劇団天の河神社

うたかたのような日々(中島)

2023.10.26 14:01




皆さまお元気ですか。

劇団天の河神社 座付き作家の中島千尋です。

先日は、解散公演『うたかたの旅人たちへ』にご来場頂き本当にありがとうございました。


劇団ブログを書こう書こうと思っていたら随分と日が経ってしまいました。日にちが経つとあの日々の記憶が少しずつ薄れていっている気がして、あれは夢だったんじゃないかと、そんな気さえしてきます。



なんだろうね。

本当にあの瞬間って"うたかたの世界"なんだよね。




実は正式な劇団の解散というのは今年度末だったりします。ですが、12月31日までに天の河として何かをする予定はありません。

だから、実質解散!! 解散しました! あー! 解散しちまった!





どうせなら長めにつらつらと、

今回のことを振り返りつつ、座組みを振り返りつつ、劇団を振り返りつつ、書いていこうかなと思います。まああの、その結果、これを本当に投稿する日はさらに随分と日が経っている可能性もなきにしもあらずなのですが、ね。遅くなってもいいからちゃんと書くよ。




遅くなればなるほどあんまり読まれないかもしれないしね。だったら恥ずかしいこと、どストレートに綴っても罪にはならんか。なんつって思ってみたりね。





まずは何から話しましょうか。




解散公演のことかな。普通そうだよね。

改めまして、『うたかたの旅人たちへ』ご来場いただきまして本当にありがとうございました。



いかがでしたでしょうか?




”物語を終わらせるための最後の冒険”




というキャッチコピーを掲げておりました本作は、タイトルにもあるけど”継承”の物語だったりします。誰かから誰かへ受け継がれる想い。まあ、作品については構成作家の鳥居くんのが詳しいので、語らせるのはそっちに任せましょうかね。




私は、誰かのための言葉を書くことが得意な作家です。なので自分の物語優先、というよりはその人にあった言葉かどうかを重要視します。人間、生きてきた中で築き上げてきた語彙にない言葉ってなかなか言いづらかったりしますからね。そういうのを似合わせていく作業が私は得意です。





なので初稿は本当に初稿。

読み稽古を、お洋服屋さんでいう試着、フィッティングのような場と認識しております。





ああ、この人はこういう人なんだな。こういう言葉を使って喋る人か。思いの外グイグイくるぜ。きっとこちらを様子見してるんだろうな。まだ、緊張してるのかな。根はいいやつなんだろうけどこういうとこあるよな。初対面で壁とかないタイプか。この人よく喋るけど、よく喋るタイプの人見知りなのかな。よく周りを見ている人だな。……などと実はいろんなことを見ております。





そうやって元々用意していた言葉をその人自身に合わせていきます。




でも、もうちょっとできたな。

などと小さな反省をしてもいいでしょうか。もっとできた。私、もっとできた。

解散公演なのに悔しー……と実は思い出し泣きできるくらいには、後悔があったりします。




喋りにくいとこいっぱいあったよね、ごめんね。




ですがその分、今回のキャストさんは物語の深くまで潜ってくれるタイプのキャストさんたちで、登場人物と真摯に向き合ってくれたからこそ、今回のクオリティまで持っていくことができました。




ああ、なんてダメな作家なのだろう。

今まで自分は天才なのだと自負してきましたが、別にそんなことはありませんでした。

あーあ、なんてこった。




今回のキャストさんは、コミュニケーションの壁がない人ばかりでした。

今まで演劇をやってきて、こんなにも自分から喋れた座組みは初めてです。自分はかなり重度の人見知りです。そんな人間が、人との距離の詰めかたをバグらせるくらいには、話せる座組でした。本当に話しやすかった。同い年が多かったのも嬉しかったな。




本当に嬉しかった。みんなと喋れて嬉しかった!ずっと喋りたかった。喋りたくても喋れない人見知りだった。どうすれば人と話せるようになるだろうっていつも考えてた。今日も喋れなかった。もっと仲良くなりたいのに、ってそう思うことばかりだった。自分じゃ取っ払うことの出来なかった壁をみんなは意図も簡単に乗り越えてきた。




ああ!

どうしたら伝わるかな。




演劇はお客さまがいて初めて成り立つ。

それは本当にそう。




でもそれ以前に、

本だけあったって演劇は出来ない!!




みんなが、「天の河の作品に出ますよ」

そう言ってくれたから私たちは公演を打つことが出来た!




出演してくれてありがとう!!!

みんながいたから最後の公演を打つことが出来た!




みんな素敵な俳優さんだった。

あんなに台本を読み込まれた時はどうしようと思った。出てくるのはボロだけでそんなに読み込んだところで訳わかんなくなるから辞めときなよ。とそう言いたかった。




あんな膨大なセリフ量と、転換と、早替えだって気を配らなきゃいけない。

それをみんな一生懸命やってくれた。




それだけで胸がいっぱいになる!




嘘じゃない!




もうみんなそれぞれの時間に戻った。

立ち止まっているのは私だけかもしれない。





嫌だな!カッコつけて書きたかったのに書き殴りになってしまった!



真っ直ぐと届く声を持っているのは強みだよね、ブッチー。


お酒はほどほどに飲むんだよ!人情に熱いたつる。


鳥居くんに何度も「かまちしゅりのこと大好きだよね」と言われた、同い年で喋りやすかったしゅり。


こんなにも人間としてかっこいい人いるんだろうかと感心することばかりでした、大島さん。


座組の癒し!千秋楽のあそこのシーンの芝居は良かったね。君とだからできたよ、まな。


グイグイとくるぐらいが本当にありがたいんだよ、私は。ありがとね、夏はる。


全てを計算して書いたはずがすっかり忘れてた。最後の「ありがとう」はそうか君に向けて言うのかって思ったら泣いてしまいました。健。





私ちゃんと言ってなかったよね。

天の河に出てくれて本当にありがとう!!!





活字でしか無かった言葉たちが帰るべき場所に還り、生命が吹き込まれ、パソコンの中に見た世界が目の前で組み立てられていく。それって本当にすごいことで。




私が画面の中で対話をしていた登場人物たちは、確かにあの場所に居ました。

もう一度会わせてくれて、ありがとう。

ちゃんと会えたよ、わたし。




夢を謳った物語と、不可能を可能にする演出家と、無謀を形にするスタッフさんと、夢ばかり見るクリエイターの代わりに現実を見てくれる制作と、全てが整った舞台で目一杯生きてくれる俳優さんと、それだけじゃまだ足りなくて、凄く沢山の人が関わってあの空間を作り上げていました。




そしてそれは、お客さまがいてはじめて完成します。




4000円という決して安くはないチケット代を払って、大事なお時間を割いて、あの長い坂を登り、劇場に足を運んでくださるお客さまがいることが何よりも嬉しい。




天の河の物語と出会ってくださりありがとうございました。



解散についてのメッセージとかも本当に嬉しかったです。あのあたたかい拍手のために、今までがあったんだと本気でそう思います。



誰かに覚えていて欲しいです。

このうたかたのような世界で人々が生きたその証を。空っぽの劇場で物語が始まり、そして消えていくその繰り返しを。






さあて!!!!





長々とお付き合いありがとうございました!!普通に今作の振り返りブログです!!

天の河神社については本当の解散の日にきちんと書こうと思います。

私の大切な居場所!この場所がないと私はただのひとりぼっちの物書きにすぎませんでした。



みんなと1ヶ月一緒に歩いてきた旅路は、千穐楽を迎えたあの日、分かれ道に差し当たりました。今はもう、一人一人それぞれの道を歩んでいることだと思います。





矢野木葉が「いい旅だった!」と胸を張って言ったあの瞬間を、私も目指すこととします。




この旅を終えた時に、同じように言えるように。




劇団は終わりますが、演劇はやめません!!

書きます!! 台本依頼とか受け付けてます!!基本的には天の河しか出たことがない役者ですが、出演もしたいです!演出助手は商業の現場で通用するくらいにはできます!!




何かでご入用な時は、「そういえばあんなやついたな」と思い出してくだされば幸いです。





解散公演終わった後もブログの締めかたは一緒!!!!



前へ!!!!





進むよ!!!!!!!!!