『帝国の凋落』
2014.12.20 12:08
原油価格の下落を受けて、産油国のロシアでは
経済状況が悪化するとの見方から、通貨ルーブル
が売られて暴落し、混乱が広がっています。
すでにルーブルは、過去半年間で約40%以上下落
しており、今後輸出手取り代金の大幅減少により、
国内経済が痛手を受けることは避けられません。
これまで石油価格が高水準で推移してきたことに
よる相対的な繁栄で、有権者の支持を得てきた
プーチン大統領ですが、今回のルーブル暴落は
その手腕の試金石になるとみられます。
ロシア経済はもともとウクライナ危機に伴う欧米の
制裁影響で低迷していました。そこに今回の原油
相場の急落が追い打ちをかけています。
ロシアの輸出の7割は燃料・エネルギーですが、
原油は全体の約3割を占めるもの。
市場では原油安が続けば経常収支が赤字に転じる
との観測が広がって、ルーブル売りに歯止めが
かからなくなっている状況。
ロシアは1998年、アジア通貨危機に端を発した
金融危機で債務不履行(デフォルト)に陥った経緯
があります。
今回は直ちにデフォルトの危機が再燃する状況では
ないと聞きますが、原油依存の経済の弱さは当時
と変わらないようです。
ロシア政権は以前から再三、資源輸出に頼る経済
構造を変革する必要性を唱えてきましたが、兵器産業
以外には競争力のある産業が育っていません。
原油高に安住して製造業の再生を怠ってきたツケ
が回ってきたといわれる、今回のルーブル暴落。