ「どもどもー」
ちひろ「マスター、いつものお願い。それで?今日は何の話してるの?」
かずと「いつも通り、このバカが騒いでただけですよ」
さすけ「おいっ、誰がバカだ」
ちひろ「大丈夫よ。馬鹿だけど、そこも面白くて私は好きよ?」
さすけ「えぇ・・・ちひろさんまでそーゆーこと言っちゃいますー?」
かずと「諦めろ。これが現実だ」
さすけ「・・・ますたー、強いのちょうだい」
ちひろ「あーもう。そんなに飲んだら潰れちゃうわよ?」
かずと「ちひろさんこそ、今日はどうしたんですか?」
ちひろ「え?何が?」
さすけ「何が?じゃないですよ。結婚するからもう来れなくなっちゃうね。って言ってたのは誰でしたっけ?」
かずと「指輪・・・どうしたんです?まさか・・・」
ちひろ「違うよ。ちゃんと婚約中。ちゃんと持ってるわよ」
かずと「最後に独身気分を、みたいなことですか?」
ちひろ「ふふっ、そうかもしれないわね」
さすけ「いいですね。じゃあ、今夜は思いっきり楽しまないと」
ちひろ「あら?じゃあ、楽しませて貰っちゃおうかしら?」
さすけ「ええ、勿論!かずとが楽しませてくれますよ」
かずと「俺かよ!?」
さすけ「あれ?自信無いのかー?しょうがないな、じゃあこの俺が」
かずと「はぁ!?そんな事言ってないだろ!」
ちひろ「ぷっ、ははは。やっぱり君たちといる楽しいなぁ」
さすけ「あはは。こいつは馬鹿なだけですよ」
かずと「おいこらっ」
さすけ「ドウドウドウ」
ちひろ「ほんと、仲良いなぁ。・・・羨ましいな」
かずと「・・・何か、ありましたか?」
ちひろ「え?」
かずと「あ・・・いえ、ちょっとそんな気がしただけで・・・」
ちひろ「ふふっ、ありがと。でも大丈夫よ。何もないわ」
さすけ「あ、次何飲みます?一杯奢りますよ」
ちひろ「ほんとっ?じゃあ・・・あっ」
―――電話が鳴る
さすけ「電話、行ってきていいですよ」
ちひろ「・・・ううん、大丈夫」
さすけ「彼から、ですよね?」
ちひろ「大丈夫よ。たぶん仕事終わって、私が居なかったからかけてきただけよ」
かずと「同棲してたんですね」
さすけ「あ、それでもうここには来れないって」
ちひろ「うん。でも今日はいいのよ。あの人も子供じゃないんだしほっといても大丈夫」
さすけ「・・・・・・」
かずと「・・・・・・」
ちひろ「マスター、ギムレットを。奢ってくれるんでしょ?」
さすけ「え、あ。・・・はいっ」
かずと「じゃあマスター、俺も」
さすけ「おい、お前のは奢らないからな?」
かずと「え?だめ?」
さすけ「当たり前だ」
かずと「けちー・・・」
さすけ「はいはい」
ちひろ「・・・あのね、今日は二人に渡したいものがあって来たの」
かずと「渡したいもの?」
ちひろ「私の結婚式の招待状・・・受け取ってもらえるかな?」
さすけ「えっ、あっ、良いんですか?」
ちひろ「私たちの仲でしょ?私の晴れ姿、見てほしいな」
さすけ「ありがとうございます。ビシッ、っと決めて行きますね」
ちひろ「他にも私の友達とかも呼んでるから、良い子見つけてね?」
さすけ「あはは。頑張ります」
ちひろ「かずとくんも。はい」
かずと「・・・はい」
さすけ「かずと?」
ちひろ「あ、嫌だったら別に無理に来なくてもいいからね?」
さすけ「あーこいつ。たぶん酔ってんすよ!」
かずと「・・・・・・」
ちひろ「・・・あ、じゃあ。私はもう行くわね。マスター、ごちそうさま」
さすけ「あ、はいっ!良かったら、また来てくださいね」
ちひろ「そうね。時間作れるように頑張ってみるね」
かずと「はぁ・・・」
さすけ「っ!?生きてたのか」
かずと「はぁ・・・」
さすけ「どうしたよ?」
かずと「ちひろさん・・・ほんとに結婚するんだな・・・」
さすけ「ん?あぁ、前から言ってただろ?」
かずと「はぁ・・・」
さすけ「はいはい・・・。もう諦めろ」
かずと「あー!くっそ!!今日は飲むぞぉ!」
さすけ「ん?俺ももう帰るぞ?」
かずと「なんでだよぉぉぉおおお!」
さすけ「いや、そーなるからだよ・・・」
かずと「・・・俺、祝えないわ」
さすけ「行かないつもりなのか?」
かずと「・・・純白のちひろさん。綺麗なんだろうなぁ・・・」
さすけ「そうだな。それも見ないのか?」
かずと「・・・だってよぉ」
さすけ「あー、もうわかったって。今日は付き合ってやるよ・・・」
さすけ「『おーいかずと?もう式はじまんぞー』っと・・・」
さすけ「結局あいつ・・・こねーのか・・・?」
さすけ「既読すらねぇし・・・電源切ってやがるな・・・。あっ」
さすけ「ちひろさんのウエディングドレス姿・・・。やっぱり綺麗だ・・・」
さすけ「バージンロードをゆっくり歩いて、父親の腕から、旦那さんの腕に移り・・・祭壇の前へ・・・」
さすけ「ドラマならここで『ちょっと待ったぁ!』って人が来たり・・・」
さすけ「うっそぉ!?ほんとに来た!?」
さすけ「えっ!?えっ!?ふたり・・・いや、さん・・・・・・6人!?多すぎない!?」
ちひろ「みんな・・・来てくれるなんて・・・」
さすけ「あ、これ・・・もしかして・・・」
ちひろ「うんっ、私をさらってっ!」
さすけ「着いて行ったぁぁぁああ!?え?マジで!?これってほんとにあるの!?・・・でも、これどうなんの!?6人いたよな・・・?誰と引っ付くんだ・・・?」
さすけ「あーあ・・・会場凄い空気だわ・・・。旦那も呆然として・・・。どーっすかなぁ・・・流石に今出てくわけにはいかねぇよな・・・」
かずと「ちょっと待ったぁぁぁあああ!!!!」
さすけ「はぁっ!?」
かずと「その結婚ちょっと待ったぁぁぁあああ、あ?あれ?・・・ちひろさんは?」
さすけ「おいバカ!何やってんだ!」
かずと「え?いや、その・・・花嫁を奪いに来るって言う・・・」
さすけ「あーもう説明すんものめんどいわっ!言いから出るぞ!空気が辛すぎるから!」
かずと「あっ!ちょっ、引っ張んな!・・・じゃなくてちひろさんは!?」
さすけ「なんか、すみませんでした!前の方とこいつは無関係なんで!じゃ!」
かずと「え?前の方?前の方ってなに!?俺のちひろさんはどこぉぉぉおお!?」