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9月14日 横手市内(金澤八幡宮伝統掛唄大会) (44km)

2018.09.15 03:18



今日も晴れで、絶好の蓄電日和だった。日中はレンタルCDを借りてきて、ドライブ用BGMを作成したり、食料の調達を行う。

夕方、沼地に映えるキレイな夕陽を見て感傷に浸る。


そして夜、満を持して「金澤(かねざわ)八幡宮伝統掛唄大会」観戦に向かう。


掛け唄とは、対戦形式で唄を詠み合うもので、歌垣がルーツと言われている。先攻の唄の歌詞の内容を受けて後攻が即興で歌詞を付けて唄い、その後続けて2フレーズの即興の掛け合いを行うという唄の対決である。


中国貴州省の歌垣は有名だが、これは数ある唄の歌詞を暗記し、その中場面に応じて歌詞を選び、アレンジして唄を掛け合うというもの。


ここの掛唄ように、即興で唄を読み合うというのは、世界的にも珍しいらしい。


この大会は秋田県指定無形民俗文化財となっており、地元の民謡「仙北荷方節」の節に合わせて掛け合いが行われる。トーナメント形式で、夜9時頃から1回戦が開始。毎年8組ほどが対戦。2回戦、3回戦と対戦が行われ、勝者が決まる頃に夜明けを迎えるという。


先月秋田県を回っていた時に、このイベントを知り、この日に合わせて山形県から戻ってくることを決めていた。



横手市内から美郷町方向に少し走ってから東に折れると、会場となる金澤八幡宮がある。

開始までまだ時間があるからか、駐車場に車は1台しかない。車幅1台の細い山道を上って行くと、参道の入り口に別の小ぶりな駐車場がある。ここに駐車している車は数台だが、果たしてここに停めるべきか分からない。

神社の階段ですれ違った老人に、「すみません、私は旅行者で、そこの駐車場に停めているんですが、大丈夫でしょうか?」と尋ねると、肉厚の傘の白いキノコを手にするその老人は、「○×△□$+@&△・・・・。」にこやかに答える言葉が正直全く聞き取れない。「すみません、お話しされる方言がちょっと分からないのですが・・・。」と Y。


老人が言い直してくれたところによると、「さっき山でこのキノコを見つけたんだが、これ、食べられるかな?」と逆に質問されているのだった。Yの質問はどこに行ってしまったのか。。。 


キノコについては門外漢なので、分かりませんと答えるしかないが、この会話はなかなかシュールだと思う。そのあとに下りてきた別の人に相談し、細い山道を上る手前の、下の方の広い駐車場に停めることにする。上に停めると途中で車が出せなくなる。

駐車場で時間を潰し、8時過ぎに再度上っていく。神社の境内でビデオを手にした学生らしい一群にスケジュールを尋ねると、子供の部が終わったところで、学生の部と一般の部が9時に始まる、とのこと。

今は神社の本殿で関係者による儀式が取り行われており、奥の方から祝詞の声が響いてくる。



一旦駐車場に下り、準備しておいた夕食を思い出したように食べる。



9時頃、再び神社に上って行く。

「参加される方は受付に申し込んでください。」司会の男性がアナウンスする。今頃申し込むなんて大丈夫なのだろうか、とも思ったが、飛び入り歓迎ということか。


さて、今回の参加者は学生の部が7名(掛唄を研究している新潟大学教育学部の参加者)、一般の部が16名。一般の部には、学生の部に参加する学生のうち4人が含まれる。

開会式では、掛唄保存会の会長さんの挨拶、秋田県議会議員や横手市長代理など来賓の紹介があり、すぐに学生の部となる。これは試合ではなく、新潟大学の学生同士で掛唄が4回(人数の関係で1人は2回参加)行われた。

「仙北荷方節」は初めて耳にしたが、江差追分同様、節を相当長く延ばすので、唄うのはなかなか骨が折れそうだ。先攻→後攻→先攻→後攻(2掛け)と掛け合うが、一人のフレーズがそれぞれ1分くらいある。勝ち負けはないので、「伝統文化である掛唄に参加したことを証する賞状」と地元の納豆メーカー・山田フーズの納豆などが、参加賞として全員に渡された。


次はエキジビジョン・マッチということで、参加者のうち2組の夫婦がそれぞれ掛唄を披露した。これも試合ではない。さすがにベテランは歌も上手いし、掛け合いも流暢。例えばこんな感じだ。


(妻)今日も〜一日〜ご苦労様、心尽くしで〜晩酌よ〜。

(夫)若い〜気持ちで〜稼いでいても、思い通りに〜働けぬ。

(妻)辛い〜ときでも〜貴方の笑顔、心の支えに〜なります。

(夫)共に〜仲良く〜笑顔で暮らす、それがなにより〜宝物。

(妻)二人〜三脚〜これから先も、どうぞよろしく、願います。

(夫)今日の〜会場に〜美人はおるが、ウチのかあちゃん〜最高だ。


実は、さらに続きそうだったのだが、審査員よりストップの合図が入る。「このまま4掛けになると、ノロケで大変ですから(笑)。どうも、ごちそうさまでした」との司会のアナウンス。

なお、唄われる節は長く抑揚があり、そのリズムは文字には起こしづらい。自分で聴いてもらうしかない。


そして、ついにメインイベントである一般の部となる。

1回戦は16人、8試合。うち4人は新潟大学の学生で、彼らはそれぞれ地元の参加者と対戦する。例えばこんな感じだ。


👧 今年〜初めて〜一般部門、お手柔らかに願います。

👴 孫の〜ような〜学生と掛ける、じっちゃも心が弾むようだ。

👧(名人〜○○(名前)さんと〜ここで〜共に、掛け歌できて、幸せだ。

👴 こんな〜じっちゃと〜、掛けて〜幸せと〜、学生に褒められ〜涙が出る。



大阪から観にきたという人もいたが、どちらかというと地元のイベントである。開会式で掛唄保存会の会長さんが話していたが、地域の人口減少と高齢化で、大会を維持するのには苦労も伴うとのこと。


今回初めて観戦したが、単純に民謡として聴いても面白いし、地域の交流手段として、素晴らしいイベントだと思う。



1回戦が全て終了したのが夜中の12時前。これから審査と休憩というタイミングで、帰路に着いた。


大会の優勝者が決まる夜明け前に会場に戻って、決勝戦を観戦するという手もあったが、立ちっぱなしで疲れたので本日のイベントは終了。帰り際にビールを買って、道の駅で乾杯し就寝。