ワンランク上の商品が選ばれる営業術~中・高級価格帯=家事楽実現商品と捉え直して、抜群の提案力を培う
ワンランク上の商品が選ばれる営業術
高いものは売りづらい。そう考え、つい普及価格帯の商品を勧めてしまうリフォーム営業マンは多い。だが、顧客ニーズに真に合うのは、機能やデザインがより優れた中・高級価格帯の商品かもしれない。顧客満足度を高め、自社の利益を確保するために、よりグレードの高い提案を行うことが求められている。そこで必要となってくるのが、商品知識やヒアリング・プレゼン力など様々なスキルやノウハウだ。高付加価値商品の販売を得意とする、各社の営業担当者4名にその秘訣を伝授してもらった。
中・高級価格帯=家事楽実現商品と捉え直して、抜群の提案力を培う
3年目の下半期から、中・高級価格帯の商品を織り交ぜた提案で、受注を得られるようなったイズホーム堺本社営業部の稲垣颯人さん。年数を重ねるにつれ商品知識が増えたこともあるが、顧客にとって必要な商品だと合点した意識変革も大きかったという。
積極提案に切り替えたら中・高級商品の割合が激増
「顧客目線で、お金をかけたほうがいい部分と、なくてもいい部分というのがはっきりしてきました」。現在4年目に入り、経験に基づいた説得力を持った言葉で説明ができるようになったと話す稲垣さん。
加えて大きな転機となったのが、商材販売でトップクラスのLIXILアドバイザーのセミナーを受けたことだ。印象に残ったのが「家事の80%が、マイナスを普通に戻す作業」という言葉だ。「元に戻す行為を楽にすることが、今後の生活を潤いのあるものにすることに直結すると、腑に落ちた瞬間でした」。
担当するのは、ポータルサイトや自社サイト等の問い合わせに対する反響営業。そこで設備機器の品番を指名されることは少なく、それまで稲垣さんは「安いことが顧客にとって最善」と、普及価格帯の中で一番いいものを提案しようと取り組んできた。中・高級商品は顧客自らが指名した場合のみ採用され、全体の1〜2割ほどだったという。
だが、セミナーをきっかけに、中・高級価格帯の商品は家事楽やメンテナンスフリーの要素が強く、最終的には顧客の幸福につながると気づいた稲垣さん。提案に積極的に取り入れるようになり、採用率は6〜7割にまで増加したという。意識が変わり、取り組み方を変えると、ここまで結果が違ってくるのだ。
自社ショールームで各メーカーの商品の細かい仕様の差を説明
稲垣さんが所属する堺本社にはショールーム機能がないため、近隣の他店舗のショールームを活用する。写真は堺西店のショールーム。キッチン4台、バスルーム5台、洗面台6台、トイレ5台が揃い、外壁・屋根コーナーや内窓も展示。
《稲垣さん流提案術》
高いか安いかの二択ではない。細かい仕様の差を把握すれば、ニーズに合った中価格帯の提案もできます。
+3~4万円の意義をしっかり説明
例えば、10年掃除不要のレンジフードは、通常商品より+10万円程度かかる。予算との兼ね合いでそれが厳しい場合、稲垣さんはファンがワンタッチ脱着できる商品をよく勧める。これなら+3~4万円の差で済む。
「レンジフードのファンの取り外しって、私もやったことがあるんですが大変で、掃除も含めて3時間ぐらいかかるんですよ。ここは奥様のために頑張ってワンタッチ式を採用しませんか」と熱意と実感を込めて説明すると、納得する顧客が多いという。
《稲垣さん作成!オリジナルのお勧め商品比較表》
オリジナル資料をまず渡し掲載しているお勧めの中・高級商品で見積書を作成
稲垣さんはイズホームで取り扱う設備機器の中からさらに商品をピックアップして、わかりやすいオリジナル資料を作成。それを渡し、商品の指名がない顧客には許可を得て、掲載の中・高級商品を取り混ぜたお勧め商品による見積書を作成する。
《稲垣さんが考える中・高級品提案への近道》
実際の使用時に気になる細かい仕様の差を徹底的に勉強
その商品にはどんな良さがあって、なぜお勧めなのか。顧客に納得してもらう営業力を身に着けるため、稲垣さんは細かい仕様まで徹底的に勉強した。
例えば、人造大理石のメーカーによる耐久度の違いや、機器の細かい取り扱いの差を調べた。ショールームにも足を運び実物を見て、アドバイザーと相談を重ね、知識を増やしていった。
「真剣に商品と向き合えば、早い段階で自信を持て、説得力のある接客ができるようになると思います」。
お話をうかがったのは…
イズホーム(本社 大阪府堺市)営業部 稲垣颯人さん
専門学校で不動産の勉強をし、建築と不動産という2つの柱を持ちたいと、イズホームに入社。リフォーム部門に配属され、一気通貫体制でリフォーム業務を行いながら、許可を得て不動産の部署の打ち合わせ等に同席し、不動産も勉強中という努力家。4年目の24歳。
リフォマガ2022年7月号掲載
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