山形国際ドキュメンタリー映画祭2023 ⑤
YIDFFでは連携イベント○○まるまる ナイト@YIDFFが連夜、市内各所で行われます。
筆者が参加したのは、「デジタル映像アーカイブの未来研究」主催の小型映画アーカイブ・ナイト。
35mmより幅の狭いフィルムを「小型映画」と呼びますが、昔は最新機器に興味津々なお父さんがいる家庭には8mmカメラがあって、家族の何気ない日常をカメラに収めては、家の壁とか障子をスクリーンにして、上映会を開いたもの。
その中には今となっては貴重な、当時の街並みや風習が記録されており、毎年10月の第3土曜日を「ホームムービーの日」とし、各地で上映会も開かれています。
こうしたフィルムの保存・上映活動は、映像記録を重要性を再認識させるだけでなく、地域の交流や高齢者の回想法にも役立てられており、注目が高まっている分野です。
この日のプログラムはこちら。
フランスのパテ社が1922年に発売した9.5mmフィルムのパテ=ベビーのフッテージに新たな音楽を載せて構成した『9 1/2』の上映とブルーフィルムのレクチャーです。
ブルーフィルムに関しての詳しい内容は、野坂昭如先生や今村昌平先生にお任せしましょう。
それより引っかかったのが解説する甲南大学・吉川孝先生です。
吉川先生は映画は専門外だったのですが、高知県立大学在任中に「土佐のクロサワ」と呼ばれる製作者の存在を知り、そこから研究を始めたというのです。
間違いありません。筆者、下記の取材でお会いしているのです。
⚫️東日本のことは西日本で関心が薄い?…『遺言 原発さえなければ』で知る現実
そう、哲学の先生だったはず。
それがまさか9年後に、山形で再会するとは!
詳細な吉川先生のブルーフィルムとの出会いと研究内容は、11月25日発売の書籍「ブルーフィルムの哲学 : 「見てはいけない映画」に綴られているようです。
目次からしてワクワクしますね。しかもNHK出版・刊。
それにもこんな奇遇が待ち受けているとは。これだからYIDFFはやめられない。
追記:ディスカッションに登壇された京都大学教授ミツワ・ワダ・マルシアーノ先生の「映像アーカイブの未来研究」に関しては、下記の動画があるのでぜひご視聴を。
また映画保存協会では、被災した資料の救済活動に取り組んでいます。家庭や地域で保存して映画フィルムやビデオテープが対象です。詳細は下記のこちらから。