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ZIPANG-2 TOKIO 2020~日本の伝統を受け継ぐ射水市~「 射水の町や村で今も脈々と受け継がれている155の獅子舞が舞い祷る【特別編】」

2018.09.16 14:55

このたびの平成30年 7月豪雨、9月台風21号並びに北海道大地震により、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


当Webサイト読者の方からのリクエストは次のようなことでした。
「富山には、数多くの獅子舞があると聞いたことがありますが、射水にはどのような獅子舞があるのでしょうか?」というものでした。


それでは、射水の獅子舞をご紹介いたします。

射水市には155の獅子舞があり、130以上が保存会や青年団によって演じられています。天狗と獅子による躍動感のある舞をはじめ、燃えさかるたいまつを使う迫力ある舞、子どもが演じるキリコのかわいらしい舞などで見る者を魅了します。

獅子舞は、地区の春まつりや秋まつりで奉納され、それぞれに特徴・魅力があります。
その地区でしか見ることのできない華麗な獅子舞です。是非一度訪ねてみて下さい。


獅子舞の形態

富山県の獅子舞は大きく分けて、「百足(むかで)獅子」と「二人立ち獅子」に分類されます。百足獅子は 「カヤ」と呼ばれる胴幕の中に人が何人も入って行われる全国的にも珍しい獅子舞の形態で、県西部地方※(呉西)で多く見られます。一方、二人立ち獅子は、二人で行われる日本の伝統的な獅子舞の形態で、県東部地方※(呉東)で多く見られます。この他に、中世からの流れを汲む「行道(ぎょうどう)獅子」という古い形態の獅子舞も見られ、バラエティに富んだ獅子舞文化が継承されています。

※地元では梨の産地「呉羽山」を境に西は呉西(石川県方面、射水市・高岡市・氷見市・砺波市・小矢部市・南砺市など)東は呉東(新潟県方面、富山市・魚津市・滑川市・黒部市など)

氷見型百足獅子

氷見市とその周辺に分布する。烏帽子を被り、狩衣、襷、胸当姿の天狗が獅子あやしとなる百足獅子で、胴幕は5、6人の獅子方が素手で高く支える。リズミカルな演目が多く、シシゴロシで終演する。また、曳山のような太鼓台が特徴。

砺波型百足獅子

砺波平野一帯に分布する。胴幕に竹の輪を入れた大型の百足獅子である。二人一組の子どもの獅子あやし(シシドリ)が、棒や薙刀などの武具を主体とした採り物を用いて、リズミカルに演じる。

射水型百足獅子

射水平野から神通川左岸の地域に分布する。 獅子方は素手で胴幕を支え、百足獅子を膨らます。 シャグマを被った天狗や、花笠を付けた二人一組の子どもが様々な採り物を手にして獅子に対する。

一頭型金蔵獅子

神通川中流域の里山地域に分布する。二人立ち一頭型の金蔵獅子である。子どもの獅子あやしはシシウチと呼ばれるキンゾウで、御幣や槍などの採り物を持つ。

越後型神楽獅子

朝日町の県境地域に分布する。一頭の二人立ち獅子で、頭持ちは獅子頭をすっぽりと被る。 左手に御幣を持ち、腰に木刀をさす。尾持ちはねじった胴幕の尾を首に巻いて持つ。一人の天狗が獅子をあやす。

五箇山型百足

獅子 氷見型の獅子が、五箇山や旧城端町周辺を中心に分布するもの。大型の百足獅子で、胴幕を張る竹の輪は左右の二人の10名程で支えられ、巨大な胴部となる。獅子あやしは子どもがシシトリボウを手にして演じる。

加賀型百足獅子

金沢に隣接する南砺市の旧福光町市街地の獅子舞。胴部を竹の輪で大きく膨らませた百足獅子で、胴幕は動かず、胴幕に麻縄などで繋がれた獅子頭だけが上下左右に舞う。獅子あやしは棒などの採り物で武道系の演目を舞う。

二頭型金蔵獅子

神通川流域の富山市南部地域に分布する。二人立ち二頭型の獅子で、飛騨の金蔵獅子が伝播したもの。獅子あやしは子どもが、キンゾウ、オドリコ、ササラ、サンパサなどを演じ、多様な採り物を用いる。

下新川型天狗舞獅子

下新川郡を中心とする県東部地域に分布する。
一頭の二人立ち獅子で、太いタスキをかけた8名から16名もの大勢の天狗が獅子あやしとなり、傘や酒樽の採り物を用いる演目をこなす。

行道獅子

神輿行列などの露払い役として、古い箱型の獅子頭が練り歩く祭礼が存在する。中世の行道獅子の流れで、高岡市伏木氣多神社の祭礼、二上射水神社の築山行事、魚津市小川寺地区の祭礼、下村加茂神社のやんさんま祭、立山町の浦田山王社の祭礼などでみられる。


射水市の獅子舞

赤井の獅子舞

百足獅子と二人立ちの二頭立ての親子獅子。母獅子の腹から子が生まれる場面を演じる「子獅子出し」が特徴的。在来の射水獅子に飛騨金蔵獅子が取り入れられた県内でも特殊な芸態の獅子舞。
市の無形民俗文化財に指定。

所在地:射水市赤井(大島)
主な上演場所:神楽岡神社


六渡寺の獅子舞

ホーラホラ、キリコなどの他、地を這うような姿態の演目が中心となるが、中でも大テングが松明を持って獅子の相手をするヨソブリは見もの。近年では創作的な演目にも取り組んでいます。県内外の競演会に積極的に参加するとともに、保存会でホームページを作成して情報発信・PRにも力を入れています。

所在地:射水市庄西町(新湊)
主な上演場所:日枝神社


二口熊野社火渡り神事

燃え盛る炎の中を駆け抜ける
二口熊野社秋季例大祭で行われます。氏子の家々を一巡して、けがれを集め、わらを燃やした炎の中を駆け抜けて、けがれを焼き払うという、不動明王信仰に基づく神仏混交のもので、山伏によって伝えられたと言われています。

所在地:射水市二口1976(大門)
主な上演場所:二口熊野社

演目はダイカグラ、ナギナタ、シシコロシなど多彩。最後に神社参道で行う火渡りは特に有名で、毎年多くの見学者で溢れる。

櫛田神社秋季例大祭(火渡り神事)

迫力満点の火渡り
櫛田神社の秋季例大祭で行われます。天台山伏から伝えられたとされています。 獅子や神輿が地区を一巡してけがれを集め、杉の枝(落葉)が燃え立つ中を勢いよく駆け抜けます。これによって、けがれを焼き払うという勇壮な祭りです。

所在地:射水市串田6841(大門)
主な上演場所:櫛田神社

砺波型の百足獅子で、こちらの獅子も参道で神輿の先導をして火渡りを行う。旧村内には氷見型の百足獅子も伝わる。


獅子舞の見どころ

胴幕(カヤ)

麻か厚手の木綿に手書きの唐獅子模様などが大きく描かれる。五箇山獅子や砺波獅子に竹製の輪がとおされて丸く膨らまされる。氷見獅子では両手で支えるための穴が設けられる。

2種類の獅子頭

多くの獅子頭は鼻が正面に大きく座り、丸く大きな目玉と写実的な歯並びで、概ね立方体に成形される。鮮やかな黒・赤の漆や銀色で彩色される。 もうひとつは箱獅子とよばれるもので、頭の頂部と鼻の高さがほぼ同じで、鼻が長く、目玉が大きく上を向き、粗い歯並びで、長い箱のような形状を呈する。行道獅子で使用されている。

 

獅子あやしの種類

(1)キンゾウ:着物に野袴の武者姿
(2)サンパサ:烏帽子に水干姿
(3)オドリコ:花笠に鮮やかな着物
(4)ササラ:平頭巾で手には鉦
(5)テング:手拭被りの天狗面で、太く大きな赤い襷を巻く。
*道化:願念坊、バチ、オカメ、ヒョットコなどが箒や箕などを手にして、場を盛り上げる。

金蔵獅子の演目

(1)キンゾウ:槍を手に獅子と格闘
(2)ヘビジシ:獅子が蛇を食べる所作
(3)キョクジシ:獅子方のアクロバット
(4)カグラジシ:御幣を手にキンゾウが獅子と演舞


被り物

氷見獅子では、漆塗りで紋章入りの烏帽子を被る。他の獅子舞では、ふさふさとした長い白毛のシャグマ(毛冠)を被る。

採り物

氷見獅子では先端に紙の房を付けた1メートル程の竹の棒が使用される。五箇山では両端に房が付く。 砺波獅子には薙刀、太刀、鎌などの武具が使用される。

衣裳と天狗面

氷見獅子では、狩衣に襷をかけ、紋章を描いた胸当てを付ける。タッツケ袴をはき、裾を紐でくくる。顔には朱塗りの天狗面を付ける。 砺波獅子では、着物と袴姿で模様を描いた胸当てを付ける。白鉢巻で後ろに大きく垂らす。顔は白粉と頬紅で化粧する。

獅子方

牡丹や唐草模様の胴幕に、巻毛模様のタッツケ袴をはく。獅子方の後者は、両手で胴幕を高く支えて、立体感を醸し出す。越後型神楽獅子では、胴幕をねじって首に巻く。


様々な採り物


他にも以下の獅子舞が富山の獅子舞百選に選ばれています。

■ 朴木の獅子舞/射水市朴木(新湊)
■ 作道の獅子舞/射水市作道(新湊)
■ 久々江の獅子舞/射水市片口久々江(新湊)
■ 江柱の獅子舞/射水市中新湊(新湊)
■ 西奈呉の獅子舞/射水市放生津(新湊)
■ 中町の獅子舞/射水市放生津(新湊)
■ 横町の獅子舞/射水市本町(新湊)
■ 四日曽根の獅子舞/射水市中央町(新湊)
■ 海老江中町の獅子舞/射水市海老江(新湊)
■ 堀岡東町の獅子舞/射水市堀岡(新湊)
■ 青井谷の獅子舞/射水市青井谷(小杉)
■ 三ヶ錦町の獅子舞/射水市三ヶ(小杉)
■ 黒河の獅子舞/射水市黒河(小杉)
■ やんさんま神幸式の行道獅子/射水市加茂中部(下村)


「富山の獅子舞百選」は、富山県教育委員会が行った『とやまの文化財百選』事業の第2弾として、平成17年度に選定されました。『とやまの文化財百選』は県内各地に残る身近な文化財を対象として、県民がふるさとの文化財の価値を再認識し、各地域、県民の保存・活用を促進するための取り組みです。

日本百選によると富山県は全国でも屈指の「獅子舞」の伝承数を誇っています。富山の獅子舞には「芸能獅子舞と行道獅子の両者が伝承」し、「百足獅子と二人立ち獅子が存在」、かつ「百足獅子は独自の演目を構成」、「二人立ち獅子には多様な獅子あやしを行う」という特徴があります。「とやまの獅子舞百選」では、主にこれらの特徴や魅力を紹介しています。

獅子舞百選の選定条件は「1.歴史的、民俗的に価値が高いもの」、「2.古くから地域住民に親しまれ、保存・継承状況が良好なもの」、「3.地域的特色が顕著で、地域や本県を代表するもの」、「4.地域住民や保存団体等の熱意により、復活・再生したもの」、「5.地域の活性化イベント等に活用されているもの」など計5項目。

祭礼日などに変更が見られるケースもあるため、それぞれの都市の観光協会に実施日を確認してから訪ねて下さい。 


獅子舞演舞

平成29年からは富山新港花火大会にて披露されています。とき:7月下旬


射水市の各地区で開催される「獅子舞」のご案内

春の獅子舞まつり

秋の獅子舞まつり

(市外局番0766)

※上記は平成30年のスケジュールになります。詳しい内容はお電話にてご確認ください。


編集後記

古代のインドから中国を経由して朝鮮半島へ渡り、7世紀の初めに仏教とともに日本に伝来したというのが日本の獅子舞のルーツと言われています。およそ1400年、全国各地へ広まった獅子舞、最近の都会ではせいぜいテレビの正月特番位でしかお目にかかれず、いつのまにかどこかに消え去ってしまったかのように感じていましたが、地方の村や町で脈々と息づき獅子舞のルーツを守り継承しながら、さらに日本伝統の獅子舞として発展し今日に至っていたのですね~。

我々の時代は、なんといっても嵐寛寿郎、通称「アラカン」主演の『鞍馬天狗異聞・角兵衛獅子』幕末の鞍馬天狗と美空ひばりが子役として演じた『角兵衛獅子』の活躍。町々で角兵衛獅子が躍るシーンや角兵衛獅子の稼ぎが少ないと親方から、今でいうパワハラを受け、鞍馬天狗が助けるというお決まりのシーンに映画館ではいつも拍手の嵐が起きていた。当時庶民の娯楽は映画や村芝居や町内ごとの祭り、町内対抗の子供相撲やソフトボール、神社境内での屋台の寅さん似の香具師による口上・・・いつしか忘れかけていた思い出が走馬灯のように現れてきます。

昭和20年代~30年代都会でもまだまだ見ることができた獅子舞。子供たちは獅子舞が来るとその厳つい顔に恐れながらも怖いもの見たさからか?一旦は蜘蛛の子を散らすように逃げるのですが…何度威嚇されてもすぐに集まり、晩御飯を食べるのも忘れ、後ろをぞろぞろと隣町までついて回ったものでした。

いまや都会の祭りはモダン化、ハイテク化し人と人、心と心の触れ合いはどんどん希薄になっています。
今回、編集にあたり絆を大切にされている射水市のまつりや獅子舞に触れることができ、益々そんな感を強くしました。

まだまだご紹介したい事は沢山ありますが、一先ずこれにて射水市編終了といたします。
ご協力いただきました射水市の関係者の皆様に感謝申し上げます。


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使


協力(順不同・敬称略)

射水市観光協会 〒934-0049 富山県射水市鏡宮296番地 TEL.0766-84-4649

射水市港湾・観光課〒934-8555 富山県射水市本町2-10-30 TEL.0766-82-1958

射水市役所 〒939-0294 富山県射水市新開発410番地1 TEL:0766-51-6600(代)

射水商工会議所 〒934-0011 射水市本町 2-10-35 TEL:0766-84-5110


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