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WUNDERKAMMER

ショートショート1~10

2018.09.18 13:20

1.その殺人鬼は、岩を使う。

そして犯行に使った後に小さく割り、そこらにばら撒くのだ。

一見するとそれはただの石であり、みな無関心に踏みつけていく。

貴方が今踏んだ石は、蹴った石は、

拾った石は、

本当にただの石だろうか?

・・・

2.アメリカのとあるオカルトクラブでは、「本物」の心霊写真写真があるという。

一見ただの友人達の記念写真なのだが、たまにそれを見て悲鳴を上げたりそのまま失神する人がいるのだ。

「あれが見えない人は幸せだ」

みな口々にそう呟くという。

・・・

3.やだなあ、そんなに怒っちゃって

お酒の量が足りないのよ

もっともっと呑んで呑んで呑んで

そうそう千鳥足千鳥足

さあ階段から落っこちて

ほら、これがお酒の適量だよ

・・・

4.そこダムは、竣工日の夜になると何故か水の底が光りだす。

中を覗くと、ダムに沈んだ家々が見え、その家の灯りが光っているのだ。

「これは家達の亡霊だ」

昔そこに住んでいたという彼は、目を伏せながらそう語った。

・・・

5.「あの日私は山で迷っていました。

霧の中彷徨っているとなんとも言えない美しい香りがしてきて、目の前に巨大な鬼が現れたんです。

で、気が付いたら家の前でね、

その時思ったんです。人里のなんて臭い事!

それから私は香水を作るようになりました。」

幻想的な香りで人気な調香師はそう語る

・・・

6.そのビルの最上階には、誰も入れない部屋がある。

窓はあるのだが扉が無く、外から入れる様子もない。

しかし夜になると電気が付き、何処から入ったのか女性数人の動き回るシルエットが映し出されるのだ。

ある目撃談だと、箒に乗った女性が窓から入って行ったという。

・・・

7.山の奥に村を発見した。

村に人はおらず、全員何処かへ掛けている様だ。

その村で異様だったのは、村の中心に立てられたトーテムポールだ。異様に細く、木で出来たとは思えない作りだった。

私は近付いて、そして逃げた。

それは人間で出来ており、さらにそれは「うぅ」と声をあげたのだ。

・・・

8.愛犬が亡くなった。

口から無垢のように真っ白な、あれは確かに魂だった。それがつるりと出てきたのを見たのだ。

それは身軽に私の周りをくるくると回り、私の顔を舐める様な仕草をしてそのまま月へ駆けて行った。

それはまるで昔の走りまわっていた頃の様で、私は止めるのを忘れてしまった。

・・・

9.朝起きると北海道のホテルにいた

身体を見ると私は裸で、手首に「31597821637845」という刺青がぐるりと入れられ、その下に「全てはここに巡り来たる」と書いてあった

言葉の意味もわからないが、どうすればこの台風の中、広島から一晩で北海道まで私を起こさず運ぶことが出来るのだろうか

・・・

10.最近VRプレイ中での死亡事故が相次いでいる。

被害者は全員同じゲーム「来る」をプレイ中で、死因はショック死。

しかし何故か現場の壁にはそのゲームの殺人犯よろしく

「I CAMEEEEE!!!」

と血文字で書かれていた。

誰が書いたのか、誰の血なのかは

未だにわかっていない。