やさしい嘘
やさしい嘘
Depuis qu'Otar est parti・・・
2004年10月5日 新橋 ヤクルトホールにて(試写会)
(2003年:フランス=ベルギー:102分:監督 ジュリー・ベルトゥチェリ)
グルジアで暮らす祖母エカ、娘である母マリーナ、孫娘のアダ・・・冒頭3人が街に散歩に出てエカおばあちゃんが1人食べているケーキをマリーナがつまもうとすると、ぎろ、って横目で阻止する祖母・・・これだけでこの3人がただ仲よく楽しく暮らしているのではない、とわかりますね。
実際、祖母エカはパリに出稼ぎに行っている息子、オタールを溺愛していて長女であるマリーナとはちょっと上手くいっていない。アダが間に入ってどうにかやっている様子。貧しくてもたくましく生きている3人の女性映画ですね。
そしてパリからオタールが事故死した・・・という連絡が・・・生きているように嘘の手紙を書くマリーナとアダですが、一番おばあちゃん想いのアダが、嘘はつらい、耐えられない、本当の事を言おう・・・と言い出しますが、仲よくなかった母の方がいや・・・それは・・・と止めるのです。やっぱり一緒に暮らした年月の長さ・・・かなぁ~なんて思わせるシーン。
グルジアの街(トリビシかな)は、まだまだ内乱の疵痕が残っていて、殺伐とした風景も見うけられます。日本では、おみくじを結ぶ木、のような布を結ぶお祈りの木がぽつん、とあったりしてなんとなく、豊かでないのを埋めようとする出てこない人々の願いがわかるような気もしました。
そして3人それぞれが迎える真実と結末。エカおばあちゃんの投げキッスが粋で、なんともいえないやさしい嘘、がここでわかりますね。ほとんどは苦しい、つらい嘘なんですが、やさしい嘘もあるという描き方。
監督が女性である、ということで、女性を見つめる目がシビアな所もあり、ただの甘い甘いお菓子のような映画にはなっていません。