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『あの日にドライブ』荻原浩

2018.09.17 11:29

うっす。全然更新できませんでしたな。

暇人のくせに!

はい、じゃあ読んだ本のことでも書いていこうか。



父と二人で釣りに行ったお盆の日、ブックオフにて購入。

『あの日にドライブ』。目をつぶってそいや!と手に取ったのがこの本だった。


主人公の牧村伸郎は43歳の元銀行マン。現在はタクシードライバーとして都内を走っている。

やり手の銀行マンだった牧村。しかし彼は上下関係の厳しい銀行において、たったの一度、支店長への反逆行為を行ってしまったことで首を切られてしまう。

プライドばかりが増長していた牧村は、自分ならまだやり直せると信じていた。


日銭稼ぎのために、とりあえずタクシードライバーの職に就いた牧村だったが、そこは過去の栄光とは無縁の世界。日々のノルマに直面し、生活リズムも家族とずれていく。



牧村は夢想する。

もし、大学生だった時の彼女と、そのまま結婚していたら。

もし、銀行に就職せず、彼女が好きだった絵本を刊行している出版社に就職していたら。

もし、あの時支店長に逆らわず、我慢できていたら。

もし、もしーー。


だが、その夢想は現実にはならない。

タクシードライバーとしての日常、二人の子どもの父親としての日常が続いていくだけだ。妻の律子も、あの頃の律子とは変わってしまった。いや、自分が変わってしまったのか?ああ、どこで何を間違えたのだろう。そうしてまた牧村は夢想する。




あらすじはそんな感じ。



「荻原浩さんの小説は登場人物への愛を感じる」

どこかの誰かが言ってたこの感想に納得する。

物語の中で牧村は、不幸せな事象から逃げるために妄想を続けるが、ふと目の前の現実だって悪くないなと気づく瞬間に出会うことができる。

荻原浩は敢えて牧村にマイナスを感じさせ、プラスの事象に出会わせる。そして牧村は自力で前を向きハンドルを握ることができる。それを読者は目撃する。



現実は、逃げちゃくれない。もしあの時、を繰り返してたって「あの時」は繰り返せない。

誰もが一度は考える、「もし、あの時」を柔らかく否定し、静かに肯定してくれる、そんな小説でした。