『人に思いが伝わるラジオの良さ』
夏休み中の息子が昨日、新しく体験したこと。
それは、意識的に「ラジオを聞く」ということ。
とても新鮮だったようで、夕方から夜にかけて
「おおっ、いろいろな音が聞こえてくるね!」と
AM/FMのチューニングを興味深く行い、
やがて好みの番組が定まると、流れてくる音楽に
ノリノリ(*^_^*)
その夜、偶々流れてきた、山下達郎の名曲
「Blue Moon」
一時、少年時代にタイムトリップした私は、息子に
在りし日の思い出を語って聞かせました。
昭和40~50年代当時、ラジカセは少年たちの憧れ。
国内の電機メーカーは、こぞって黒色で重厚な形の
製品を次々に発売し、市中の電気屋さんのショー
ウィンドウに並べられた、最新のラジカセを見ては、
格好よさに惹きつけられたもの。
小学5年の誕生日に親から買ってもらったラジカセ。
馴染みの電気屋で選んだのは、ナショナルのRQ-518。
「冒険マック」という別名を持ち、当時主流のヨコ型
でなくタテ型で、ジープの様なゴツゴツ感が気に入った
もの。
松下電器はナショナルブランドの下、「マック」
という愛称のラジカセを発売。もちろんその後のアップル
とは無関係。
ダイヤルをそおっとゆっくり回しつつ、スピーカーに耳を
やり、異国の音が少しでも聞こえてこないかと心ときめ
いていたあの時。
毎晩、枕元で「冒険マック」から流れてくる国内外の様々
な名曲に心躍った瞬間。
中でも、FM東京で週5日オンエア(毎週月~金22時
40分~23時)の 「マクセル ユア・ポップス」は、DJ
及川恒平さんの落ち着いた語り口と選曲の良さから、
ほとんど欠かさずにラジカセで録音。
毎晩聴きながら、マクセル製カセットテープにひたすら
気に入った曲を録音した懐かしい中学時代。
番組編成としては基本的に、ニューミュージック系の
アーティストを週単位でフォーカスし、最新のアルバム
から毎日数曲を番組の中で紹介するもの。
この番組で初めて聴いた山下達郎のフュージョン風で
爽やかな明るい演奏&詩情溢れる美しいメロディー
の取り合わせ。最高に気持ち良くて、現在でもお気に入り♫
また、「かぐや姫」の伊勢正三と、「猫」の大久保一久
が結成した、フォークデュオの「風」もお気に入り。
「海風」や「北国列車」「古都」「ささやかなこの人生」
「Bye Bye」「ほおづえをつく女」「月が射す夜」などの曲
は、テープが擦り切れるほど何度も聞いたもの。
そうそうラジオから初めて聞いた洋楽は、サイモン&
ガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」。
以来、大切な曲の一つに。
現代文明の象徴であるテレビ、そして後継者たるインター
ネットの発達により、情報ノイズの洪水に対する静かな
警告と、社会におけるコミュニケーションの喪失を静か
に唱える曲。
情報の洪水は、あたかも人間を知識あるものに見せ
かけます。しかしそれはあくまでも幻想にすぎません。
わかったと思うことは、表面の一部でしかないことが大半。
”都会のディスコミュニケーション(意思伝達ができない
状態) は癌みたいだ。と叫んでみるが、そのぼくも、
静寂の響きの中に閉じこめられている。
どこに救いがあるのだろうか。
ネオンのメッセージが囁いている。
都市そして文明こそ我だ。我を拝みなさい。
そういう言葉に数知れぬ人々が従っている。
現実はもっと暗く、真実はもっと奥に隠されている。”
リスナーとの距離が非常に近く感じられ、人に思いが
伝わるメディアとしてのラジオの良さを、息子も感じて
くれたら嬉しい。