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マヤ

『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI44 三代目妄想劇場ショートストーリー

2018.09.14 01:55

女性の母が語り始めた。




「娘がおかしな行動をするようになったのは4~5年前からで…」




娘は時々記憶が抜け落ちることがあり、

心配した母が病院に連れて行った。




「若年性アルツハイマー」だった。




当時結婚を前提として付き合っていた男性にその事を告げると、たちまち態度が急変した。




別れを告げられた翌日に妊娠していることが判明した。




悩みに悩んだ挙げ句、本人の希望で出産する決意をした。




近年は医療の進歩で、若年性アルツハイマーでも発症から10年経っても元気に過ごしている人もいる。




高齢の母は、いざという時は自分が孫を育てるんだと心に決めていた。




出産後2歳の誕生日を迎えるまでは母娘(おやこ)で子育てに奮闘した。




離れに勉強部屋も作り、日々抜け落ちていく記憶の中で、母の名前が思い出せない時があっても、愛しいわが子のことに関しては驚くほどクリアだった。




そのうち日常生活に支障が出始めたので、昼間だけは近くの保育園に預けることになった。




入園も迫ったある日のこと、子供が生まれたことを聞きつけた元彼が、両親を伴って女性の家に乗り込んできた。




アルツハイマーを患っている女性に、血を分けた我が子を預ける訳にはいかない。




男性はすでに別の女性と結婚していたが、その後の検査で相手の女性が不妊症であることがわかり、共通の友人を介して実子の存在を知り、半ば強引に引き取っていった。




女性の父親は早くに他界し、財産は残してくれたが年老いた母と娘だけの世帯。




娘の病気のこともあり、相談した弁護士からも裁判に持っていっても勝ち目はないので、

子供のことは諦めるように告げられた。




娘は酒に溺れる日々を送り、急速に病状も悪化していった。




1日離れにいるかと思うと、いつの間にかいなくなり、近所を徘徊し警察に保護されるという毎日を送っていた。




不摂生がたたり酷い腹痛を訴えて病院に連れていったところ、胃に悪性の腫瘍が見つかった。




娘は全ての治療を拒み、強い痛み止めを用いながら自宅療養をし、残された時間を静かに過ごしていた。




そんなある日のこと。




孫のたかしと同じ背格好の、笑顔が可愛い男の子を連れて娘が帰って来た。




友人から数日預かってるという娘の言葉に何の疑いも持たなかった。




『パーパがお仕事終わるまで、おねーしゃんとかくれんぼしゅるのよ』




今思えば疑うべきだったのに、そんな気も回らないほど、それはそれは可愛らしい男の子で、孫が帰って来たようで嬉しかった。




母は久しぶりに沢山手料理をふるまい、娘も得意だったケーキ作りをするくらいはしゃいでいた。




たかしにと買ってあった洋服や靴下もぴったりで、時折娘が『たかし』と呼ぶのも気に止めなかった。




「まさか、人様の子供を無断で連れ去っていたなんて…」




母はハンカチで顔を覆い、小さな肩を震わせた。




隆二は優しくその背中を擦った。




隆二は顔を上げて遠くの臣に視線を送った。




臣は察したように隆臣の手を取って、隆二たちの元へ歩んでいった。





つづく