スナップ『体験を絵画にのせて』
今週は生徒さんの体験から絵画表現に至るまでのお話と作品を味わう心の動きをご紹介いたします。
作品は幼稚園で行われる絵画制作展のために描かれました。この絵はネオパークでレッサーパンダにりんごのスライスをあげた体験がもとになり、りんごのお礼をレッサーパンダが『ありがとう』と伝えてきたことをイメージしたそうです。
体験したことを作品に描くことは実体験の抑えとなるもので子供の発達に重要な役割を果たします。例えば実体験を思い浮かべる時に『あの時はこうだった、そういえばこんな感じだった』など記憶のアウトプットを行い、描くにあたり『こうしようああしよう』などの閃きが生まれます。また直感的にこのような絵描き方がいいかも知れないというような物事を感覚的に捉える力も長けてきます。実体験を絵にすることは予想以上に子供の発達には良い効果をもたらします。親子で体験したお絵描きの時間を是非設けてほしいと考えます。
さて生徒さんの作品をじっくり見ていきましょう。
画面いっぱいにレッサーパンダの体を描くと長い尻尾が描けず小さく丸くなったようですが、それはそれで味のある作品になりました。すると次に描くタイミングがあればその経験を活かして思いっきり長さを意識した描き方をするでしょう。何より生徒さんの素晴らしいことは、長く描きたかった尻尾だったけれど、今ではその小さくて丸い尻尾を可愛く思えると発言をしてくれたことです。3歳になると優秀なお子さんはできなかったことが許せないことがあるのですが、そのことを新たな考え方で捉えることができていることが自己肯定感の高さを物語っています。また生徒さんの一番のお気に入りは「雪のようのお耳」ということなので実際のレッサーパンダの特徴をしっかりと見ていたということで観察眼の育ちも感じます。
子供達にとっての絵を描くということはさまざまな力の出現でもあり、また心の安定を促すものでもあります。今後も楽しくお絵描きを通して様々な力を伸ばしてほしいと思います。さぁ、次はどのような絵を描くでしょう・・・楽しみにしています。