発音とリスニングに効く❗フォニックス/発音記号
みなさんこんにちは❗
今日は英語の発音練習には欠かすことができない「フォニックス/発音記号」について僕の考えを語ってみようと思います。僕はこれらを実践する上で子音を理解することの重要度が非常に高いと考えているので、若干そこに軸足を置きつつ話を進めて行きます。
なお、僕自身は「いかに『文』を流暢に話すか」に軸を置いた「文発音メソッド」という独自のメソッドで教えており、「フォニックス/発音記号」の指導は最初のうちは少ししかせず、徐々に取り入れるようにしています。フォニックスでは基本的に文字や単語の発音に重きを置いてしまい、流れるように話す能力を伸ばしにくく、これを基準に練習すると、本当に上手な発音を達成するのが難しいと考えるからです。
目次
✅ フォニックスって?
✅ 発音練習におけるフォニックス
🔵 音の組み合わせ
🔵 日本語にはない音
✅ 発音を伸ばすのにフォニックスは本当に必要?
✅ リスニングの役にも立つのはなぜ?
✅ 英語の発声に関わること
✅ フォニックスって?
まず、フォニックスとは何かを簡単にお伝えしましょう。簡単に言うと、英語の綴りと発音の関係を学ぶものです。
① ひとつの、またはいくつかのアルファベットの集まりがどのような発音になるのかを学び、初めて見た単語でも読み方が分かるようにする
② 発音を聞けばどのように書けばよいかが分かるようにする
という素敵なものです。もっと簡単に言うと
① 綴りを見て発音できる
② 音声を聞いて正しい綴りで書けるようにする
ということです。
例えば 「b の発音は〜ですよ」や「oo のように o が2つ並んだときの発音は book や room のように種類がありますよ」のように、各文字の発音や、文字の集合体の発音などです。
元々は英語圏の国々で、子供に読み書きを教えるための方法でした。つまり、
すでに発音はほぼできるし、どの音を聞いてもほぼすべて認識できるネイティブ英語を話すの子供が対象
です。しかしこれがノンネイティブへの英語の発音指導にとてもよく使われています。
日本での英語発音指導では多くの場合において対象が大人で、ある程度読み方を知っている人(book と room の違いなど)に教えることが多いので、結局のところフォニックスとは言えど、実質的にはもっと狭い範囲で「発音記号とその読み方」を中心に教えていることが多いので、厳密な意味でのフォニックスではないでしょう。
このブログでは、発音指導の用語として定着した「フォニックス」という言葉を使って説明していきます。
✅ 発音練習におけるフォニックス
🔵 音の組み合わせ
英語と日本語は発音が根本的に違うので、ひとつひとつの音をしっかり学ぶ必要があります。そしてそれをつなぎ合わせて発音すれば、「単語やフレーズレベルで」英語ネイティブと同じように発音できるはずです。
この練習の非常に良いポイントは、日本語と英語では文字に含まれている音声情報が基本的に違うということを視覚的にも聴覚的にも理解しやすいことにあります。そしてこれを意識して発音することは非常に重要です。
例えば日本語の「か」はアルファベットで書くと ka となりますね。日本語の50音表で言えば、「あ行」を除けばほとんどの文字がアルファベットにすると2文字で表されます。そのため、日本語では1音と思っている発音が、実は2音の組み合わせだと視覚的に分かりますよね。
この2音の組み合わせというのは、基本的には「子音+母音」のことです、上の例で言うと k と a ですね。フォニックスでは k の音はどんな音、a の音はどんな音というのを学び、それらを並べて発音することをしっかりと学ぶことができます。
つまり英語では常に、子音と母音は別物として音声としても視覚的にも認識され、子音は子音、母音は母音としてそれぞれに文字があり、それぞれに発音される(「か」と言うのではなく、k を言ってから a を言う)ので、フォニックスを学ぶことでそれを真似やすくなります。ex) 「車」の「カー」→ car / k + ɑː + r /
英語の発音をする上でこの認識が非常に大切で、常に1子音は1音として子音のまま発音するということが分かりやすくなりますよね。しかし日本語話者はここでどうしても母音を足して発音してしまいます。
例えば explain の発音記号は / ɪkspléɪn / ですが、途中を見てもらうと / kspl / のように、子音が4つも連続で並んでいます。日本語では基本的に子音と母音を切り離して発音しないので、子音だけで発音されるところにどうしても母音を足したくなってしまう、または癖で自然に足してしまいます。その結果 / kusupule / (くすぷれ)となってしまい、正しい発音には聞こえないことになってしまいます。
ここまで読んでお気づきになった方も多いと思いますが、英語の発音をする上において、それぞれの子音を1音としてハッキリと発音することが、発音上達のひとつの鍵であることが分かりますね。
🔵 日本語にはない音
子音にも母音にも、日本語にはない音がたくさんあります。一文字一文字、または文字の集まりをどのように発音するのかを学ぶことは非常に重要です。
ここでは詳細は避けますが、母音の a で言うと、日本語の「あ」に近い音で発音されたり、それを長く「あー」のように発音されたり、「えい」と発音されたり、「え」と「あ」を混ぜたような / æ / と発音されることがありますが、 / æ / は日本語にはないですね。
また子音で言うと、唇と歯を使って鳴らす f の音、歯と舌を使って鳴らす th の音などがあります。このような音を瞬時に正しく出せるようになるには、かなり慣れが必要です。
✅ 発音を伸ばすのにフォニックスは本当に必要?
実は僕は、生徒さんの発声がある段階に到達するまではあまりフォニックスの指導に力を入れないことにしています。楽器に例えると分かりやすいでしょう。
調律(チューニング)していないピアノを想像してみてください。奏者がきちんと「C(ド)」のキーを押しても、実際にはその音は出てきません。これだとどれだけ素晴らしい奏者が演奏しても、変な音楽にしかならないですよね。
つまり、元の楽器がきちんとした音を奏でるように設定されていなければ、どのキーが「C」で、それを優しく押す、激しく叩くのようにきちんとテクニックを使ってみても、理想とする音はまったく出ません。
この考えをフォニックスに置き換えてみると、きちんとした息遣いや発声の仕方(これがピアノの調律と同じ)を知らなければ、いくら a の音や th の音をきちんと出そうとしても、歪(いびつ)な発音になってしまいます。
僕の生徒さんやお知り合いの中には、ある発音練習アプリで一音一音丁寧に練習を続けている人たちがいますが、その人たちの発音はやはり歪で、細かい音ばかりに気を取られているので、流暢性に乏しく、流暢であってもネイティブのような流暢さとは大きな差があり、独特な発音になってしまっています。
しかし、息遣いや発声の仕方をきちんと学び、その練習を続けることでフォニックスは大いに役立ちます。調律したピアノからはきちんとした音が出るのと同じですね。そのため、発音を伸ばすのにフォニックスは必要であるという結論にはいたりますが、フォニックスだけをやっていてはダメだということもお分かりいただけるかと思います。このブログを読まれた皆さんには、ぜひ息遣いや発声をきちんと学んだ上で発音練習をしていただければと思います。
✅ リスニングの役にも立つのはなぜ?
「✅ 発音練習におけるフォニックス」の項目でも説明したように、日本語の「か」は英語では ka のように2文字であり、発音も k を言ってから a です。このように、英語では日本語と比べて、子音がきちんと子音単体として発音されています。また母音とセットとならずに子音だけで発音される例も見ましたよね。これらを聞けるようにならなければなりません。
子音とは、基本的には空気と体の器官を使って生み出す「雑音」であり、日本人はこの雑音を聞き出すのが苦手です。日本語の発声ではあまり雑音を生み出さないからです。つまり、日頃から口からあまり出すことがない音は、注意して聞くことがないので、雑音がたくさん入っている英語の音が耳に入ってこないので捉えにくいのです。
自ら子音をしっかり出す練習をしているとその音に敏感になるので、聴く力も養われるということです。もちろんリスニング練習をするときには、この雑音を聞こうとする努力もしなればなりません。
ただし、ですが、先程述べたように「日本語の発声ではあまり雑音を生み出さない」ということは、
「英語の発声」
を学ばなければなりません。
母音についても、日本人は「あいまい母音」を上手に使うのが苦手ですが、これも発声を学ぶと出しやすくなり、リスニング時にも捉えやすくなります。
✅ 英語の発声に関わること
感覚的に掴んでいく人もいますが、ほとんどの人はそうではありません。また感覚的に掴んでしまった人には説明ができないというデメリットもあるので、できるから教えられるということもでありません。こういう人が、フォニックスばかりに頼った指導をしていることが多いです。
少し具体的に言うと、日本語の発声と英語の発声のでは、筋肉の使い方が違います。そして息の使い方も違います。一般的に言われる「腹式呼吸」や「喉発音」も非常に重要で、欠かすことができない要素ですが、実はその2点だけではやり方として全然足りないのです。
重要なのは口周り、舌、顎、喉、胸、お腹の筋肉、つまり口からお腹までを包括的に上手に使わなければ英語の発声ができません。
しかしこれを体系的、理論的に理路整然と網羅して教えるのは難しく、発音指導をしている講師が商売敵であるはずの僕に生徒を回すこともありますし、僕から発音を学んでいる発音指導講師もいます。
さて、今回のブログは以上です。フォニックスが以下に役に立つ素晴らしいものか、しかしながら取り入れ方も考えなければ、結局あまり上手な発音にならないということもお分かりいただけたかと思います。
ここで僕の「文発音メソッド」について触れさせていただくと、主眼は「流暢に話すこと」にあり、それを達成するために「発声の仕方」や「アクセントの置き方」を中心に指導し、そこに少し遅れてフォニックスを盛り込みます。
→ 文発音メソッド詳細はこちら
実はこれを実践すると、多くの発音指導で重要な項目として取り上げられる「リンキング」「リダクション」「リズム」などの多くが自然とできるようになってしまいます。なので、僕は自分の生徒さんにこれらのことをあまり強く指導しません。「文発音メソッド」では自然とできるようになっていくことが多いです。
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では、次のブログでお会いしましょう❗