教員の確保について(一般質問より)
教員不足が課題となっている公立の小中学校において、直近である、本年8月1日時点の講師未配置数を確認したところ、小学校で193名、中学校で71名でした。これは、年度初めの5月1日時点での未配置より、小学校で70名、中学校で28名の未配置が増えたことになります。
その主な要因としては、年度途中の正規教員の退職をはじめ、産休や療休の増加、日本語指導等の教職員の必要性の増加が挙げられ、毎年度3月をピークに、未配置はさらに増えていくとのことでした。
また、長年にわたる教員不足を解消するため、これまでは非常勤講師として勤務していただいた方が正規採用になり、講師登録者が減少したことも、未配置を解消できない要因となっています。
このような中、県では、教員不足の解消に向けた取り組みを行っていますが、その進捗について質問しました。
今年度から、県では「教員不足解消に向けた緊急対策事業」に取り組んでいるが、進捗状況はどうか?
県教育委員会では、今年度新たに民間企業を活用して、教員志願者に訴求力の高いポスターやパンフレットを作成するとともに、本県の教員の魅力を具体的に紹介するPR動画を制作し、動画配信サイト等で10月上旬から公開する予定です。
また、千葉大学と協働し、これまでに、教員を目指す高校生を対象としたサマーセミナーや、大学生1、2年生による小中学校での教育活動体験を実施したところであり、参加者の教職への関心の高まりがみられます。
今後は、教育学部の学生等を対象とした意識調査を予定しており、その結果も踏まえ、志願者の一層の確保に努めてまいります。
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本県における、令和6年度の教員採用試験の志願倍率を見ると、小学校が1.9倍、中学校中高共通が3.5倍と、ともに昨年度より0.6ポイント減少しました。質の高い教員を確保するには、最低でも倍率が3倍は必要との指摘もあります。
岐阜県では、教員採用試験の一部の合格者を対象に、奨学金の返済を支援する制度を設けたところ、小学校の志願倍率が1.95倍から2.46倍に増加したそうです。
質の高い教員の確保、また、減少する教員志願者の確保のためにも、奨学金の返済を支援する制度の創設を検討いただくよう、要望しました。
昨年実施された本県の教員採用試験において、一次選考は合格したものの、コロナに感染したため、二次選考を控えていただいた事例がありました。
本県の教員採用試験には、小学校特例選考という制度があり、小学校の一次選考に合格し、二次選考を受験した者については、二次選考の合否に関わらず、次年度に本県の臨時的任用講師等として勤務している者を対象に、一次選考が免除となります。
しかし、コロナに感染し、二次選考を受験できなかった者については、この特例選考の対象とはならず、翌年も一次選考から受験し直さなければなりません。
ちなみに、コロナに感染した場合、茨城県や熊本市では再試験の実施を行い、長野県や京都市においては翌年度の一次選考免除の措置をとっています。
感染症等やむを得ない事情により、教員採用試験を受験できない者については、再試験の実施や翌年度の一次選考を免除するなどの対応が必要ではないでしょうか。
来月以降、来年度の教員採用試験の実施要項の検討がされると伺っております。ぜひ受験要件の見直しと緩和を行い、教員の確保に努めていただくよう要望しました。