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中古住宅の災害リスクとは?対策は耐震性と耐震診断にあり!

2017.11.10 05:12

中古住宅といっても販売する以上、多少の安全性は保証されている、と考えている人は多いのではないでしょうか。一般的に中古物件は「住めることを前提」として公開するものですが、すべてが災害に強い建物というわけではありません。例えば、新耐震基準を満たしていなかったり、地盤が弱かったりした場合、大地震で建物が倒壊する可能性は高くなります。また、災害は建物だけでなく、人命にもかかわってきます。そこで今回は、中古住宅が抱える災害リスクに着目し、そこに見え隠れする課題を踏まえたうえで、リスク対策に欠かせない「耐震の必要性」について紹介します。


中古住宅が抱える災害リスク

大震災の状況や耐震化率、耐震基準改正の経緯に触れながら、中古住宅が抱える災害リスクについて認識しましょう。


近年の住宅災害リスクと耐震基準改正の経緯


中古住宅の災害リスクは、これまで2回にわたり大きく改正された「耐震基準」と関係しています。耐震基準は、建築基準法の耐震分野にかかわる基準で、1981年に新耐震基準として改正されました。しかし、1995年に発生した阪神・淡路大震災では、1981年以前の旧耐震基準による住宅の倒壊が甚大だったこともあり、全国的に新耐震基準の住宅を促進する動きが強まりました。そうしたなか、2000年に再び改正されたものが、現行の新耐震基準(区別するため以降”2000年基準”と表記)です。ところが、2011年に発生した東日本大震災では、阪神・淡路大震災を上回る住宅の倒壊被害を出しています。


近年の耐震性と住宅災害リスクの傾向

・1981年:耐震基準から新耐震基準に改正

震度5程度の地震では駆体に損傷を生じない、震度6強~7程度の地震では建物が倒壊しないとしている。

・1995年:阪神・淡路大震災(最大震度7)

住宅の倒壊被害総数は約25万棟。神戸市中央区の木造住宅では旧耐震基準住宅の約64%、新耐震基準住宅の約23%が被害を受けた。

・1998年:耐震化率約68%※

・2000年:新耐震基準から2000年基準に改正(主に木造住宅についての基準を改正)

従来の木造住宅の基準に、地耐力のある基礎の採用、筋交いと柱の両端を固定する金具の使用、耐力壁のバランスを計算するなどを追加。耐震強度の基準は据え置き。


・2003年:耐震化率約75%(総戸数:約4,700万戸、耐震性ありの住宅:約3,550万戸)※

・2008年:耐震化率約79%(総戸数:約4,950万戸、耐震性ありの住宅:約3,900万戸)※

・2011年:東日本大震災(最大震度7)


住宅の倒壊被害総数は約40万棟。


・2013年:耐震化率約82%(総戸数:約5,200万戸、耐震性ありの住宅:約4,300万戸)※


このように、大震災とともに耐震性は見直されているものの、住宅の災害リスクに著しい動きは見られないのが現状です。築年数の古い中古住宅に限っては、地震災害による倒壊被害に特に注意する必要があります。


(※参照:耐震化の進捗について(PDF)|国土交通省、住宅耐震化の進捗状況(PDF)|国土交通省)


建物だけでなく地盤にも注意する

地盤が軟弱な場合、地震による倒壊被害とともに、地盤沈下や液状化といった二次災害に気をつけなければなりません。特に、氾濫平野や海岸平野などでは、地盤が軟弱であることが多く、前述した地盤災害以外に、河川・高潮洪水にも警戒が必要です。こうした情報は、国土交通省のハザードマップポータルサイトを利用すれば、リアルタイムで入手できます。


中古住宅の災害対策に向けた事前準備

結論からいうと、中古住宅の災害対策とは、住宅の耐震性と真剣に向き合うことです。ここでは、耐震を前提とした自分でできる、中古住宅ならではの災害対策に向けた事前準備をみていきましょう。


建築完成時の図面を入手する

施工当初の図面があれば、それを基に耐震診断や耐震補強といった対策が立てられます。施工当初の図面は、契約時に引き渡されるのが一般的です。といっても、現状では図面なしというケースも多く、ある意味で中古住宅が抱える別のリスクといえるでしょう。図面がない場合は、契約した不動産会社に相談する、専属の設計士がいるハウスメーカーを訪ねるなどして、新しい図面を作成してもらうのもひとつの手です。


建物のチェックポイントは5箇所

対策を立てる場合、図面と並行して、建物の内外部を確認することも重要です。

チェックする際にはまず、前述した2000年基準を参考にします。柱の上側(梁/はり)と下側(土台)、筋交いの上側(梁)と下側(土台)に金具がついているか、耐力壁の配置計算がされているかの2点です。

次に、床下と屋根裏を確認します。いずれも、水漏れや湿気の有無を兼ねたシロアリ対策です。

最後に、外壁の状態をくまなくチェックします。専門家に耐震強度を診断してもらうための事前確認です。


地盤も念入りにチェックする

地盤についても、ハザードマップポータルサイトの利用だけにとどまらず、自ら確かめます。といっても、購入前に敷地内をスコップで掘ることはできないため、地面の乾湿や基礎コンクリートの状態をチェックします。地面は、雨続きだと乾湿の判断がつきにくいので、事前に天候を調べておくとよいでしょう。一方、基礎コンクリートが湿っている場合は、周辺一帯が湿地帯の影響から水分を多く含んだ土地の可能性も考えられます。地中に水分が多いと、地表に沸きあがる湿気の量も多くなり、床下の換気対策を視野に入れなくてはなりません。


中古住宅の購入前に耐震診断の実施状況を確かめておく

前述した「建物のチェックポイント」をうのみにして、独断で工事を進めるのは早計です。仮に工事後の耐震診断で補修が必要だと判断されたら、工事費用を二重に負担しなければなりません。そうした余計な出費を抑えるためにも、事前に耐震診断の実施状況を確認しておくことが大切です。中古住宅を購入する際は、物件選びと並行して、耐震診断の実績がある専門業者も探してみてはいかがでしょうか。


参考:

・住宅の耐震化の進捗状況(PDF)|国土交通省

・耐震化の進捗について(PDF)|国土交通省

・住宅・建築物の耐震化に関する現状と課題(PDF)|国土交通省

・新耐震基準と旧耐震基準の違いとは?大地震に備えて耐震リフォームを|ホームプロ

・住宅等の耐震化の推進について(PDF)|内閣府防災担当

・住宅事情について(PDF)|国土交通省 住宅局

・住宅の耐震基準は1981年と2000年が転換期|All About住宅・不動産

・【耐震基準】旧耐震・新耐震・2000年基準(木造)の違いと有効性|ミトミの仲介

・平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(PDF)|総務省消防庁

・国土交通省ハザードマップポータルサイト|国土交通省