ヒッチハイクのロマン
学生でヒッチハイクをしている人をたまに見かけますが、僕も何度もしたことがあります。
「ヒッチハイク」って聞くと、「ヒッピーみたいで格好悪い・・。」って思う人もいれば、「一度はやってみたい!」って思う人もいると思いますが、やったことのない人にはこう言いたいと思います。
まぁ、これはサントリーの鳥居信治郎さんが残した名言ですが、その通りです。
なぜならヒッチハイクには、「やってみないと分からないロマン」があるからです。
まずは、僕のヒッチハイク初体験の話をしたいと思います。
☆初めてのヒッチハイク
最初にヒッチハイクをしたのは去年の夏、アメリカから帰って東京につき、広島に帰省する時でした。
ヒッチ経験者の友人にヒッチハイクの聖地と言われている東京の用賀が始めやすいと聞き、そこから始めました。
用賀は、東名高速が始まるところで、入り口がマックの駐車場付近にあるので、車が止まりやすいとのことでした。
半信半疑で拾った段ボールにマジックでとりあえず「静岡方面」と書いて、マックの前に立ってみました。
通り過ぎる大量の車を見送りながら、自信なさげに立っていました。
歩いてすれ違って行く歩行者に目に耐えれず、すまし顔でちょいちょいボードを下げたりしながら、待っているとなんと、12分ほどたった時に曲がりかかった車のおじちゃんが手を振りながら、止まってくれました。
あの時のおじいちゃんの顔は今でも忘れられません。
僕の後方数メートルのところに車が止まると、僕はバックパックとデイバックを急いで背負って、車の元に走っていきました。
「ありがとうございます!!!」
と興奮気味で、車に乗り込み自己紹介をしました。
乗せてくれた車は孫に会いに神奈川に向かう途中の老夫婦で、後部座席に犬を乗せていました。
犬と戯れながら、老夫婦との会話を楽しんでいるとあっと言う間に東京を出て、神奈川の海老名SAで降ろしてもらいました。
これが初のヒッチハイクでした。
海老名SAで降ろしてもらった後、初ヒッチハイクの余韻に浸りながらサービスエリアでうろうろしていました。
その時の僕は、「ほんとにヒッチハイクできた!」って喜びと、「まだ一回成功しただけだ。ただの偶然かもしれない。」という自分を信じきれない気持ちの2つの気持ちが交じりあっていました。
といっても、サービスエリアに出てきてしまった以上、もうヒッチハイクで前に進む以外、道は残されていない状態。
まだ神奈川なのに、一旦ヒッチハイクを成功させた安堵と興奮から、「静岡方面」のボードを捨ててしまい、新しいボードを書き直しました。
「さぁ、西へ進まなきゃ」と思うものも、まだ恥ずかしさは拭えず、
「海老名は人が多いから、人前でヒッチハイクするの嫌だなぁ」と
モタモタしていると、気さくなトイレ清掃のおばちゃんに話しかけられました。
「ヒッチハイクしてるの??」
「学生さん?学生さんなら大きく学生って書いた方が乗せてくれるよ。」
「大きい段ボール余ってるからあげるよ!」
「もっと目立つ場所に堂々と立っときなさい!」
と怒濤のアドバイスをもらい、その通りにするとホントにすぐに乗せてもらえる人に出会いました。
そんなこんなで富士川(静岡)、刈谷(愛知)、大津(滋賀)、吹田(大阪)、三木(兵庫)、吉備(岡山)を経由しながら、無事広島の実家に帰ることができました。
途中、僕と同じミスチルファンの会社員とライブDVDを観ながら熱唱したり、運転してるお兄さんの可愛い娘さん三人とテレビ電話で英語のレッスンをしたり、味噌カツを奢ってもらったり、とむちゃくちゃ楽しい旅でした。
吹田であった世界一周帰りの同郷のヒッチハイカーとは、サービスエリアで話が盛り上がり日が暮れてしまったので、彼が持っていた簡易テントを広げてパーキングエリアの隅に野宿するという経験もしました。
兵庫辺りでは、もう完全に恥ずかしいという気持ちもなくなり、
サービスエリアに着くやいなや、
コンビニの店員に段ボールをもらい▶︎できるだけ目立つテーブルを堂々と陣取って、目的地を書いて▶︎無害そうな顔でニコニコ立つ
という手順が駅の改札にSuicaをあてるのと同じくらい簡単にできるようになっていました。
10分以内に乗せてもらえることも多くなり、一回の旅でもコツをつかんできました。
この旅で学んだことは
「ヒッチハイクは人生に似ている。」
ってことです。
10分以内に乗せてもらえるって言うと、
「そんなに簡単なの?」
とか
「意外に早く乗せてもらえるのね。」
ってことを言われるのですが、
言い換えれば、ざっと200台以上の車に”無視”されてるってことなんです。
しかし、例え200台にでも、1000台にでも無視されても、たった1台の人の目に留まり、乗せてもらえればヒッチハイクは成り立つ訳で、「ヒッチ成功」となります。
「見ず知らずのどこの馬の骨かも分からない旅人を乗せてあげる。」
そんな勇気と好奇心を持ってくれた、言ってみれば”変わりもの”に支えてもらえば、物語が前進する。それがヒッチハイク。
ロマンありませんか?
だからこそ僕は乗せてくれた人に対する感謝を忘れず、今後ヒッチハイカーを見かけたら即座に乗せてあげられる人になりたいです。