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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

患者さん、リハ専門職向け:Evidenceから見た急性腰痛(ぎっくり腰)になったらすべきこと、すべきでないこと。~理学療法士が勧めるぎっくり腰対策~③

2018.09.17 19:04

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


前々回から、ぎっくり腰になった際にどういうことをすべきか?ということを書いています。 

前回までで、ぎっくり腰の時の対応の概要と、注意してほしいポイントを書きました。 

腰痛の中に稀に隠れている重篤な疾患に関して書いて、医師以外の職種に『診断』を任せると危険ですということを書きました。 


話がやや抽象的だったので、少し具体例をあげます。 

2015年にタレントで俳優の阿藤快さんが亡くなりました。大動脈瘤の破裂だったそうです。 

大動脈とうのは、心臓から出てすぐの所にある太い血管で、全身に血液を運ぶ幹線道路の様な動脈です。


阿藤さんは、背中の痛みを訴えて、マッサージを受けていたとのことです。

背中の痛みは、大動脈解離などの疾患の前駆症状として現れることがあります。

背中の痛みを訴える男性患者が、60歳を超えていて、喫煙や高血圧など、その他の動脈硬化の危険因子を持っていた場合、医師はこういった重篤な疾患の可能性を必ず考慮して診察してくれます。 


阿藤快さんの背中の痛みが大動脈疾患の前駆症状によるものなのか、本当にただ背中の筋肉などの症状だったのかはわかりません。

ただ、医師の診断を受けずにマッサージ屋さんなどの医療サービス提供施設に通い続けた場合、大動脈解離などの重篤な症状をあらかじめ発見できる可能性はほぼ0%です。 

大動脈瘤が破裂してしまうと、救命率は低く、いわゆる『突然死』してしまいます。


大動脈疾患は、血圧をしっかり下げる、必要に応じた手術のタイミングを逃さないなど、きちんと管理すれば、阿藤快さんのような、『突然死のリスク』はそう高くはありません。 


ですので、繰り返しお勧めしますが、ある程度の期間続く背中・腰の痛みがある場合は、直接マッサージ屋さん整骨院などにかかるのではなく、一度医師の診察を受けることをお奨めします。 


さて、上記の様に、腰痛と一口に言っても、筋肉や骨の問題だけでなく、様々な原因が考えられます。

ただ、過度に心配になって頂きたくないのは、このような命にかかわるような疾患によって腰痛が生じる可能性は稀であるということです。 全部の腰痛のうち、85%~90%が原因のよくわからない(重篤な疾患でない)腰痛であるとされています。 

このように、原因のよく分からない腰痛、ぎっくり腰には、正しい情報を知ることが何よりも重要です。 


長くなりましたので、次回に続きます。 次回は、『正しい情報とは何か?』に関して書きます。


今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

  理学療法士 倉形裕史 


次回へのリンク









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