実話怪談~自殺は繰り返す~
実話怪談本の王道「新耳袋」に収録されている話に、自殺がいかに虚しくて耐え難い苦痛であるかが理解できる体験談があった。
※以下、新耳袋第一夜「投身する少女」より抜粋。
あるデパートで不気味なものを見ると彼女が言う。
デパートの屋上から少女の影が飛び下りる。
その影はそのまま地上へ落下していくが、地上に激突するまでにふっと消える。
そして消えたかと思うと、またしばらくしてその影が屋上に現れる。
こうして飛び下りを延々と繰り返しているのだという。
その話を聞いていたA君。
一か月ほどしたある日、件のデパートでこんな体験をした。
友人との待ち合わせ時間に予定より早く着いたため、時間を潰そうとデパートの書籍売り場へ行った。
そこで本を二冊購入し、屋上へ上がって買い求めた本を読み始めた。
一冊は心霊写真を特集した本で自分でもなんでこんなものを買ったのか不思議に思ったという。
その本を読んでいるとき、彼の後ろに誰かが立って本を覗き込もうとしたかと思うと、ばっさりと女の髪が自分の右頬にかかった。
彼をそれを右手で払いのけたが、しばらくするとまた背後に立って覗こうとする女の髪がばさりと頬にかかる。
そんなことが続くと彼は「いいかげんにしてくださいよ!」と抗議し振り返ったが、そこには誰もいない。
気味が悪くて下に降りようとエレベーターに乗った。
その時、彼は自分が腰かけていたベンチの場所は、例の少女が投身自殺した場所であったことに気づいたという。
●このように、自殺をした者はその場所で「自殺前後の行動を繰り返す」のです。
自殺をしたときの気持ちというのは陰(マイナス)の状態。
そして、その思いは死後も残り続けてストップモーション(停止状態)する。
ですから死んだら楽になるどころか……死去前と同じく辛い時を過ごすのです。
【死んで花実が咲くものか】