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秘めた愛の結末

2023.11.01 15:20

【詳細】

 charokoで初の合作として書かれた5本目。

 作:chao



 時間目安 10分程度


【関連作品】

パリスデージーに託した心

白い花で花占いを

想いは花とともに

誠実な恋の行方

秘めた愛

真実の愛

 

【あらすじ】

 とある貴族のご令嬢とご子息が叶わぬと分かりながらも恋をする。



女性:(3回ドアをノックする音)

女性:「失礼します」

女性:「お父様、お呼びでしょうか?」

女性:「えっ…?」

女性:「いえ、なんでもありません」

女性:「はい……わかりました」

女性:「失礼致します」


女性:「…これって…」


(少し間をあける)


男性:彼女から電話だと、執事から

男性:伝えられた。

男性:僕は出なかった。

男性:代わりに、執事に伝言を頼んだ。


女性:彼の家に初めて電話をした。

女性:執事が出て、

女性:「今は忙しい」とのこと。

女性:続けて、彼からの伝言で、

女性:今夜、二人で花の話をした

女性:あのテラスで待っていてほしい

女性:そう、告げられた。



男性:「…お待たせ」

女性:「………」

女性:「あ、あの…」

男性:「待って」

女性:「え…?」

男性:「これを…」


ー 男性は女性に向けて、大きな花束を差し出す ー


女性:「あ………」

女性:「…マーガレット…」

男性:「あなたの事を愛しています。

男性: 誰よりも

男性: 何よりも

男性: この『誠実な恋』の花のもとに」



女性:「(泣きそうに)………なん、で…?」

男性:「なんでって、あなたの事が、好きだからですよ」



男性:「それに…先を…越されちゃったから」

女性:「え?」

男性:「花の話…でさ」

女性:「あっ…(照れくさそうに)」

男性:「あなたも、僕のことを想ってくれてたんだなって」

女性:「そう…だね。

女性: …伝えて良いものか、本当に迷ったのだけれど…」

男性:「…僕も(苦笑)」

男性: 僕達の立場だと、結ばれてはいけない関係だったからね」

女性:「そう…

女性: 叶わないと…

女性: この想いをずっと…心にしまっておこうかと」

男性:「僕も同じことを思ってたよ。

男性: でも、この気持ちは、大きくなっていく一方で

男性: 誰にも渡したくないと」



女性:「…あなたが…夢に出てきたの」

男性:「え?」

女性:「あなたが、夢の中で

女性:『僕は、あなただから』と…」


女性:「変な事…言ってるよね。

女性: ごめんなさい…」

男性:「そんなことないよ」


男性:「僕も、いつからか、あなたを想うようになっていた。

男性: そういう意味では、僕は、あなただし。

男性: あなたは、僕なんだと…。

男性: お互いに、お互いを想っていたんだと…」


(少し間をあける)


女性:ここには、私たち二人だけ。


女性:二人以外、誰もいないテラスで、

女性:私は、彼に言った。


女性:「星が綺麗ですね」



男性:「月も綺麗ですよ」


男性:彼女の言葉に、そう応えた。


男性:彼女は、少し驚いたような、

男性:照れくさそうな顔で、話し始めた。


女性:「……ずるい。

女性: あなたは、いつも素直に想いを伝えてくれる」

男性:「いつも伝えられているかな?

男性: これでも、想い人を目の前にして必死なんだけど」

女性:「そうかもしれないけれど

女性: それでも私は素直に想いを伝えてくれてると思う。

女性: だから、私もあなたに…。

女性: あなたの事を…愛しています」

男性:「…」

女性:「もう、あなたは気づいていると思うけれど…。

女性: 私は、想いを素直に伝えることが得意ではないの。

女性: でも、あなたのことを想う気持ちはどうしても、言葉にしたくて」


ー 男性が女性を抱きしめる ー


男性:「同じ気持ちだったんだね。

男性: きっと、僕達は結ばれる運命だったんだよ。

男性: 本当に、ありがとう」

女性:「こちらこそ、あなたと同じ気持ちで嬉しい」

男性:「順番が逆になってしまってごめんね」



男性:そう。僕と彼女は、政略結婚をする。

男性:それをきっかけに、僕らお互いの財閥は、統合することになった。


男性:彼女に会えないあいだ、

男性:僕は、どうしても彼女と一緒になりたくて

男性:僕は財閥が統合するように奔走(ほんそう)していたのだ。


女性:数ヵ月後、結婚式

女性:場所は、あのテラス…


男性:周りからはお互いの財閥が、

男性:戦略的に、二人が

男性:結婚するように見えるだろう。


女性:実際は違う。

女性:今、私達は両想いで

女性:ここにいる。



男性:彼女がバージンロードをゆっくりと歩いてくる

男性:ブーケの花はもちろん、マーガレット

男性:目の前で彼女が立ち止まる



女性:「おまたせ」

男性:「とても綺麗だよ」

女性:「ふふ…ありがと。

女性: 私の為に、頑張ってくれたんだね」

男性:「そりゃあ、愛しているからね」

女性:「本当に、あなたはそうやってたくさん想いを伝えてくれる」

男性:「言葉にしないと、伝わらないこともあるからね」

女性:「たしかに」

男性:「これからは、君をいつも喜ばせたいし。

男性: 君を幸せにすると誓うよ」

女性:「(ため息)もう…とても恥ずかしいんだけど」

男性:「照れてる顔もかわいいね」

女性:「でも…私も頑張るから」

男性:「えっ?」

女性:「(小さい声で)ずっと…」 

男性:「…」

女性:「ずっと一緒にいてくれますか?」

男性:(照れ隠しで)

男性:「え?聞こえなかった。もう一回言ってくれる?」

女性:「…意地悪…」

男性:「ごめん。

男性: ずっと一緒にいてください」

女性:「はい」

男性:「あっ」

女性:「どうしたの?」


ー 男性、女性にキスをする ー


女性:「んっ…」


ー 女性、驚くもゆっくりと目を閉じる ー


男性:彼女が好きな気持ちが

男性:止められず

男性:思わず、彼女に口付けをした。


男性:「愛してる」

男性:「今まで言えなかった分、言わせてほしい」

男性:「愛してる、愛してるよ」

女性:「私も愛してる」

女性:「…愛してるよ」


女性:私はとても幸せを感じている。



女性:マーガレット


女性:花言葉は


女性:真実の愛



(終わり)