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taishin nippon

「キッチンリフォーム+耐震補強」が得なこれだけの理由

2017.12.08 05:38

近年、キッチンリフォームをする際、それに合わせて耐震補強工事を実施する住宅が増えています。「住まいのグレードアップと安全性強化を同時に図れる」との認識が高まった結果とみられています。また、「リフォーム+耐震補強」なら、個別工事より安上がりになるメリットも大きいようです。


顕在化する「キッチンストレス」

キッチンリフォームは、単にキッチンが古くなったという理由だけではなく、近年増えている「キッチンストレス」解消を目的に行うケースが増えています。

キッチンではなぜストレスがたまりやすいのでしょうか。その主な要因は次のようなものとされています。


・こまめな掃除が欠かせない

調理中に食用油が飛び散る。鍋から出汁や調味料が吹きこぼれる。生ゴミや包装ごみが発生する。熱気や臭いがこもりやすい。排水口のヌルヌル、油煙のべたつきなどの掃除は力をこめなければならないので疲れる


・飲食店の厨房(ちゅうぼう)のように、手際よく調理ができない

調理器具キャビネットの中で鍋が重なっているので取り出しにくい、調理中にザルや鍋を一時置きするスペースがない


・動きにくい

手際よく調理できるよう、フードプロセッサや電子レンジなどを適正に配置できるスペースがない


キッチンストレス解消に向けたキッチンリフォームのポイント

キッチンをストレスのない、快適な調理場所に改善する抜本策は「キッチンリフォームだ」といわれています。したがって、キッチンリフォームにおいては、飲食店の厨房のように手際よく調理ができる作業性はもとより、居心地の良い場所に改装することが重要です。


そこで気になるのが、キッチンリフォームの工事費でしょう。

「リフォーム工事は新築に比べて割高感がある」と思っている人が少なくありません。それは事実でもあり、誤解でもあります。リフォーム工事に割高感がつきまとうのは、次のようなリフォーム工事ならではの特徴があるからです。


リフォームは新しい箇所と古い箇所をつなぐ工事

リフォームをする場合は、リフォーム箇所と既存箇所が混在しているので、両者をつなげる必要が出てきます。

リフォーム工事では、このつなぎ目に違和感ができないよう、つなぎ目をなじませて仕上げる「取り合い工事」が不可欠です。取り合い工事はリフォームならではの手間で、新築に比べて割高感が生まれる原因のひとつです。しかし、すべてを新しく作り直す建て替えに比べ、リフォームは使えない箇所だけを新しくする改修工事です。リフォーム後のキッチン仕事の快適さといった全体的な価値を考えると、割高感も薄れるのではないでしょうか。


リフォーム工事はいったん壊してまた作る作業

リフォーム工事では、付随工事がしばしば発生します。

例えば、キッチンリフォームのために間取りを変える場合は、単に間仕切り壁を移動するのではありません。また、天井や床の補強が必要になることがあります。その際は天井や床をいったん壊して補強を施し、天井や床を貼り直す作業が必要です。


リフォームは工事単価が割高

建築工事は、規模の大きさに比例して施工効率が良くなるので、規模が大きいほど工事単価が下がります。リフォーム工事は、新築工事と比べてはるかに小規模なので施工効率が悪く、工事単価が上がります。これもリフォーム工事の特徴です。


工事費を安くするコツは「リフォーム+耐震補強」

このリフォーム工事費を安くするコツが「一括リフォーム」です。

例えば、洗面所が古くなったから、浴室が古くなったからなどの逐次リフォームは工事費が割高になります。つまり、キッチンリフォームをする際、他の箇所をまとめてリフォームするのが工事費を安くするコツです。リフォーム工事の規模拡大を図れば、工事単価を圧縮できるからです。


さらに安くするコツが「リフォーム+耐震補強」といえます。

仮にキッチンリフォーム費に80万円、耐震補強費に150万円かかる場合、合算で「80万円+150万円=230万円」とはなりません。規模の経済性が働くので別々の工事費合算より安くなるのです。

加えて、キッチンリフォームは全額自己負担になりますが、耐震補強には公的助成措置があります。キッチンリフォームは単独で行うより、プラス耐震補強で行うと予想以上に工事費が安くなるケースが少なくありません。


調査データが示す「キッチンリフォーム+耐震補強」の意外な安さ

耐震補強が必要か否かは、耐震診断サービス会社が住宅建築時期、建物の地盤・形状と壁の状況を、所定の基準に基づいて診断し、判断を下します。


耐震補強の方法

耐震補強が必要な場合は、一般に次のような補強を施します。


土台と床下

土台と床下は建物の構造体である柱と梁(はり)を支える最も重要な箇所。

土台にひび割れが生じている場合は、以下の補強をします。


・該当箇所にエポキシ樹脂を注入

・土台が無筋コンクリートの場合は、その外側に鉄筋コンクリートの土台を作って無筋コンクリートと抱き合わせ

・土台に据えた柱が腐朽している場合は、腐朽箇所を新しい柱と入れ替える「柱の根継ぎ」補修


壁は建物の耐震性を左右する箇所。壁は柱、梁、土台の間に筋交いを入れる、強靭(きょうじん)な構造用合板を柱、梁、土台に打ちつけることにより補強します。


接合部

地震によって緩みやすいのが接合部。土台と柱、柱と梁、梁と構造材などの接合部は、耐震金物やアンカーボルトで接合を補強します。


キッチンリフォーム+耐震補強の費用

さて、「キッチンリフォーム+耐震補強」の費用ですが、見積もりはもちろんリフォーム会社によりまちまちです。そこで、日本建築防災協会の『木造住宅の耐震改修の費用』が1つの目安になるでしょう。

上記資料の「耐震改修工事とリフォーム工事を同時に行った事例」の試算結果は次の通りです。


・試算モデル

1974年竣工の木造二階建て住宅、延べ床面積99.37㎡、リフォーム工事実施年:2007年、リフォーム箇所:キッチン


・工事費試算結果

キッチンリフォーム費:63万円、耐震改修工事費:169万円-60万円(耐震補強の公的助成措置)=109万円


この試算結果によると、通常なら232万円(63万円+169万円)かかるのが172万円に減り、25.9%安上がりになっています。そのうえ、キッチン仕事が快適になり、住宅の安全性も向上するのです。

なお、公的助成措置には国の減税措置と自治体の補助金支給の2つがあります。補助金の方は自治体により支給額や支給条件が異なります。


地震への不安を過度にあおる業者は要注意

「キッチンリフォーム+耐震補強」に際して、見積もり依頼をした業者が地震への不安を過度にあおり、不要な工事を上乗せして工事費をつりあげるケースが散見されます。

これを見抜くポイントが住宅建築時期です。

住宅は建築時期により耐震性能が異なり、1981年と2000年がその変わり目になります。

1981年に建築基準法が改正され、耐震基準が刷新されました。新耐震基準の目安は「震度5程度で損傷しない、震度6~7程度で倒壊しない」です。旧耐震基準の「震度5程度で倒壊しない」と比べると、耐震性が大幅に強化されています。また、2000年に建築基準法が再改正され、新耐震基準に木造住宅における基礎の形状、柱の接合金物の仕様強化規定なども追加されました。

したがって、1981年以前、1981年以降2000年以前、2000年以降に建築された木造住宅では耐震補強工事が大幅に違ってきます。つまり、築年数が古いほど工事費が高く、新しいほど安くなる理屈です。

いずれにしても、見積もりが妥当か否かの素人判断は禁物。見積もりの依頼をする前に、耐震工事の専門知識と経験が豊富な耐震診断サービス会社へ相談するのが賢明といえるでしょう。


参考:

・キッチンの不満を解消する6つの方法|All About

・家事楽リフォーム! 炊事・選択・掃除ストレスチェック|All About

・リフォーム工事はなぜ高い?|All About

・住宅の耐震補強工事をしたい!|ホームプロ

・耐震リフォーム|東京ガスリモデリング

・木造住宅の耐震改修の費用|日本建築防災協会

・耐震リフォーム工事で知っておきたい3つのポイント|All About