書誌
おはようございます。
高槻市にある、民藝の器、暮らしの道具、食
に関する古書のセレクトショップ、お味噌や
発酵食品中心のカフェ、テマヒマ
火曜日水曜日は定休日!
プロデューサー、バイヤーの太田 準です。
3週間前になりますが、関西学院大学博物館で
開催されています寿岳文章展-領域なき探究、
;英文学、民芸、和紙研究-を観に行ってきま
した。寿岳文章は晩年「私のやってきた仕事
は、大きく分けて三つになると思う。一つは
英文学を主軸とする外国文学の研究と翻訳。
次の一つは、書物の美的ならびに社会的機能
の究明、残る一つは、愛着から来る和紙への
学問的なとりくみ、和紙学とでも名づくべき
か」と総括、回顧したそうですが、多岐に渡
る活動に通底するのは、書誌学だったようで
す。
このテマヒマブログでも、批評家若松英輔さ
んの日本経済新聞土曜日のコラムをよくご紹
介してる気がしますが、ちょっと前にこんな
一節がありました。
本は確かに、外見上は「モノ」に過ぎない。しかし、それが人の手に取られ、読まれるとに、いのちを宿した「物」、すなわち「書物」になる。
納得の説明ですが、その書物について
①表現された内容を主とするか(超物質的形態)
②表現された内容を伝達するための形態を主とするか(物質的形態)
で分けた時に②が書誌学の対象ということに
なります。
Kindleなどの電子書籍は①で確かに読むだけ
なら事足りるのでしょうけど、紙をめくると
いうのはまた違った体験で、美しい装丁はそ
れ自体が作品でもあります。
今回の展示は、寿岳文章の足跡を総覧するも
のですが、関学との関わりでまとめてるので
民藝的なところは薄めでしたが、それでも、
ウィリアムブレイクの研究の縁で柳宗悦と出
会い、柳が京都に住んでいた時期は共同で月
刊誌を編纂していますし、絵本どんきほうて
を代表とする向日庵本や、和紙研究は民藝運動との深い関わりの上で生まれたものだと思
います。寿岳文章の柳への尊敬には、民藝運動だけでは無く、平和への想いの共感があっ
たようです。
それにしても一昨年、向日市で開かれてた寿岳文章の展示会を観に行けなかったのが悔やまれます。いつの日か向日庵(寿岳文章旧居)も一般公開されるとよいですね。この展示会は12/9(土)までで入館無料です。
人生で初めて関学に足を踏み入れましたが、
博物館の時計台もその前の芝生も周囲の校舎
も美しいですね。
博物館で展示を見ていたら、濱田琢司さんと
バッタリ。琢司さんは博物館の館長なので、
よくよく考えるとバッタリでも無いのですが
笑。テマヒマブログでも何度かご紹介したことがありますが、琢司さんの論考は眼差しや
語り口が優しくて好きです。
先日、5周年記念ということで鷺珠江さん(河
井寛次郎のお孫さん)をお招きしてお茶会お話
会を開催したところですが、来年6周年の際は
濱田琢司さん(濱田庄司のお孫さん)にお話会を
お願いすることに、バッタリがご縁で笑、な
りました。約1年後のことですが、また詳細は
決まりましたらお知らせしたいと思います。
テマヒマは今日は水曜日で定休日です。この
ブログは東京に向かう新幹線で書いています
。明日11/9(木)11時オープンで皆様のお越し
をお待ちしております。
それでは明日も、好いモノ、好いコト、好い
トキをテマヒマで。
今日も好い一日を!