月猫に蜜の弾丸(たま)
月猫に蜜の弾丸(たま)
2004年10月21日 渋谷 ユーロスペースにて(ホラー番長シリーズ)
(2004年:日本:70分:監督 港博之)
予告編を観たときにホラー番長シリーズの4本の中で一番ホラーらしくないホラーのような気がしました。
他の映画が血がべっとり、ねっちり・・・なのにこの映画だけ、ギャングと化け猫の対決!と妙にサバサバとしていたのが印象的でした。
港博之監督は石井輝男監督の『盲獣VS一寸法師』の美術監督だけあって、マネキン人形を地下でごそごそ作っている、石膏を固めてなんか作ってる・・・そんな雰囲気で一杯でした。
話は荒唐無稽です。ギャング団(っていうのがいいよね)のボス、クロキン(涼平)に恋人・マリそっくりのダミー・ロボット(っていうかマネキン人形)を作るように命じられた人形師・大角(勝矢秀人)が、マリと逃亡して追っかけ合いが始まるという顛末。マリは白猫を連れていて、化け猫女でもある訳です。
何故、マリのダミーが必要なのか?という理由が他愛ないもので、思わず笑いが・・・ええ?こんな事の為にあんな手の込んだことを?という発想が可愛らしい。
映像も暗い地下室がほとんどで、化け猫になったマリがとりつく女とその夫がまた、クロキンに追われることになって、あれやこれやで大騒ぎ。
なんとなくお祭り、という言葉が浮かんでしまいました。お祭り映画なんですよね。映像の色合いといい、神社のお祭りに並ぶ出店のような絵なんです。音楽の使い方も軽妙な雰囲気を作り上げています。
一番の怪演はクロキンですね。あきらかに若い頃のアラン・ドロンの物真似さんでその時代錯誤感覚も凄いものがありますね。
しかしラストのあるシーンはエドガー・アラン・ポーの『黒猫』のイメージをしっかり切り取って見せたり、そうそう軽く観る映画でもなかったりするところが、ひと味違う個性を感じました。一瞬出てくる通行人の三浦誠巳さん、いいですね。