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「宇田川源流」 臨時国会開会と所信表明演説で経済を連呼する岸田首相

2023.10.25 22:00

「宇田川源流」 臨時国会開会と所信表明演説で経済を連呼する岸田首相


 臨時国会が開会した。いや、正確に言えば、国会の開会は先週の金曜日であるから10月20日になる。国会議員を招集して開会式を行い、そのうえで所信表明演説を行うということになる。今回は衆議院議長が額賀福四郎議員に変わった。その時に一つエピソードがあった。天皇陛下に渡すことのない自分の原稿を渡してしまうハプニングがあり、陛下はそのまま受け取り、後で何もなかったようにその場をやり過ごした。この件で額賀議長は謝罪をし、天皇陛下も普通にそれを許した。額賀議長を攻めることはなかったが、同時に天皇陛下を称賛する言葉が非常に増えたことが今回の内容ではないか。

 さて、そのようなエピソードは別にして、国会が開会した。所信表明演説が行われた。所信表明演説とは、この臨時国会において何を行うかということを内閣総理大臣、つまり日本国憲法の三権分立の中の行政府が立法府に対して表明しているということになる。

 日本の政治は「法律」と「予算」によって成立している。法律によって物事を決めそこに予算を付して、その予算において行政が動くという仕組みになる。つまり、行政を動かすためには、議会において法律と予算を準備しなければならないということになる。そのための法案与予算を立法府である国会がすべて審議するということになるのである。

 さて、今回の内容では、経済を何とかするということになるのであろう。

 しかし、経済というのは政治によって何とかなるような話ではない。経済というのは政治にって左右されるものではなく、国民や起業家によって自由になる。要するに「自由経済」であるということは、そのまま政府は何もできないということに他ならない。日本は中国や北朝鮮のような統制経済の国ではないので、政府が何を言っても国民一人の給与を政府の命令で上げさせるようなことはできないのである。ではそのような中において政府が経済で行えることは何か。政府が行えることは限られているのである。

岸田首相が所信表明演説、経済変革を「今後3年で」…所得減税念頭に「税収増を公正に還元」

 岸田首相は23日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。今後3年程度を経済の「変革期間」と位置づけ、経済再生に向けて全力を挙げる意向を表明した。物価高対応を含む経済対策では、「税収増の還元」で国民負担を緩和し、所得税の減税を念頭に具体策の検討を早期に進める考えを示した。

 年末に期限を迎えるガソリン代や電気料金などの補助を来春まで継続することも明言した。

 首相は演説で、「一丁目一番地は経済だ」とも主張した。11月上旬にもまとめる経済対策に関して、「変革を力強く進める供給力の強化と、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える国民への還元の二つを『車の両輪』として実行していく」と訴えた。

 急激な物価高に賃金上昇が追い付いていない現状を指摘し、「税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の負担を緩和する」と述べた。ただ、還元策やその規模については具体的に言及せず、所得税の減税にも触れなかった。26日に予定される政府与党政策懇談会で、与党の税制調査会に対し、還元の具体策に関する早急な検討を指示すると説明した。

 一方で、首相は低物価・低賃金・低成長の「コストカット型経済」から、持続的な賃上げや活発な投資による「成長型経済」への移行を目指す考えも示した。具体的には、賃上げに力を入れる企業への税制優遇や、半導体分野などへの国内投資を促す減税に取り組む。

 物価高対策では、ガソリン代などの補助延長に加え、各自治体で低所得者世帯への給付措置などに使われている「重点支援地方交付金」を拡大する方針も打ち出した。

 地域交通の担い手不足が深刻化している現状を受け、「(個人が自家用車で乗客を運ぶ)ライドシェアの課題に取り組んでいく」と語った。

 外交・安全保障では、北朝鮮による日本人拉致問題を「政権の最重要課題」とし、

 憲法改正に関しては、国会での憲法改正原案の発議に向け、「条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを期待する」と呼びかけた。

 演説に対する各党の代表質問は衆参両院で24~26日に行われる。

10/24(火) 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/476a178adfcea8bde901fcfabfd9e841ce91fbfa

 政府が経済対策として行えることは「税制」「補助金(助成金を含む)」「為替(もちろん介入するのは様々な障害があるが)」ということになる。実際に統制経済ではないので、当然にモノの値段を決めたり、または給与を決めるということは一部を除いてできない。一部というのは「国が販売するもの」と「国家公務員の給与」、つまり国が直接支出または収入できるものでなおかつ法律で値段が決まっていないものである。つまり、政府ができるのはそれしかなかったということになる。

 逆に言えば「税制」と「補助金」くらいしかできないのである。その内容を中途半端に行っても全く意味がないということになる。

 さて、次にその経済の規模であろう。現在、それまでの赤字国債対策や、民主党政権時の赤字、3・11やコロナ対策における赤字などで、これらの内容で見れば、日本は100兆円以上の赤字を抱えており、そのうえでこれいじょうげんぜいをすれば、財政的に厳しくなることは当然である。しかし、一方で景気が悪くなれば、国民は労働意欲がなくなるということであり、そのうえで、景気がより一層悪くなるということになるのではないか。景気が悪化するということはGDPが下がる、つまり全体の経済規模が下がってしまい、歳入が減るということになる。

 つまり「増税」しても「減税」しても、歳入は一時的には減る。しかし、その歳入の減り方は全く異なる。つまり、増税の場合は国民のやる気がなくなって失われた30年と同じようになる。これに対して減税の場合は景気はよくなり活気は出るが、しかし、一方でそれが税収となるのは、少し後になる。つまり減税した分の税収が減るだけになる。つまり、どちらにしても赤字になるので、その中で政府を維持することにどうしたらよいのかということになるのではないか。

 そのようなところまでしっかりと考えての内容になっているのかということになる。古来軍隊の内容から言えば「逐次投入と力の分散」は完全に敗北する。現在のロシアがウクライナに対して行っているのがこのような状況である。そのような意味で、中途半端な内容を行うということに関して言えば、やらない方がましということになる。逆に言えば極端な内容を行えば、批判も強くなる。その批判に対して対処する力があるかということが最も大きな内容であろう。岸田首相にそこまでの覚悟があるのか。

 「経済」と連呼しても何も始まらない。行動が鳴けば意味がない。逆に言えば、言ってできるものであればなぜ今までやらなかったのかということになる。そのように考えれば、このような内容であってもあまり期待できないのではないかということになる。具体的に何ができるのか。その結果によって、岸田内閣の命運が決まる。多分自民党の命運も決まるのかもしれない。