日誌抜粋~大きい組 - 心情の揺れ動き
送り車から降りて北鎌倉の駅裏を線路沿いに歩いていると、金木犀のいい香りがする。すかさずサリは「うちに金木犀植えたんだ」と嬉しそう。そういえば森戸川の時も金木犀を植えた話をしてくれた。植えた時楽しかったのだろう。
左手の小道の階段を歩いていくと、神社が見えてくる。みんなで「はぁちゃん、元気になりますように」と神様にお願いをした。結局この日は神社の前を3度通ったのでみんなで神様に3回お願いしたことになる。はぁちゃん、元気になったかな。
いざこざがあったのは行きの狭い一本道。一本道は一度揉めると逃げ場がないので荒れやすいが、この日もそういう日だった。
もう秋だというのに弱り果てて逆にしつこい粘着質な蚊が藪をウヨウヨしていた。ハルカは「蚊に刺される」と言って早く前へ行きたいが、前にはぴっことサリ。特にサリには逆らえないらしく抜かすことはできない。苛立つハルカ。その矛先は目の前のぴっこのバッグに向かい、押したり叩いたり。それまで耐えていたぴっこがとうとう堪忍袋の尾が切れたのか棒でハルカを叩く。はじめは緩く、しかし段々腹が立ってきたのか本気になる。こう言ったことが、何度かあった。
【トシロウの場合】
ハルカが泣いているのを見るとトシロウは見かねてピッコを制する。しかしハルカがはじめに手を出しているのを見ていたのか、それともハルカに優しくしても嫌がられ通じないからか、制し方は明らかにゆるい。そしてその後恥ずかしいのか、照れて当番母のほうをちらり。
【イブキの場合】
ハルカの後ろからしっかりと一切を見ていたイブキはというと、表情を固まらせていた。しかし「あ、こんなところに蝶々がいる」と、唐突な一言。場と自分自身を和ませようとしていたのかもしれない。
【サリとぴっこの場合】
知子さんとぴっこの前を歩いていたサリは、知子さんにハルカが泣いていることを聞くとハルカの頭をよしよしと撫でた。それを見たぴっこは面白くなかったのか、サリに「ハルカを一緒に棒でやっちゃおう」と持ちかける。しかしサリは話に乗らない。余計に面白くないぴっこはその後も幾度かサリに話を持ちかけたり、イブキを巻き込もうとする。最終的にはサリが、ハルカをつねる事でぴっこの肩を持った形となった。
この間までただ快不快を泣いて示す赤ちゃんだったのに、心情の揺れ動きは大人そのもの。しかしこの日ハルカは「なんでぴっこは今日ハルカのこと叩いたんだろ」とポロリ。思わず「いやいや、ハルカが先に手を出したからでしょ」と思ったが、心に留めておいた。気質の違いか月齢差か。