コウノトリの歌
コウノトリの歌
Song of the Stork
2004年9月1日 銀座シネパトスにて
(2001年:ベトナム=シンガポール:99分:監督 ジョナサン・フー、グエン・ファン・クァン・ビン)
ベトナム戦争ものは数ある中で良いものもありますが、いつも「アメリカ」から見たベトナムなのはちょっと不満でしたね。
先日観た『愛の落日』は、ベトナムはあくまで「外国」でした。映画はそこを上手くドラマにしていましたが。
この映画は2000年、解放25周年祝典にわくホーチミン市の風景から始まります。
そしてその風景を観ながら、従軍カメラマンとして戦争を観てきて「生き残ってしまった」一人の男が戦争を振り返る。
または、同じく「生き残ってしまった」人との会話を通じて別の面も描き出す。
ドキュメンタリードラマ、、、とでも言いたいくらいですが、軍に雇われた従軍カメラマンは、戦場カメラマンではなく、プロパガンダの為にフィルムを回しますから、途中はさまれる過去の映像もプロパガンダ的。「本当の恐怖はカメラでは写せない。(自分が見た)真実を写した方が価値があったものを・・・」と思うその姿が悲しいです。そして繰り返す「何故自分だけ生き残ってしまったのだろう」
脚本は実際戦争を経験してきた人、4人を集めて完成させたそうで、その実話をもとにしています。(その内3人が現在の姿、ということで本人役で出演しています・・・1人はアメリカ人で、ベトナム従軍後、戦争関係の本を書き続けている人だそうです。)
戦闘シーンなどは、ハリウッドや韓国に比べればおとなしい方ですが、戦いを描くのではなくそこで戦った人たち、に焦点をあわせています。戦争を娯楽にしていない(出来ないでしょうけど・・・ベトナムからしたら)戦争映画。
戦場とは別に、金の工面をする工作員のあれこれが出てきますが、軍上層部に近づくけれど、軍のお偉方は自分たちの身が危なくなるとさっさと国を捨て、アメリカに逃亡してしまう。またマネーロンダリングをして資金を集める方法など、今までのアメリカ・ベトナム映画には描かれなかったベトナムから観たベトナム。
妻たちが、『愛の落日』のドー・ハイ・イエン、『季節の中で』のグエン・ゴク・イエブなどで今、国際的に活躍している女優さんを集めています。
ベトナムのアオザイという衣装は美しいのですが、座るときに服の後ろを前にさっともってくるという座り方をするのですね。
『愛の落日』でもきちんと、その作法で座っていましたが、そのしぐさがなんとも美しいですね。