独高級車、テスラ包囲網 ダイムラーなどEV一斉投入・・・
日本経済新聞
【転載開始】
■独高級車、テスラ包囲網 ダイムラーなどEV一斉投入
【ストックホルム=深尾幸生、シリコンバレー=白石武志】
独ダイムラーは4日、高級車ブランド
「メルセデス・ベンツ」で電気自動車(EV)
市場に本格参入する新モデルを発表した。
アウディやBMWなども2019年にかけEV
を一斉に投入する。
欧州や中国での環境規制強化に対応する
のが表向きの目的。
その裏側には、お膝元の欧州市場で旗艦
モデルの販売台数が米テスラの後じんを
拝していることへの危機感がある。
EV専用ブランド「EQ」の第1弾となる
多目的スポーツ車(SUV)「EQC」の発表の
舞台に選んだのは、環境都市として知られる
スウェーデンのストックホルム。
発表会でディーター・ツェッチェ社長は
「メルセデスの新時代の夜明けだ」と力を
こめた。
ダイムラーはこれまで小型車「スマート」など
でEVを販売したことはあるものの、
いずれも走行距離が短く限られた用途向け
だった。
それに対しEQCは満充電での走行距離は
450キロメートル以上。
2つの電気モーターを搭載し、
5.1秒で時速100キロメートルに達する加速力
を持つ。
シンボルである「スリーポインテッド・スター」
など外観デザインはベンツの高級感を踏襲し
つつ、運転席の大型のディスプレーや
「80%まで充電して」などと声で操作ができる
機能など先進技術を取り入れた。
ツェッチェ社長は「完全パッケージの本当の
メルセデスだ」と述べ、内燃機関を発明し、
自動車産業の盟主として100年以上君臨して
きたダイムラーがEVに「本気」であることを
強調した。
■22年までに10車種以上投入
EQCの価格は19年春に公表するが、
関係者の話をまとめると、
約8万ユーロ(約1040万円)以上のテスラの
SUV「モデルX」よりは安くなりそうだ。
販売担当取締役のブリッタ・ゼーガー取締役
は「ベンツを所有していない新しい顧客を取り
込む」と話す
ダイムラーは22年までに100億ユーロ
(約1兆3千億円)を投資し、10車種以上の
新型EVを発売する計画を掲げる。
EQCは19年夏にまず欧州で発売し、
19年から20年にかけて中国や日本、米国にも
投入する。
EVに注力する理由は欧州や中国で厳しくなる
環境規制だが、もう一つ無視できないのが
テスラの存在だ。
■「S」対決で敗北
歴史的な敗北ともいっていいだろう。
自動車専門誌オートモーティブニュースに
よると、17年の欧州市場でベンツの旗艦車種
「Sクラス」(1万3359台)の販売台数がテスラ
の主力セダン「モデルS」(1万6132台)に初めて
抜かれたのだ。
価格が900万円近いテスラのモデルSは、
先進イメージを武器に欧州でも若い層を中心
に支持を集めている。
世界の高級車市場は長年、ベンツのSクラスや
BMW「7シリーズ」などドイツ勢の牙城だった。
それをテスラが崩したのだ。
ダイムラーとテスラには因縁がある。
ダイムラーは2009年にテスラに約9%出資。
14年には資本関係を解消したが、テスラの
車両設計のベースにはベンツ流があるとされる
など「育ての親」と言っても過言ではない。
高級車市場でテスラに負けることは台数以上
の意味を持つ。
これまでドイツ各社は利幅の大きい上位モデル
で稼いだ利益を原資に技術革新をリードし、
ブランド力を高めてきた。
この方程式が崩れれば、自動運転や電動化など
次世代技術の開発シナリオが狂いかねない。
■アウディ、ポルシェなども続く
ドル箱の高級車市場を食われて困るのは
ほかのドイツ勢も同じだ。
「電動化で高級車メーカーのナンバー1になる」
とぶち上げたアウディは初の量産EVとなる
「eトロン」を今月中旬に米サンフランシスコで発表。
ポルシェも19年に初の市販EV「タイカン」を、
BMWは満充電で700キロメートル走れる「i4」や
SUVの「iX3」を20年に発売する。
3日、ベンツの発表に合わせるかのように
アウディがeトロンの生産をブリュッセルで始めた
ことを発表。
さらに4日にはBMWが21年発売の次世代EV
「iネクスト」の一部画像を先行公開した。
新型EVのアピール合戦の様相を呈している。
■テスラ、欧州工場も
一方、ドイツ勢の包囲網を迎え撃つテスラ。
株式非公開化の計画を3週間足らずで撤回
するなど、経営ではゴタゴタが続く。
新型車「モデル3」の量産が軌道に乗り始めた
米カリフォルニア州の工場は当面は米国向けの
生産が中心となる見込み。
グローバルな車両供給体制が課題となっており、
7月に中国新工場の計画を正式発表したのに
続き、8月の決算説明会では年内に欧州でも
新工場の立地選定を終える方針を示した。
中国と並びEVの主要市場となる欧州でさらに
攻勢をかけようとしている。
ドイツ勢は新型EV攻勢でテスラを退けられる
のか。
業界関係者は「走りや仕上げなど伝統的な評価
ではドイツ車に一日の長がある。しかし、自動
運転機能や車載情報システムのソフトウエアなど、
自動車メーカーが苦手なところをテスラはうまく
やっている」と評価する。
日本車各社も19年にかけて中国を中心に一斉
にEVを投入する。
先行するテスラが品質と生産性を高めるのが
先か、ドイツや日本勢など既存勢力が追いつく
のが先か。
EV大競争時代の号砲が鳴った。
【転載終了】
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現在のところ、高級車と言われる分野での
競争というところのようですね。
日本で言えば、レクサスなど海外生産の
分野でしょうかね。
いずれ、普通車の分野にすそ野が広がって
くるのでしょうが、日本のメーカーは対抗できる
のでしょうか?