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藤田晋 invitational RTDリーグ

シンプル佐々木vsこねくり翔、開幕戦を制するのは!? RTDリーグ2018セミファイナル1日目レポート

2018.09.09 10:00

9/1(土) 15:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018セミファイナル1日目の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼1回戦:シンプル佐々木vsこねくり翔、開幕戦を制するのは!?▼▼▼

セミファイナルが開幕。予選ポイントを半分にして4日間、各プレイヤー10戦ずつを行い、ファイナル進出者4名を決める。

4位を狙う5、6位につけているのが、開幕戦で激突する佐々木・白鳥だ。

開局、佐々木はいつも通りにまっすぐ攻めた。

2sをポンしてまっすぐにトイトイに向かったオヤの佐々木は、出て跳満、ツモって倍満の超大物手テンパイにたどり着く。

ところが、ここは猿川がリーチツモドラ1の1,000・2,000でかわしていった。

すると、ここから佐々木の打牌が捕まる展開となり、点数をだいぶ減らして迎えた東3局、内川から強烈なオヤリーチが入る。

4m7s7s6mはすべて手出し。変化に富んだ4m6mというカンチャンと、ドラそばの7sをトイツ落とししているからには、好形で打点も伴っているリーチを意識してしまう。

しかし、佐々木はそういったことをあまり気にしない。

当然のようにイーシャンテンから1sを押し、4s7s待ちにたどり着くと、リーチに踏み切った。

この4s7sはかなり薄そうで、なかなかリーチにいきにくく躊躇してしまうが、3,900が8,000になる。それならシンプルにリーチ。それが佐々木流だ。

そして、対局後に佐々木が放った一言に控室中が呆れもしたし、すごいなとも思った。

佐々木「引き算でいくと5枚残ってるんだけど。。。えっ?1枚しか残ってないの?」

引き算というのは、4s7sの全8枚から見えている3枚を引いた5枚が残っているという意味だ。

結果、佐々木が内川の高目を掴んで18,000の放銃となる。

最近、佐々木のこういうシンプルな攻撃が失敗するところをあまり見なかったため、気づかされる。

そりゃあ、こういうこともあるよな。

東3局にして早くも佐々木の点数が箱を割った。


シンプルな佐々木に対し、白鳥は非常に複雑な対応を見せる。

状況に合わせてこねて、作り直して、また壊してと、こねくり回していくのが白鳥である。

勝負所でかかった佐々木のオヤリーチに対し、先にテンパイしていた白鳥は1巡ダマテンにしたものの、すぐにツモ切りリーチといって3,900を佐々木からかすめ取った。

このツモ切りリーチのタイミングは何だったのか。

白鳥「元々、上家と下家は3s6sを持っていなさそうだと思っていました。ただ、トイメンの猿川さんだけは、ソウズホンイツの可能性があったんで、ダマテンにしてたんですよね。ところが、猿川さんの引き気味なリーチへの対応を見ていると、そんなに形がまとまっていなくて、ソウズをそんなに持っていないんじゃないかと思ったんで、リーチにいきました」

佐々木なら、おそらく即リーチなのだろう。

上家と下家が持っていない。それならリーチ。シンプルだ。

ただ、やはり平成のコネ師はこねるのである。

白鳥は、南3局でもこねて見せる。

中バックで6sポンから入っていた白鳥は、中が3枚になる前に役ナシでアガリ形までたどり着いてしまった。

2pが通ったため、ひとまずここから2pを打ってフリテンの片アガリシャンポンに受ける。

すると、ここからが白鳥のショータイム。

まず、中をポンして、いったんアガれない2p単騎に組み替えると、1枚切れの北を持ってくる。

リーチに対して2人とも受けているはずなのに現物の北が切られないのは、ヤマに残っているからではないか。残り5巡あるならここで無スジの3mを勝負する価値はあるとばかりに、白鳥は3mを勝負していった。

しかし、次に引いたドラマタギの9pでは、北を打って9p単騎に受けかえる。打3m時より巡目も1巡消化し、スジも1本分開拓してしまっているため、ここを潮時に線引きした。

このバランス感覚がピタリ。内川が9pを掴んで2,000の直撃となり、トップを決めた。

非常に細いロープを、絶妙なバランスで渡りきる。

こねくり翔のアクロバティックなショーが完遂された。

4位に浮上した白鳥は、「もう終わろう。ここで終わろうぜ。もうやだよ」と、相変わらずのチキンハートでごねていた。


▼▼▼2回戦:リラッ熊の1日▼▼▼

私が会場に着くと、いつも以上にリラックスしている瀬戸熊を見た。

楽しそうに別卓の麻雀を眺め、冗談を飛ばす。

何やら充実ぶりを感じ、「これは瀬戸熊さんの1日になるかもな」と思った。

ところが、そんな私の期待感とは裏腹に、南場に入って瀬戸熊はラス目に甘んじていた。ここで事件が起きる。

「あの」小林が、この手牌から上家の切った白を鳴かなかったのである。

小林「2巡目ならまだ間に合うかなと。点数状況的にも仕掛けた1,000と、リーチの2,600や1,000・2,000とではかなり違うし」

面白い。加えると、普段1枚目から鳴いている小林がこの白を見逃してシャンポンでリーチをかければ、「鳴いてるはず」と打ってくれることも織り込み済みなのである。

小林が仕掛けないならと、仕掛け始めたのはたろう。

こんな手牌で、仕掛けたのは4pポンである。

役は、役牌の重なり期待。それより、このままだとどうせオヤが落ちてしまう。それなら、少しでもプレッシャーをかけておこうというのである。

この仕掛けに丁寧に対応したのが瀬戸熊だった。

仕掛けがなければ、悪くなさそうなカン3sでドラ切りリーチにいく選択肢もあるのだろうが、仕掛けが入っていることが瀬戸熊にテンパイ外しを後押しする。

瀬戸熊は打2sとしてテンパイを外した。

すると、ここから一気に局面が動く。

小林が2枚目の白にはたまらず声をかけてテンパイ。

そこに、4枚目の7mを引き入れた瀬戸熊が襲い掛かった。

続いて、たろう。

どっから持ってきたんだよと言われそうなインチキまがいの役アリテンパイを組んでしまった。

この3者テンパイを制したのは・・・

瀬戸熊がこれまた4枚目の6mをツモって4,000・8,000。

大逆転で初戦をトップで飾った。


▼▼▼3回戦:たろうの豪快なトップと白鳥のピンポイント爆撃▼▼▼

大きく先制したたろうだったが、猿川に倍満が飛び出すなど、南1局に入ったところで猿川に並ばれていた。

しかし、猿川のこの追いかけリーチを振り切り、たろうは勝負所で6,000オールを決める。

これで完全に逃げ切り体制を構築したのだが、唯一トータルでマイナスからのスタートとなっている猿川は、どん欲にトップを目指してオーラスでの連荘を狙う。

タンヤオのテンパイを入れていた猿川がドラの北をツモ切るとロンの声。

思わず猿川の顔がゆがむ強烈な16,000で、白鳥が2着を逆転した。

実は白鳥、4着目の勝又が離れていることもあり、猿川へのピンポイント爆撃を想定していた。

猿川を逆転するためには、倍満ツモか跳満直撃という難易度の高すぎる条件となるため、着順は諦めて北ドラ3で素点を回復するという考え方が一般的だろう。それなら、ここから打つのは9pになりそうだ。

しかし、白鳥は冷静に戦況を見た。トップ必須の猿川は2着で甘んじることなく、オーラスのオヤで絶対に攻めてくる。それなら、跳満直撃もいつもよりしやすいのではないか。

そして、ここから1sを打って跳満の道を残した白鳥は、狙い通り猿川へのピンポイント爆撃を成功させ、2着に滑り込んだというわけなのである。

控室には、ニヤけるのを隠し切れない白鳥がいたので声をかけてみた。

― 今のは大きいね。

白鳥「今のはほんとにめちゃめちゃデカイ。気持ちいい。たぶん(トップの)たろうさんより気持ちいいはず」

そうつぶやいて、しばらくニヤけていた。


▼▼▼4回戦:好調瀬戸熊の落とし穴▼▼▼

初戦をトップで飾った瀬戸熊は、東1局にこのテンパイから6s切りのダマテンを選択した。

確かに5s8sは自分の目から5枚見えているのだが、残り3枚はすべてヤマに残っていてもいいぐらい良さそうに見える。

このダマテンを見た白鳥がたろうに話しかけた。

白鳥「これ、3900で満足できるのすごくないですか?」

たろう「確かに」

3,900で満足できない2人をよそに、瀬戸熊はリーチなら出ていない8sを内川から引き出し、堅実に3,900を加点した。瀬戸熊らしい堅実な仕事ぶりが続く。

その後、佐々木以外の三つ巴でオーラスを迎えたのだが、ここでラス目の佐々木からリーチが入った。

変則的な捨て牌でかかった佐々木のリーチは、ホンイツかチートイツだと予想していた瀬戸熊。1枚切れの西はチートイツなら絶好の狙い目だが、自身も流局時テンパイを目指さなければならないため、西に手をかけた。

すると、これが一発で捕まり、裏も乗って倍満。

まさかのラス転落となってしまった。

一方、このトップで小林にはたろうとともに決勝の当確ランプが点灯したか。


▼▼▼5回戦:草食動物のような勝又の危機察知能力▼▼▼

前回、まさかのラス転落となった瀬戸熊だったが、本日最終戦もトップ争いを演じていた。そんな中、南場のオヤで入ったのがこの大物手。

しかし、直前に切られた6m5m發はすべて手出しであるため、かなり目立っている。

両面ターツ落とし後の自身ですでに切っている安全牌手出しは、チートイツの否定、ターツの十分性、テンパイに近いことのすべてを包み隠さず示唆する。

「ヤバい」

これを敏感に察知して対応したのが勝又だった。

勝又は瀬戸熊の切り出しを見るや、安全に併せ打ちを開始。

そして、危険牌を使い切りながらのチートイツを決めて見せたのだ。

打点こそたったの1,600だが、その裏でつぶれた瀬戸熊の大物手を考えれば、大きすぎる1,600である。

これでオーラスのオヤ番を迎えた勝又は、リーチ一発ツモの2,000オールでトップを決めた。

確かに一発ツモは僥倖だが、たったの2,000オールで届く点差に抑えたたったの1,600は、紛れもなく実力である。

上位2名以外は、かなり平たくなっており、決勝進出メンバーは全く絞れない。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回9/23(日)15時から、準決勝2日目をAbemaTV 麻雀チャンネルにて生放送予定