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天竜楽市

天竜川の舟運と天竜紅茶の知られざる歴史

2018.09.19 13:14

 天竜川の舟運は幕末以降、天竜川上流域に茶業の隆盛をもたらしました。
 開国以降、茶は日本の主要な輸出品となりますが、明治十二年(一八七九)五月五日、天竜川流域の茶取引の中心地であった磐田郡二俣村(現浜松市天竜区二俣町)に紅茶製法伝習所が開所すると、早くも翌年には、横浜港より天竜産紅茶の輸出が開始されました。

 天竜川の舟運は大井川、安倍川とは比較にならないほど発展しており、様々な産業の隆盛に貢献しています。
 明治三十二年に清水港が開港すると、静岡茶は国内の上位を占めるようになり、大正十年には作付けで全国の三割超、製茶量で四割弱が静岡産となりました。中でも、清水港からの茶の輸出は全国の八割を占めていたと云われ、水運の利を活かした茶の輸出が静岡茶の地位を押し上げていったのでありましょう。


 熊切の紅茶は、明治期から輸出され、過去に英国で金賞を受賞したこともあると伝えられています。
 山の紅茶は、一般的な国産紅茶に比べ香味が豊かでしっかり濃く出るのが特徴。それでいて苦渋味は少なく甘味が濃厚で、砂糖などは使わずに美味しく飲むことが出来ます。
 世界を見渡しても、良質な茶葉の産地の条件の一つとして「標高の高さ」が上げられます。
 山で作るから紅茶は美味い…本場、英国紳士も高く評価した天竜川上流山間部の紅茶。支流の気田川から船に積まれて異国に運ばれていった茶葉に想いを巡らせながら飲んでみるのも良いですね!



 阿多古川流域も江戸時代から良質の茶葉産地として知られています。二俣に開所した紅茶製法伝習所に学んだ茶師も数多くいたことでしょう。
 昔ながらに一芯二葉を手摘みして手作りで仕上げたオレンジペコーグレードの国産最高級紅茶は、濃厚な味わいながら苦渋味はほとんど感じられません。
 国産紅茶の常識を翻す逸品です。

 天竜区横山町のカフェ「Miles Tone(マイルストーン)」では、天竜川を見下ろしながら天竜産紅茶を愉しむことが出来ます。
 この眼下を帆掛け船に揺られて茶葉が運ばれていったのですね…

 バスが筏船(ダンベー、団平船)に載って川を渡っていたのも、この地点(現横山橋付近)なのでした。