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マヤ

『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI48 三代目妄想劇場ショートストーリー

2018.09.19 01:10

病室に入ると酸素マスクをつけて弱々しく息をする女性の姿があった。




「痛み止めが効いてるようですが、面会は手短にして下さい」




点滴の調整をして看護師が出ていった。




先に臣が女性の母に付き添い、椅子に座らせた。



「お母さん…」




酸素マスクが息で白くなった。




「側に居てやれなくてごめんね。もう心配ないからね」




母は女性の手を握りしめた。




女性は母の後ろに立つ隆臣に目を向けた。




「…たぁくん、来てくれたの?」




隆二が後ろから隆臣の背中を軽く押した。




「おねーしゃん…」




隆臣が前に出て女性の側に立った。




女性の手は母を離れ、隆臣の髪に触れた。




「たぁくん…ごめんね」




「おねーしゃん、ポンポン痛いの?」




「…大丈夫だよ…もう治ったみたい」




幼いながらも、女性の具合が思わしくないことがわかるのか、隆臣に笑顔はない。




「たぁくんね、お前に痛いの飛んでけーってしてくれるんだって」




母は必死に涙を堪えて語りかけた。




「ありがとね…お名前なんて言うんだっけ?」




「たぁくん…」




隆二が隆臣の言葉に続いた。




「隆臣っていいます」




「そう…いい名前だね、たぁくん」




女性が瞳を潤ませている。




すると隆臣が女性の手を両手で握った。




「痛いの?おねーしゃん」




「…たぁくん、お姉さんはね、もういいの」




息が苦しそうになったのを見て、隆二が隆臣の肩をさすりながら声をかけた。




「たっくん、お姉さんねんねさせてあげよ」




「すみません、ありがとうございました」




母が深々と頭を下げた。




女性は荒い息を吐きながら、隆臣の手を離れバイバイした。




「ありがとう…たぁくん」




臣が軽く母に会釈をしてドアを開けた。




隆二が隆臣を促し、部屋を出ようとした時だった。




「おねーしゃん!」




隆臣が声をあげた。




「おねーしゃん!ちゅっぱちゅ…」




「しゅっぱつ…しんこーだよ‼︎」




驚いた表情で隆臣を見つめた女性の目から涙がこぼれ落ちた。




一同も何も言わず静止して隆臣を見つめている。




沈黙を破ったのは女性だった。




「…そうだね、出発進行…だね」




「たぁくん、ありがとう」




一瞬ではあったが、女性に生きる気力が満ちたようで、それはとても明るい声だった。




「バイバイ、またね!」




隆臣が手を振りながら部屋を出て行った。




病室のドアが閉まるまで、女性は笑顔で手を振り続けた。





つづく