Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

更夜飯店

ワンダフルライフ

2018.09.12 07:17

ワンダフルライフ

2004年7月1日   ビデオ 1998年日本:118分:監督 是枝裕和

映画の前半、思い出を語るシーンには、台詞を語る役者、実体験を話す役者、実体験を話す一般の人など、様々なインタビューが入り混じっています。そして一般の人が語る実話にも、本人の演出や脚色、思い違いがまぎれ込んでいます。そういった記憶の虚と実の間で揺れ動く人の感情を、ドキュメンタリーとして撮りたいと思いました。

新作『誰も知らない』が公開直前の是枝監督の言葉なのですが、是枝監督はこのあとに撮った『DISTANCE』でもこの手法を用いていますね。

人が死んで天国に行くまでの一週間。「人生の一番印象に残る思い出」を語ってもらい1つだけを選び、それを映像化する場所がある。

そこで働く人々がARATA、谷啓、寺島進、内藤剛志、小田エリカ。

大体が「ひとつだけ思い出を選んでください」といわれると色々と語りだす所、21歳のフリーター、イセヤ(伊勢谷友介)が「思い出を選ばない」という選択をする。又、70歳の老人は「思い出などない」と頑なに拒む。

色々な思い出話というのもおもしろいものがあるのですが、この2人の「厄介者」の存在が大きいと思いました。

そして観ていくうちに、「思い出を選ばない、選べないことの責任」というものが出てきて話の核になるからです。

この映画でARATA、伊勢谷友介が映画デビュー。伊勢谷くんはオーディションで「映画に出るより、監督したい」とまさにこの映画のキャラクターのような事を言ってそれが、監督の目に止まったという話を聞いたことがあります。

(後に、是枝監督をプロデューサーにして『カクト』を監督)

ドキュメンタリー的な手法は、この後の『DISTANCE』になると設定のみで台詞は全て役者のアドリブにまかせるというやり方に昇華します。ARATA、寺島進、伊勢谷友介が出ていてとても好きな映画ですね。

この『ワンダフルライフ』がその原点だったのですね、いや、これの前の『幻の光』を観てみないとわかりませんが。