バーバー吉野
バーバー吉野
2004/04/13
ユーロスペース1
ベリー・ショートマッシュルームカットのような「吉野ガリ」をした少年達が冒頭、ハレルヤを歌うシーンは、
とてもインパクトあります。(とても可愛いのですが不思議な風景)
周りがすべてこの「吉野ガリ」ならば、何も疑問が起きない少年達に、東京からきた
「髪を染めたかっこいい髪型」の転校生、坂上君の登場により少年達の気持ちが微妙に変化していく顛末を、
さわやかに、ノスタルジックに描いています。
「
外部からの新しいものに動揺する古い体制」・・・が崩れていく様、それが大人への反発へ・・・
そして少年達の取った行動の数々。
そして頑として、吉野ガリを徹底させようとする大人代表、バーバー吉野のおばちゃん(もたいまさこ)との攻防戦、
微笑ましいですね。
よその家の子供であっても、平気で叱り飛ばす吉野のおばちゃん、でもお菓子くれ~~といわれれば、ほいよって、
スナック菓子を投げるおばちゃん。
子供に対して、毅然として媚びることなく接する事のできる大人ってすくなくなりましたねぇ。
「こんな髪型イヤだ、かっこよくなりたい」に対して「髪型気にするなんて10年早いんだよ!いっちょまえの大人に
なってからにしな!」とタンカを切るのは、(正直にいって)気持ちいい。
でも、小学生も高学年になるとやっぱり、「かっこいい」「かわいい」という外見が気になって、気になって仕方ない、
という気持ちもわからないではないので、シーソーのように、思いいれがばったんばったん変わります。
荻上直子監督は女性ながら、女性監督がよく見つめる「女性の中の性」(子宮感覚といいますか)に向き合いません。
あくまで、すかっとさばさばした目で、男の子たちとおばちゃんを描いていて、荻上監督って
「ズボンをはいた女の子」なんですね。
学校の担任の先生(いつも緑のジャージ)三浦誠己さんが『きょうのできごと』では、ヘンな髪型by田中麗奈に
憤っていたのに、逆に吉野ガリをすすめる先生だったのには笑ってしまいました。