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【カギは3業者】中古マンションの購入前に確認すべき“地震対策”ポイント!

2017.11.24 05:30

「いくら中古マンションといえど鉄筋コンクリートだから地震でも大丈夫」と考えている人は、多いのではないでしょうか。でも現実は違います。東日本大震災における宮城県のマンション被災データによると、高い耐震性を有する「免震・制震構造マンションの90%以上が無被害」だったのに対し、それ以外のマンションは「50%以上が軽微以上の被災を受けた」といわれています。そこで今回は、中古マンションを購入予定の人にとって、地震対策に役立つ情報を紹介します。


中古マンションの基本的な耐震性を知る

購入予定の中古マンションの基本情報を知ることで、大まかな耐震性を把握できます。そのカギを握る存在が、物件購入にたずさわる不動産仲介業者です。


物件の基本情報を握る「不動産仲介業者」

不動産仲介業者を通して中古マンションを購入する場合、担当の営業マンから耐震性を聞くことができます。とはいえ、不動産仲介業者は耐震の専門家ではないため、中古マンションの築年数や耐震工事の有無など、基本的な情報を聞き出し、そこから判断する必要があります。


築年数から新耐震基準かどうか判断できる

築年数を確認することで、購入予定の中古マンションの耐震性が判断できます。その目安となるのが、新耐震基準を満たしたマンションかどうかということです。新耐震基準は、中地震の際に軽微なひび割れ程度にとどめること、大地震の際には倒壊しないことを前提としています。一方、旧耐震基準では、中地震で倒壊しないことを前提としているため、大地震による倒壊リスクは非常に高いといわれています。耐震基準は1981年に改正され、新耐震基準になったことから、それ以降に建てられたマンションであればおおむね耐震強度があると判断できるでしょう。


中古マンションの一歩踏み込んだ耐震性を知る

マンションのエキスパートであるマンション管理士に相談すれば、不動産仲介業者より詳しい耐震性や耐震情報が入手できます。


物件の詳細情報を握る「マンション管理士」

マンションの構造からコンサルタントまで、一定の専門知識を有するのが、マンション管理士です。マンション管理士は国家資格でもあり、購入予定の中古マンションの耐震性について、電話やメールで相談ができます。公益財団法人マンション管理センターが相談窓口になり、個人・法人を問わず対応しています。相談の際は、「耐震構造」「基礎と地盤」「耐震等級」を確認することが大切です。なお、マンションの保守や点検など行う“マンションの管理人”とは業種が異なるので注意しましょう。


部屋内の耐震構造を確認する

マンション管理士に耐震性を相談する場合は、部屋内の施工状況を伝えます。マンション管理士は壁の枚数やバランスなどから、耐震性を判断するケースが多いため、事前に間取り図を入手しておくとよいでしょう。


「基礎の種類」と「地盤の形状」を確認する

マンションの基礎は、地盤の強弱によって施工方法が異なります。その代表といわれているのが、直接基礎と杭(くい)基礎です。マンションの直下にある地盤が固い地層(支持層)の場合は、直接基礎を施します。一方、支持層のうえに軟弱な地盤があるときは、支持層まで杭を打って基礎を支える杭基礎で対応します。マンション管理士からは、そうした基礎の種類を聞くとともに、液状化のリスクを視野に入れた対象エリア一帯の地盤の形状についても確認しておくとよいでしょう。


耐震等級を確認する

耐震等級とは、住宅の耐震強度を3段階で設定した「住宅性能表示制度」のひとつです。住宅性能表示制度を簡単にいうと、良質な住宅を販売するために、耐震性や省エネルギー対策といった分野を設けて、それらを数値化で評価する任意の制度です。購入予定の中古マンションが住宅性能評価を受けていれば、住宅性能評価機関から耐震等級を確認することができます。一方、住宅性能表示制度は義務付けられていないことから、耐震等級が不明というマンションも少なくありません。そうした場合、「マンション管理組合」に住宅性能評価の実施状況について確認できます。しかし、仮に住宅性能表示制度を受けていないことがわかったとしても、マンションに限っては個人が耐震等級チェックの実施を要請することはできません。ただ、マンション管理士に助言を求めることはできます。ところが、そこでマンション管理組合が要請を受け入れたとしても、構造計算書や施工業者の確認などがあることから、耐震等級の判明まで時間がかかるといわれています。


中古マンションの下見で実践すべきポイント

購入予定の中古マンションの耐久性は、購入者自身の「目」で確認することもできます。その際のチェックポイントは、外壁と内装の耐久性です。


外壁のヒビ割れをチェック

外壁にヒビ割れがあると、建物内部に雨水が侵入しやすくなるので、耐久性も低くなります。建物内部では木材を下地としているため、雨水を浴び続けると木材の腐敗を招くことが、耐久性を低くする原因のひとつです。外壁でヒビ割れの確認がしにくい場合は、基礎コンクリートの部分に着目してみるとよいでしょう。


内装の結露やシミのチェック

室内を見学する際は、壁のシミやカビの臭いに注意が必要です。いずれも、雨漏りや水漏れなどが原因である可能性が高く、外壁のヒビ割れと同じように、下地の腐敗による耐久性の低下が想定されます。また、換気効率が悪く、気密性も低い建物は、特に窓に結露ができやすいので、窓際の壁もチェックしておくのがポイントです。


中古マンションの地震対策なら「耐震の専門家」がオススメ!

例えば、住宅性能表示制度の都合上、耐震等級がわからないというケースもあります。そうしたとき「耐震の専門家」に耐震診断を依頼すれば、“時間をかけず”に建物の倒壊レベルを数値化してくれます。地震対策を考えた中古マンションの購入を予定しているなら、ぜひ3つの専門業者を上手に活用してみてはいかがですか。


参考:

・東日本大震災 宮城県マンション 被害状況報告|株式会社東京カンテイ

・相談窓口について|公益財団法人マンション管理センター

・早分かり!耐震性の目安|SUUMO

・災害に強いマンション|SUUMO

・中古住宅、どう選ぶ 耐震・地盤のリスク確認を|毎日新聞

・ご自分のマンションの耐震性を確認したいマンション管理組合の皆様へ(PDF)|公益財団法人マンション管理センター

・修繕積立金はなぜ値上げされるか?5つの理由とその対策|リプレイスサポート