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ペットの尿石症 ~再発を予防するには?~

2023.10.15 01:00

ペットの尿石症は非常に多い病気です。特に大人の猫にとても多く見られ、尿石症予防【FLUTD(猫下部尿路疾患)対応】と書かれているフードもたくさん出回っています。
しかし、一口に尿石症と言っても尿石を構成する成分によっていくつかに分けられ、その種類によって予防法や食べてもよいフードが異なることをご存知でしょうか?
今回は尿石症の種類とその予防法をお話します。


尿石症の種類

犬と猫どちらも尿石症になりますが、尿石は構成している成分の種類によって数種類に分けることが出来ます。愛犬・愛猫が尿石症と診断されたら、まず石の種類を確かめましょう。
主なものは下記の6つです。


1、ストラバイト結石
リン酸アンモニウムマグネシウム結石ともいい、若い猫や雌犬によく見られる結石で、ペットの尿石の中で最もよく見られるものです。アルカリ性の尿に出やすく、顕微鏡で見る結晶は立体的な台形のような形をしています。

2、シュウ酸カルシウム結石
ストラバイト結石の次にペットによく見られる結石で、結晶を顕微鏡で見るとピラミッドを2つ張り合わせたような形をしています。高齢の猫によくみられます。

3、尿酸結石
あまり多くは見られませんが、シーズーやミニチュアシュナウザー、ダルメシアンなどある特定の犬種で見られることがあります。結晶は平たい菱形のような形をしています。

4、シスチン結石
結晶は透明な六角形をしていて、ダックスやヨーキーなどにときおり見られます。シスチンとはアミノ酸の一種で、体内では毛や爪の原料となっています。

5、リン酸カルシウム結石
ペットよりも人でよく見られる結石ですが、コッカースパニエルやミニチュアプードルなどでも見られることがあります。

6、シリカ結石
ケイ酸塩結石とも呼ばれ、ゴールデンレトリバーやシェパードなどに出やすいといわれています。


結石ができる原因

尿路結石ができてしまう原因はまだはっきりとは分かっていませんが、結石のできやすさには個体差があることから、何らかの遺伝的体質が関与していると考えられています。また、尿の我慢しすぎや尿の通過障害、細菌性膀胱炎、内分泌疾患、代謝異常などさまざまな要因が引き金になっていると思われます。

どんな種類の結石ができるかは尿のpH(ペーハー:酸性度)に左右され、ストラバイト結石はアルカリ性の尿の時に作られやすく、リン酸カルシウム結石はアルカリと中性の間、シュウ酸カルシウム結石とシリカ結石は中性とアルカリ性の間、尿酸結石とシスチン結石は酸性の尿の時に作られやすいということが分かっています。

尿のpHは主に食べ物によって変化しますが、膀胱炎で尿が細菌感染をおこすと細菌が作り出す成分のせいで尿はアルカリ性になり、ストラバイト結石が作られやすくなるといわれています。


ストラバイト結石の予防フード

猫はストラバイト結石になりやすいことから、動物病院専用処方食として尿が弱酸性になって結晶が出来にくいように、また、結石の原料となるミネラル、マグネシウム、リン、カルシウムを制限してできるだけ結石が作られにくくするためのフードが各メーカーで作られています。また、市販のキャットフードでもマグネシウムの含量を減らして尿を酸性に傾けるストラバイト結石に対応するものが多く作られています。

【その他の結石の予防には?】

しかし、ストラバイト結石が作られにくい低マグネシウムの酸性尿は、実はシュウ酸カルシウムが逆に結晶化しやすい尿なのです。シュウ酸カルシウム結石に対してはマグネシウムではなくカルシウムを制限して、尿のpHをややアルカリ性に傾ける処方食が必要で、動物病院で処方してもらう必要があります。つまり、結石の症状が見られたからといって市販の「尿路結石対応」と書かれているフードを食べさせても、結石の種類をちゃんと確認しないと全く役に立たないばかりか、かえって悪化させてしまうこともあるということです。


再発防止のために

ペットが尿石症になってしまったら、治療とフードの選択は獣医師に相談し、家庭内の管理としては次のことに気をつけましょう。

1、処方された食事を守り、それ以外は与えない
2、常に新鮮な水をたっぷりと飲めるようにしておく
3、トイレを清潔に保つ
4、ストレスのない生活を心がける
5、頻回尿など膀胱炎の症状が少しでも見られたら、すぐに動物病院に連れて行く

特に猫の場合、トイレが汚れていたり、砂や置き場所が嫌だと感じたら、我慢してしまう子もいるため注意が必要です。留守の時間が多い場合はトイレを増やすなど工夫してあげましょう。また、ペットの様子が少しでも様子がおかしいと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。


おわりに

尿路結石がもし尿道に詰まってしまったら、ペットは尿を出すことが出来なくてとても苦しい思いをするだけでなく、尿毒症などの生命に危機を及ぼすような状態になってしまうかもしれません。また、詰まった結石を取り除く処置や入院も、ペットには大きなストレスとなります。一度でも尿石症になってしまったペットは二度と繰り返さないように日頃の管理にくれぐれも気をつけてあげましょう。