犬はなぜ穴を掘るの?
お気に入りのカーペットやじゅうたん、大切に手入れした花壇や芝生など、人間にとっては大切なものでも、犬には分からずホリホリされてしまった!という経験はありませんか?
この行動は闇雲に叱ってもなかなか止めさせることはできません。
「どうして犬は穴を掘るか?」その理由がわからない限りは解決方法もわかりません。
今回は犬が穴を掘りたがる理由と、その行動を止めさせる方法についてお話します。
なぜ犬は穴を掘りたがるの?
まずはその理由を考えてみましょう。穴を掘りたがる理由はいくつかありますので、ご説明します。
【昔からの習性】
犬の祖先であるオオカミや野生の犬科の動物は、土の中に住んでいる小動物を捕らえたり、繁殖のための巣穴を作ったり、暑い日に体温を下げるために穴を掘って体を冷やしていました。こういった昔からの習性がそのまま受け継がれていると考えられています。室内で生活している場合でも、床を引っかいたり食べ物の入っている食器に鼻先で新聞紙やタオルなどをかぶせて埋め隠す仕草や行動をします。これらは昔からの習性のひとつなのです。
【大事なものを隠している】
犬はもともと群れで生活していた動物ですから、他の個体に大好物の食べ物や大好きなおもちゃを取られないように隠すためでもあります。
【退屈しのぎ】
何もすることがないとき、運動不足解消や退屈しのぎに穴を掘ることに熱中することもあります。
【飼い主さんの関心を引くため】
「穴を掘りたがっている」訳ではなく、「飼い主さんの関心を引く」ためにとる行動の時もあります。「穴掘りの音」で飼い主さんが自分のほうを見てくれたり、「穴掘り」をしてほしくない場所だった場合は飼い主さんが止めに来てくれるため、一生懸命ホリホリするのです。
そもそも習性とは?
穴掘りをはじめ、マーキング行動や攻撃性、縄張り争い、順位付けなど、日々の習慣によって作られた行動を「習性」と言います。特にオオカミの血を受け継いでいる犬にとっては、群れを作って生活するのも習性のひとつです。動物は生きていくためにいろいろな知恵をしぼって、いかに自分に適当な環境で暮らせるかを見つけ、最終的にそれが本能や習性となって体に備わっていくのです。
「ペット」と呼ばれる現代の犬たちにも、いまだに残っている習性はたくさんあります。
しかし穴掘りをしてほしくないために、飼い主さんが無理にその行動をやめさせてしまうと、返って犬のストレスを貯めてしまったり、穴を掘れない代わりに吠えるようになってしまったり…。生活のリズムを狂わせてしまう可能性もあるのです。
穴掘りをやめさせるには?
まず「どうしてそのような行動をするのか」を考えてみましょう。
もしも穴掘りが犬の習性からくるものであれば、庭の一箇所に“掘ってもいい場所”を決めてそこに限定して掘らせてあげる方法が考えられます。そうすれば花壇や芝生の被害はなくなり、飼い主さんの怒る気持ちも抑えられます。
実際のやり方としては、大好きなおやつやおもちゃをその子の目の前で“掘ってもいい場所“に埋めます。すると、きっとその場所を掘り返すでしょう。そうしたらすぐに褒めてあげます。そしてまた同じ場所に埋めてあげて下さい。その後も掘ったら褒め、そしてまた埋めるを繰り返し、「ここは掘ってもいい場所なんだ」と覚えさせてあげましょう。逆に、掘ってほしくない場所には唐辛子など嫌いなものを埋めておくのも効果があると考えられています。
穴を掘ってしまう原因が習性からくるものでないとすれば、その原因を「取り除くこと」が穴掘りをやめさせる最適な方法になります。
犬が穴を掘る理由で最も多いものは、「飼い主さん関心を引くため」だそうです。その場合は“しつけ”として穴掘りをやめさせる方法を考えましょう。
例えば、穴掘りをした時にその子に向かって「こら!」「だめでしょ!」など、怒っていませんか?飼い主さんがいくら怒っているつもりでも、犬にとってみれば「かまってくれている!」と思い込んでしまうのです。すると「穴を掘ればこっちに関心を向けてくれる」と学習してしまい、さらに穴掘りをしてしまう可能性があります。
退屈している時も同じで、飼い主さんにかまってほしいがために、わざと注目を引く行動をとるわけです。そういった場合には、穴掘りを始めたらとにかく無視をしましょう。声もかけてはいけません。
また、飼い主さんが一緒に遊んだり散歩したりする時間を増やしたり、長く遊べるおもちゃやおやつを与えて、愛犬が退屈しないようにしてあげましょう。ストレス発散にもなりますし、うまくいけば、運動させることによって疲れて穴掘りをやめてくれるかもしれません。
おわりに
いくら昔からの習性でも、人間と一緒に暮らしていく現代の犬はある程度人間の生活に支障がないように合わせてもらう必要があります。穴掘りに限らず、犬の習性で「困ったな」と思うことがあれば、何でも叱るのではなく、まず「なぜその行動をするのか」を考えてみましょう。犬の気持ちにたってみて、しなくても良い行動であれば止めてもらうための行動を考えてみることが大切です。