金属類の盗難防止について(一般質問より)
鉄鋼製品の原料として、国内外の鉄スクラップの需要の高まりにより、鉄などの再生資源を屋外保管する金属スクラップヤードが増えています。
ヤードの新設や増加に伴い、騒音や火災の発生、建設に伴う違法開発行為など、周辺住民の方からは、さまざまな苦情や相談をいただくことも増えました。
そのような中、今定例県議会において、「千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例」案が上程されました。事業場ごとに事業許可の取得を義務付けるとともに、既存の事業者にも許可取得を求めるとのことで、安心安全な生活環境の確保につながることが期待されます。
一方、ここ数年で、鉄スクラップの価格が2倍に上昇している関係で、工場や建設現場の資材やグレーチング等の盗難も増えています。
足場仮設工事を行う事業者の方のお話によると、足場資材の盗難被害にあいましたが、金属スクラップヤードに持ち込まれていた資材に気づき警察に通報。犯人も捕まったとのことでした。
金属の価格が上昇している中、盗難を助長させない取り組みが求められることから、被害状況の確認と被害防止への取り組みについて質問しました。
金属類の盗難事件の被害状況はどうか?
金属類の盗難事件の被害状況に関するご質問についてですが、令和4年中の金属盗難の認知件数は822件で、前年に比べて138件増加しました。
令和5年8月末における認知件数は997件で、前年同期に比べて420件、72.8パーセント増加しています。
特徴としては、金属盗難の内、太陽光発電施設からの銅線盗や側溝の蓋であるグレーチングを対象とした盗難の認知件数が大幅に増加している状況です。
金属類の盗難被害を防止するため、どのように取り組んでいるのか。また、盗難品を持ち込ませないような取り組みはどうか?
金属類の窃取の多くが組織的に行われているとみられることから、他の県警と連携しつつ、犯人グループの検挙に努めるほか、発生地域におけるパトロール活動を強化するとともに、所有者等に対しては、防犯カメラや防犯灯、警戒センサーの設置などの自主防犯対策の促進についてお願いしています。
また、盗難被害に遭った金属類の多くは、いわゆる「金属スクラップヤード」等の買取業者に持ち込んでいるものと認められるため、古物営業法に基づき営んでいる事業者に対しては、立入り調査において必要な指導を行っています。
古物営業に該当しない買取業者については、その実態把握に努めるとともに、買取り時における本人確認や警察への積極的な通報等について協力を求めるなど、盗難被害品を安易に持ち込ませない環境づくりに努めています。
県警としては、引き続き、県や市、関係機関・団体と連携しつつ、各種対策に取り組んでまいります。
◇
盗難品の売買を防止するため、古物商等に対しては、古物営業法に基づき、取引の相手方の身分確認、不正品発見時の警察官への通報、取引記録の保存が義務付けられています。
金属類を売買する際、グレーチングなどを本来の用途に使用する目的で買い取る場合は、古物営業の許可が必要ですが、原材料として買い取る場合は、許可の対象外となってしまいます。
他の道府県では、盗難に遭った金属類の流通の防止と、速やかな発見をはかるため、古物営業法に準拠した金属くず条例を制定し、規制を行っているところがあります。
金属くず条例の制定も含め、金属類の盗難・流通の防止に努めていただくよう、要望しました。