『北欧の巨人は変身する』
かつて世界の携帯電話市場でシェア4割
という圧倒的な地位を誇ったフィンランドの
「ノキア」。
今年4月、その携帯端末事業を米マイクロ
ソフトに売却。
携帯電話を失ったノキアは、新たな事業領域
に挑もうとしています。
日経産業新聞記事で、同社が、製紙から
携帯端末、通信機器そしてビッグデータ
へと業態を変化させる姿を紹介していました。
大胆な事業ポートフォリオの入れ替えを
進める同社に注目させられます。
ノキアの2014年4~6月期決算は、米マイクロ
ソフトへの携帯電話端末事業の売却で、
純損益は25億1000万ユーロ(約3436億円)
の黒字に転換。
本業はネットワーク事業となり、これが売上高
全体の90%を占めています。
過去の姿にこだわらず、時代の変化への適応
力は、「ノキア」の強さの源泉なのでしょう。
東京五輪が開かれる20年には、世界の無線
通信需要は1人あたり1日1ギガバイトになる
と予想されています。
モバイルやクラウドなど様々なIT(情報技術)
の普及により、膨大なデータを有効利用する
ことは企業の重要戦略。
■「キャリアアグリゲーション技術」
収容能力が高い「スモールセル技術」や複数
の電波を束ねて高速化
■「リキッド(液体)技術」
各基地局にサーバーを置き、需要が集中する
コンテンツを蓄積し、もとまで取りにいかなくて
もいいようにする
■デジタル地図情報サービス
携帯端末向けに提供した「HERE」と呼ばれる
カーナビは、欧米の車載専用カーナビの5台に
4台が情報を利用しており、13年の売上高は
約10億ユーロで、2ケタの伸びを示す
「HERE」は、カーナビ向け世界地図で事実上
の世界標準になりつつあります。
リアルタイムの道路状況や数センチメートル単位
での位置特定、時間帯によって変わる交通規制
情報なども全て保有している高精度かつ広範囲
の地図情報。
北米や欧州では標準搭載カーナビ向けの地図情報
で8割のシェアを占めているのがそれを現しており、
今後の成長領域である自動運転の実用化において
、コア技術の一つとされています。
そのため、ドイツ自動車産業界や米国系IT企業、
中国勢などが、ノキアから事業買収しようと動いて
いると聞きます。
北欧の巨人と呼ばれる「ノキア」が、今後もどの
ような未来型事業を進めていくのか、注目して
いきたいと思います。