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臍帯とカフェイン

沖田メンタるクリニック⑨ヘラクレス編

2023.10.25 13:21

沖田:と、父さん……。

ゼウス:息子よ……。

ヘラクレス:弟よ……。

沖田:兄さん……。

ゼウス:う……うう……これが家族の感動の再会じゃのう……。

沖田:ま、まだ、うまく心の整理がついてないけど……。

ゼウス:いいんじゃ、いいんじゃよ、沖田先生。

ゼウス:わしも、わしもまだ、整理なんてついておらん、でも

ゼウス:でも今は!家族としての再会を……この絆を、味わおうではないか、のう

ゼウス:そうじゃろ?ヘラクレス

ヘラクレス:はい、父さん、僕もそう思います。

ヘラクレス:まさか沖田先生が僕の腹違いの弟だったなんて……

沖田:ああ、ヘラクレス兄さん……!

ブリ:ちょっとストップですのよ。

沖田:なんだい、ブリさん。

ブリ:ぜんっぜん流れが読めなくて困惑中ですのよ

ブリ:ナレーション介入すらできないくらい困惑しておりますわ。

ゼウス:ほら、その、あれなんじゃよ、実は、のう。おきたん。

沖田:え、えへへ、と、父さんがいってくださいよ、もう。

ブリ:え、気持ち悪いそのかんじなんかやだ

ヘラクレス:ワルキューレさん、そう言わないでください。

ヘラクレス:今まで離れ離れだった家族がこうして、また出会えた喜びを

ヘラクレス:噛みしめているんですよ。

ブリ:いやいやいやいや。ちょっとごめんなさい、要素多すぎてどこから入り込めばいいかわからない。

ゼウス:おきたーん、パパでちゅよー。

沖田:えへへへへへへ、ゼウスパパぁ

ヘラクレス:ほーら、お兄ちゃんでちゅよー。

沖田:ヘラクレスにぃにー、えへへへへへ

ブリ:いやもうちょっと一回やめろまじで

沖田:もう!なんなんだよ!ブリさんは!

沖田:どうして親子の再会に水を差すの!!!

ブリ:状況を説明しろって言ってるんですのよ!!!!

ブリ:こちとらはじまっていきなりおっさんとおっさんの甘酸っぱい謎のイチャイチャを

ブリ:ずっと見せつけられてるんですのよ!

ヘラクレス:じゃあ、説明は僕からしましょう。

ヘラクレス:ごほん、僕の名前はヘラクレス!

ヘラクレス:「半人半神(はんじんはんしん)」の、英雄さ!

ヘラクレス:沖田先生がどうにも、ビームに耐えたり、即死級アーティファクトの効果を受けなかったり

ヘラクレス:なんかこう、すごく人外じみた強靭さを見せていたからね

ヘラクレス:気になって調査をしていたら、どうやら沖田先生には

ヘラクレス:僕と同じような力が宿ってるみたいなんだ!

ヘラクレス:ということは、きっとね、僕たちはゼウス父さんの浮気しまくり周期の時に

ヘラクレス:こう、こうね、誕生した、腹違いの兄弟ってことになるのさ!

ヘラクレス:そうだよね、父さん!

ゼウス:まあ、ぶっちゃけまったく記憶にないんじゃがの。

ゼウス:浮気しすぎて。

沖田:僕はずっと母子家庭で育ってきました……

沖田:母からは、父の話を聞いたことは一切ありません。

沖田:きっとそれは、神様との禁断の恋を、母さんがしていたからなんですよね。

沖田:ああ、色々と納得しました、だってこう、ほら

沖田:不気味じゃないですか!!意味わかんないじゃないですか!!

沖田:蛇に食われても、死なないとか、不気味じゃないですか!

ブリ:いやまあそれは本当にそうですわね

ゼウス:おきたーん、蛇に食べられちゃったこと、まだおこってるー?

沖田:パパ、もう怒ってないよ

ゼウス:はー、よかった、そうじゃよね、なにせワシパパじゃもんね、おきたんのパパじゃもんね

沖田:パパ……パパって響き最高だな……え、もうほんと最高だな……

ヘラクレス:おいおい!パパ!ちょっとまっておくれよ、おきたんを独り占めしないでくれ!

ヘラクレス:パパにとっては息子でも、僕にとってはかわいい弟なんだ!

沖田:ヘラクレスにーに……はあ、尊いです

ブリ:つまり、沖田せんせも「半分神様」だったってことですの?

沖田:そう!そういうこと!これで色々納得だよねえ

ブリ:う、ううーん……そう、です、わね?

ゼウス:なんじゃなんじゃ、ブリさん、もっと喜んだらどうなんじゃ?

ゼウス:反応が微妙じゃのう

ブリ:だ、だって急にそんなこと言われても。どこらへんにゼウスさん要素があるんですのよ。

ゼウス:きっと生粋の日本人に化けて、仕込んだから違和感ないんじゃよ

ブリ:仕込んだとか言わないでくださいます?

ヘラクレス:でも、ブリさんのいう通りだよ、パパ!おきたんにも神の要素をあげないとかわいそうだ!

沖田:神の要素?

ヘラクレス:そうだよ、おきたん。特にギリシャ神話である僕たちみたいな要素がおきたんにも必要なんだ!

ゼウス:おお、そうじゃったそうじゃった

沖田:どういうことですか?

ヘラクレス:おきたん、僕の元々の名前は「アルカイオス」。

ヘラクレス:「ヘラクレス」は神様としての名前なんだ。

沖田:あ、聞いた事ありますよ!たしか、おじいさんの名前をそのままもらって「アルカイオス」なんですよね?ヘラクレスにーに

ヘラクレス:そう!その通り!流石だおきたん!俺の弟はなんて優秀なんだ!

沖田:えへへへへへへへ

ゼウス:じゃからの、おきたんにも神としての名前をつけてやらんといかんのう

ブリ:か、神としての名前……

沖田:ええええええ!!!すごい!それすごい!!なんかかっこいい!!!

ゼウス:そうじゃの、何がいいかの。

沖田:わくわく。わくわく。

ゼウス:やはりギリシャ的に「なになにウス」で終わったほうがそれっぽいからのう。

沖田:うんうん!確かに!そうですね!そうですね!

ゼウス:「キュウス」とかどうじゃ?

沖田:キュウスーーーーーーー!!!ギリシャっぽいーーーー!!!

ヘラクレス:すごくいいな!キュっていう響きがかわいいぞ!

ブリ:いや、茶器ですのよ

ゼウス:えっ

ヘラクレス:えっ

沖田:えっ

ブリ:いやだから、「急須」ですのよそれじゃ。お茶を入れて飲めちゃいますのよ。

ゼウス:盲点じゃった。

沖田:お茶を入れる容器はいやだ、それはいやだよパパ!

ゼウス:すまんすまん、ウスは辞めておこうかの。ヘラクレスの弟なわけだし

ゼウス:「なになにレス」とかにしようかの。

沖田:おっいいですねっ、いいですねっ!兄弟感ありますねーっ!

ヘラクレス:うむ!いいと思う!

ゼウス:「アドレス」なんてどうじゃ?

沖田:おおーーーーーー!!!弟感あるぅーーーーーー!!!!

ヘラクレス:すごくいいな!アドっていう響きがかわいいぞ!

ブリ:いや、住所ですのよ

ゼウス:えっ

ヘラクレス:えっ

沖田:えっ

ブリ:いや、だから、それだと「住所」って意味ですのよ。手紙届いちゃいますのよ。

ゼウス:……「ウエートレス」?

ブリ:配膳する人ですのよ

ゼウス:「ストレス」……。

ブリ:精神的苦労のことですのよ。

ゼウス:……レスはやめよ。

ブリ:懸命な判断ですわね。

ゼウス:「なになにオス」にしよう。

沖田:オス!!!強そう!!オスってつくの強そうだよパパ!!

ヘラクレス:うむうむ!!!!

ゼウス:「ミナオス」

ブリ:保険を見直すみたいになってますのよ。

ゼウス:……「フミタオス」?

ブリ:借金を踏み倒すみたいになってますのよ。

ゼウス:「モヨオス」

ブリ:今までで一番アウトですのよ

沖田:もう!!!!全然決まらないじゃないか!!!!

ヘラクレス:ワルキューレさんが茶々いれるからですよ!!

ゼウス:そうじゃよそうじゃよ!空気読んでほしいわい

ブリ:じゃあ、急須でいいじゃないですのもう、それで沖田せんせがいいなら

沖田:急須は……いや……

ブリ:後々になって「うっわ、え?これこういう意味?」ってなるよりいいでしょう?

ブリ:気に入って毎日来ていたTシャツに書かれた英文が「俺のケツをなめろ」だった時と同じ、

ブリ:いや、それ以上のショックが貴方を襲うんですのよ?

沖田:ありがとうブリさん、やっぱり持つべきものは優秀な助手だよね。

ゼウス:でも、じゃあ、なにがいいんじゃよ。もうわし思いつかん。

ブリ:レパートリーすっくな。

ゼウス:なんじゃ!?やるか!?おぉ!?

ヘラクレス:父さん落ち着いて。僕に任せてくれませんか?

ゼウス:おお、へラクレス、なんと頼もしい。

沖田:ヘラクレスにーに……

ヘラクレス:やはり弟には強い英雄になってほしい、そんな気持ちから、こんな言葉を選んでみました

ヘラクレス:これでどうでしょう?「アールドニクス」

沖田:かっこいいいいいいいいいいい!!!うひゃああああああ!!!

ゼウス:なんて抜群のセンスなんじゃああああ!!!

ブリ:恐竜ですよ、それ

ヘラクレス:えっ

沖田:えっ

ゼウス:えっ

ブリ:恐竜です。

ヘラクレス:……「アウロルニス」

ブリ:鳥っぽい恐竜です。

ヘラクレス:「アバヴォルニス」

ブリ:それも鳥っぽい恐竜。

ヘラクレス:「ガリミムス」

ブリ:それも鳥っぽい恐竜。

ヘラクレス:「クリョロフォサウルス」

ブリ:もう「サウルス」って言ってんじゃねーか

ヘラクレス:くっ……なんて難しいんだ、命名というのがこんなに難しいだなんて

沖田:ヘラクレスにーに……

ヘラクレス:すまない……おきたん……兄は、最強の英雄なんかではなかった……

ゼウス:息子よ……

ブリ:もう「オキタニウス」とかでいいんじゃないですの

ゼウス:え?天才?

ヘラクレス:ワルキューレさん天才?

沖田:いや、ブリさん天才だわそれ

ブリ:知能指数どっか飛んでったんですの?

ゼウス:おきたんよ!!!!!今日からお主は、「オキタニウス」と名乗るがよい!!!!!!

オキタニウス:お、おおおおおおお、なんか、なんか身体が神格化してきた気がする!!

オキタニウス:人を超えた何かになっていってる気がしますよブリさああああああん!!!

ヘラクレス:やったな!!オキタニウス!兄として誇らしいぞ!!

オキタニウス:兄者、ありがとう!!!!

ゼウス:これでオリュンポスは安泰じゃわい!!!あっはっはっは!!!

オキタニウス:あれ、電話だ、ちょっとすいません

オキタニウス:もしもし?あ、え、母さん?

オキタニウス:どうしたの?電話してくるなんて珍しい

オキタニウス:え?ああ、お米?ありがとう、いつも助かるよ

オキタニウス:うん、うん、え、ううん、いいよ、ケバブにピンクのリボンはしないで

オキタニウス:うん、いや、だから、ケバブにピンクのリボンはいらないって

ブリ:なんの話ですの

オキタニウス:あ、そうだ、母さん、僕、父さんに会ったよ

オキタニウス:うん、そう、母さんも言ってくれたらよかったのに

オキタニウス:水臭いよ、家族なんだからさ、父さんと久々に話す?

オキタニウス:いまとなりにいるんだ。

オキタニウス:ゼウスさん、母さんが話したいとのことです、電話どうぞ

ゼウス:おお、すまんのう、オキタニウス

ゼウス:お電話変わりました、ゼウスです。

ゼウス:はい、はい、え?

ゼウス:え?あ、いやいやいや、え?アザラシのおへその位置を調べる仕事はしたことないですわい

ゼウス:は?いや、だから、タラバガニってヤドカリなんだぜってツイートする仕事もしたことないですわい

ゼウス:え?だれ?あんた誰なんじゃ?は?ナオミ?いや、知らん、知らんぞ

ゼウス:なんじゃ!貴様!!!神を愚弄する気か!!

ゼウス:いや、じゃから!!!ウインドウズの起動音の仕事はしたことないって!!

ゼウス:もうよい!!!切るぞ!!!

ブリ:……え?

ヘラクレス:……ん?

ゼウス:人違いじゃわい

オキタニウス:……は?

ゼウス:全然知らん人じゃった

オキタニウス:え?

ゼウス:全然家族じゃないわい

ブリ:えっ

ゼウス:まったく関係なかったわい

ヘラクレス:えっ

ゼウス:そういうわけじゃから、沖田先生。オキタニウスなしで。

沖田:えっ

ゼウス:ヘラクレス、帰るぞい

ヘラクレス:えっ、えっ?

沖田:えっ

ブリ:えっ

ゼウス:沖田先生、また来週診察よろしくお願いしますわい

ゼウス:ではのー!

沖田:え、はい、えっ?

ブリ:じゃあ今までのやり取りなんだったんですの!!!????

沖田:僕が知りたいよ!!!!ブリさん!!!!

沖田:結局僕はなんなの!!!????

ブリ:あ、お、沖田せんせ、ほら

沖田:え?あ……み、皆さんいらっしゃったんですね。

沖田:お恥ずかしい所をお見せしてすいません、私、沖田メンタルクリニック

沖田:院長をしております、オキタニウス、じゃなかった、沖田と申します。

ブリ:助手のブリですわ

沖田:……結局どういうこと?僕はなんなの?

ブリ:謎ですわ

沖田:……蛇のお腹の中で生きていられるんだよ?

ブリ:ええ

沖田:……即死級アーティファクトで死なないんだよ?

ブリ:…ええ

沖田:……ブリさん

ブリ:……ええ

沖田:こわいよおおおおおおおおおお!!!!!!

沖田:自分が怖くなってきたよおおおおおおお!!!!!!!!!

ブリ:お、落ち着いてください、ほ、ほら、沖田せんせが何物だとしても

ブリ:ここは、ほら

沖田:うっ…ぐすん……そ、そうですね

沖田:ここは、沖田メンタルクリニック……神様ですら24時間受け入れます……。