山形国際ドキュメンタリー映画祭2023 ④
映画祭に行くと、その街の文化や食を深掘りせずにはいられません。今年のYIDFFでは格好のプログラムがありました。
山形市が2017年10月に、日本で初めてユネスコ創造都市ネットワークの映画分野に加盟したことにちなんで設けられたプログラム「街を見つめる 人を見つめるーユネスコ創造都市の世界」の中で、地元クリエーター支援プロジェクト「映像で山形ルネッサンス」で制作された4本が上映されました。
その中の1本『山形✖️和菓子 〜未来を彩る伝統文化〜』(2022)を製作したのは、コロナ禍の2020年7月に”映像で山形の魅力を”爆裂的に拡散させたい”との思いで結成された若手クリエイターチームBAQSAN(バクサン)。メンバーがユニークで、この日、舞台挨拶に立った飯野修氏は山形市にある「ケーキハウスチーム チュチュ」の2代目パティシエで、大江小百合さんも飲食店で働いているそう。
意気揚々と語る飯野氏の言葉も実に説得力があります。
「山形は美味しい食べ物ばかり。私が痩せる理由がありません」。
キャラクターもナイスです。
実際、食に関心の高い人が撮る映像は、見るからにして食欲をそそられるものです。
中でも筆者は、作品で紹介された和菓子と酒のペアリングに興味津々。
早速、試してみねば!
と思っていたら、上映後に和菓子と日本酒の”おふるまい”イベントが行われるというのです。映画を観に行く予定を組んでいましたが……、ここはひとつご厚意に甘えてキャセルしましょう。
その判断は正解でした。
和菓子は『山形✖️和菓子 〜未来を彩る伝統文化〜』に出演した人気店・本家本元 御菓子司 福来雀あずき宿(山形市)の上生菓子。
日本酒は同じく『山形の酒 -蔵王の恵み つむぐ技-』の出演者の一人である、純米酒専門店「La Jomon」の店主・熊谷太郎氏が用意してくださったプライベートブランド「La Jomon Malo」と、
「出羽の里」、「出羽燦々」、「さわのはな」、開発中の酒米の4種類を使用し、芋煮に合う酒として造られた「ナヌカ・ナヌカ・ナヌカ」の2種類。
さらに用意された熊谷氏の奥様のご実家・七右エ門窯のお猪口はお持ち帰りOKというサービス付き。なんと贅沢な!
筆者は熊谷氏オススメの、少し甘みのあるLa Jomon Maloとペアリング。
うん、相性バッチリ! 美味しいので、もういっぱいお代わり。
調子に乗った筆者は、後日、『山形✖️和菓子 〜未来を彩る伝統文化〜』にも登場し、和菓子と酒のペアリングメニューを提供しているBar12 yamagata(山形市本町)にお邪魔。劇中にも登場した乃し梅本舗 佐藤屋の”美しすぎる和菓子”と言われる「空ノムコウ」と抹茶と日本酒を合わせたオリジナルカクテル「令和ふう茶」をいただきました。
この「映像で山形ルネッサンス」は、山形の魅力を発信するプロモーションでもあります。
まんまと戦略にハマった人物がいると、ここに記しておきます。
追記:本プロジェクトの『山形打刃物 ~生活の中の道具~』や、『世界一と言われた映画館』などを制作した山形出身の佐藤広一監督が、日本とフランスの染織文化の交流の歴史を紐解く新作長編ドキュメンタリー映画『お蚕さま セヴェンヌ』(2024年完成予定)の市民プロデューサーを募集しています。詳細はこちら。