『もっと穏やかな新しい価値観を創り出そう』
スイスで25日に開会した世界経済フォーラム年次総会
「ダボス会議」。
俳優の渡辺謙さんがスピーチに立ち、各国から寄せられた
東日本大震災の被災地支援への深い感謝と立ち上がる
決意を語るとともに、原子力から再生エネルギーへの
転換を訴えました。
渡辺さんは、震災発生直後から、インターネットにメッセージ
などで被災者を応援するサイト「kizuna311」を立ち上げ、
現地を幾度も訪れるなど、支援活動を積極的に続けています。
スピーチは現地時間25日午前(日本時間同日午後)に行われた。
渡辺さんは「私たちの決意として、世界に届いてほしいと
思います」と話しました。
スピーチ全文は以下の通り(2012.01.25東京新聞より引用)
『初めまして、俳優をしております渡辺謙と申します。
まず、昨年の大震災の折に、多くのサポート、メッセージを
いただいたこと、本当にありがとうございます。
皆さんからの力を私たちの勇気に変えて前に進んで行こう
と思っています。
私はさまざまな作品の「役」を通して、これまでいろんな時代
を生きて来ました。
日本の1000年前の貴族、500年前の武将、そして数々
の侍たち。さらには近代の軍人や一般の町人たちも。
その時代にはその時代の価値観があり、人々の生き方も
変化してきました。
役を作るために日本の歴史を学ぶことで、さまざまなことを
知りました。ただ、時にはインカ帝国の最後の皇帝アタワルパ
と言う役もありましたが…。
その中で、私がもっとも好きな時代が明治です。
19世紀末の日本。そう、映画「ラストサムライ」の時代です。
260年という長きにわたって国を閉じ、外国との接触を避けて
来た日本が、国を開いたころの話です。
そのころの日本は貧しかった。封建主義が人々を支配し、
民主主義などというものは皆目存在しませんでした。
人々は圧政や貧困に苦しみ生きていた。
私は教科書でそう教わりました。
スピーチの最後に、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を英語
で話した渡辺謙さん。素敵だと思います。
『競争ばかりでなく、もっと穏やかな新しい価値観を
作り出す必要がある』に深く共感しました。