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藤村邦と渡辺俊之のブログ

知的障害の友だちの思い出

2023.10.31 20:42

知的障害者についての思い出がいくつかある。思い出は私の臨床を応援している。

 私の幼なじみは隣に住む「Kちゃん」だった。幼い頃から彼女の家を行き、一緒に食事もしたり、プールに行った思い出がある。あの頃の私は、Kちゃんが知的障害だとは知らなかった。小学2年の時に、彼女は普通学級から特別支援学級(当時は養護学級)に移っていった。そして僕らの交流は無くなった。

 五年生の時だったろうか……

 珍しく雪の積もった日、Kちゃんは壁側に立たされ、男の子達の雪玉の標的にされていた。うずくまるKちゃん。私は助けるどころか、男子友達にそそのかされKちゃんに雪玉をなげてしまった。立ち上がった彼女は、悲しい瞳で私を見た。私は「罪悪感」を始めて体験したのかもしれない。帰り道で泣いていた。

 あのKちゃんの瞳はいまでも心に焼き付いている。   

 クリニックにも知的障害者(児)がくるが、そんな時、私の心は、あの時代の私にもどる。

 「一生懸命生きていこうな」と心の中で声援を送る。先日きた知的障害の子も小学2年で普通学級から特別支援学級に移動した子だった。お母さんの眼差しが優しくて、その子はとても「良い子」に見えた。

 その子を見て、私は忘れていたKちゃんを思い出したのだ。

 Kちゃん家族は彼女が中学に上がる時に引っ越していった。Kちゃんの家も母子家庭、私も母子家庭だったが、私には開業している祖父がいた。家業も家の大きさも違うけど、僕らはあの頃、同じ小学生で、友だちだった。

 もう還暦過ぎただろう・・Kちゃん

 きっと、どこかの町で元気にやっていると信じている。