2-3. 理由なく好き、理由なく愛される
良さcafeを始めて、1年経つか経たないか、という頃だったと思う。
「なんで好きなんですか?理由は?」
と聞かれたことがあった。
それは良さcafeとは別の場で。
一回りほど若い友人と話していたとき、彼女が発した言葉。
「本当の友達がいない」
「私を好きな人なんて家族だけ」
というようなことを言った彼女に少し驚いて、
「わたしは、○○ちゃん好きだよ」
と伝えたときに、もらった問いだった。
「なんで好きなんですか?理由は?」
わたしは
「理由なんてないよ!好きだから好きなんだよ!」
と、真剣に言った。
「○○ちゃんの素敵だなぁと思うところは
いっぱいあるよ」
と、具体的にいくつか挙げた。
「でも、それは好きな『理由』じゃない。
今言った素敵だと思うところが○○ちゃんになかったとしても、好きだもん」
そう言いながら、ものすごく泣けてきてしまったのだった。
理由なんてなくて、そのままで愛される存在なんだよ。
それを、頭で理解するのではなく、「実感」してほしいなと思っていたのだと思う。
でも全然伝わらない気がして、もどかしかった感覚を今でも覚えている。
でも、翌日。
彼女からもらったカードに、こんなことが書いてあったのだ。
「私、愛されてるんだ、って思えたよ」
また、涙が出た。
彼女に「理由なんてない!」と言ったとき、わたしの心はものすごく震えた。
あんなに気持ちが高ぶって、涙が溢れてしまったのは、本当は わたしが誰かに言ってもらいたい言葉だったからなのかもしれない。
それはつまり、わたしがわたしを理由なく好きで、理由なく愛される存在だと実感したいのだということ。
それが当たり前である世界に身を置きたいのだ、と思った。
わたしは良さcafeを、そんな世界の縮図だと思ってやっているのだ、と。
そのままのわたしの、よさがある。
そのままのあなたの、よさがある。
そのままで、理由なく、愛される存在なんだ。
それを感じたい。
自然に実感できる世界にしたい。
あぁ、だから、わたしは良さcafeをやることになったのか。
これが、わたしの心の真ん中と「良さcafe」が ぎゅっと絆を強くした瞬間だった。