自校方式、センター方式、親子方式…どう違うの?
「完全給食」の提供方法には4つある
町田市の現状の中学校給食は、「弁当併用外注方式」で、一般には「デリバリー方式」と言われています。これは、「民間業者が作って各校に配送する給食か、家庭の弁当かを各家庭が選択する」やり方です。
学校給食の提供方法としては、ほかに「自校方式」「センター方式」「親子方式」があります。それぞれの主な特徴を見ていきましょう。
※資料などから当会が独自にまとめています。
1.自校方式
ほとんどの小学校で行われている、自分の学校の給食室で作るやり方です。
【メリット】適温で提供され、食中毒が発生しても被害は最小限。独自の献立の工夫や、個別のアレルギー対応なども可能。
【デメリット】敷地内に給食室を新設するスペースが必要。建設費・調理機器等購入費・人件費など一番コストがかかる。栄養士の配置も必須。
2.センター方式
給食センターで複数校の給食を作り、各校に配送するやり方です。
【メリット】保温性に優れた食缶を使うことで、少し遠くても比較的適温で提供可能。一カ所にまとめることで、自校方式よりも人件費や維持管理費は抑えられる。
【デメリット】建設場所が工業系の用途地域に限定される。食中毒が起こった時の被害が大きい。事故等で配送が遅れるリスクが高い。用地取得や建設費・調理機器等購入費、配送費などに多額のコストがかかる。
3.親子方式
近くの小学校で作って配送するやり方です。
【メリット】保温性に優れた食缶を使うことで、比較的適温で提供可能。小学校の給食室を使うため、初期費用や維持費用が抑えられる。食中毒発生時は小中学校間だけの被害で済む。
【デメリット】給食室の増改築が必要となる。同じ給食室で2回作るため調理員の負担が大きい(増員などで対応)。国からの補助金が出ない。
4.デリバリー方式
民間の弁当事業者が作ったランチボックスを配送するやり方です(食缶型もありますが、ここでは省略します)。
【メリット】食数の調整がしやすいので、選択制にしやすい。中学校にエレベーターなどの設備がなくても受け取れる。初期費用、維持費用ともに最小限で済む。
【デメリット】おかずは一度10℃以下に冷やされて運ばれる。一つのボックスにまとめて盛られているため、味が移ってしまいやすい。事故等で配送が遅れるリスクが高い。食中毒発生時は同じ業者に依頼している全学校に影響が及ぶ。
コストのことや利便性を考えると、どうしてもデリバリー方式になってしまいがちです。しかし、大磯町の例などのように、実際食べる子どもからは「おいしくない、まずい」という声が上がって残食率も高い、という自治体は、町田を含めて全国にたくさんあります。
もちろん財源にはかぎりがありますが、デリバリー方式であってもお金をかけて導入・維持する以上、「何のための、誰のための給食なのか?」という第一目的を、まず考えてほしいと思います。