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天竜楽市

エネルギッシュ!!生命力漲る天龍の華「印雑131」

2018.09.21 14:16

 天竜川を見下ろす霧の茶園で、スクスクと秋芽を伸ばす「印雑131」


 パンチの利いた濃厚な味わい、強烈な印象の花香…日本茶として特異な存在感を放つ「印雑131」、その美味しさの秘密は…

 印雑131の植えられた畝を見ると…樹の下の方からもモコモコと力強く若葉が芽吹いているのがわかります。

 上の画像、右が「印雑131」、左が「やぶきた」
 やぶきたは樹の上の方には芽が伸びていますが、下の方は葉の色も濃く、若葉は見当たりません。印雑は下の方からも芽が伸びていて、芽数も多く樹勢の良さが目立ちます。
 通常、茶樹は四十年を過ぎると樹勢も衰えてきますが、印雑131に関しては、改植から四十年を経てもエネルギッシュで生命力旺盛です。「まだまだ俺は現役だぜ」と言わんばかりですね!
 

 この溢れる生命力が、パンチあるダイナミックで濃厚な味わいの源泉になっているのでしょう。

 然し、龍川横山町(静岡県浜松市天竜区横山町)の茶園で育ち、月(天竜区月)の茶工場で製茶された「印雑131」の美味しさの秘密は、それだけではありません!

 横山町の茶師「平賀義行」師の「印雑131」といえば、全国に多くのファンがいます。恵まれた気候条件もさることながら…入念な畑の手入れも、茶の出来映えを大きく左右します。
 決して広大とはいえない急斜面の茶園の手入れは年間を通して行なわれています。収穫は二番茶までですが、夏からはまた来春の新茶に向けて準備が進められていくのです。

 タンクにたっぷりと用意されているのは有機肥料。化学肥料は使わず、適切な施肥を行なっています。


 茶は放って置いても春には芽吹き、新芽を摘んで出荷することが出来ます。自然条件に恵まれた山間部では、土地任せ、お天気任せでも良いお茶が出来ることもあり、面倒だから農薬も撒かない、肥料もくれない…何にもしない…お金も労力も掛からない…「自然栽培」といえば聞こえはよいですが、こうして何にもしないでも採れたお茶のことを「おかげのお茶」と呼んでいます。無農薬(本来「無農薬」という表示は違法)、化学肥料不使用を謳ったお茶の中には、こうした手抜きのお茶も一部に見られるのは事実です。


 本来有機JAS認証茶園などでは慣行栽培以上に手間暇とコストをかけて「オーガニック」のお茶を作っています。慣行栽培でも一流の茶師は施肥や土作りに精を出して手をかけて良いお茶を作っています。慣行農法とはいえ、寒暖差の大きい山間部では害虫も平野部に比べて少なく、消毒も最小限に抑えています…毎日のように畑を見回っていれば、万が一害虫が発生しても被害が広がる前に最小限の消毒で住ませることが出来るのです。


 今年は特に四月の小雨と高温で、初摘みのお茶の品質が例年より落ちると言われました…お天気任せの「おかげのお茶」では確かにそんな傾向も見られましたが…畑に水を撒き、土に肥料を行き渡らせ手入れをしっかり行なっている茶園のお茶とは、今年のような異常気象の年では例年以上に大きな差がついてしまうのです。

 土壌もまた、良いお茶が出来る重要な要素です。土壌で六割方決まるとも言われます。
 天竜川流域の山には赤土が少なく、土は黒く、緑泥片岩の破片が混じっています。

 天竜青石と呼ばれる緑泥片岩は、天竜川西岸を中心に、龍川から佐久間にかけての天竜川中流域から阿多古川流域にかけてみられるジュラ紀の地層である三波川帯に見られ、マグネシウム、カルシウムを豊富に含んでいます。この緑泥片岩が天竜茶の濃厚な味わいを決定づけていると言われています。

 山の斜面の段々茶園にはいくつもの石垣が積まれていますが…

 この石垣こそが天竜青石が積まれているのです。
 天竜青石を、平野部の赤土の茶畑に持って行って積んだら…良いお茶が出来るようになったというエピソードもあるようです。
 青い石垣は…味も香りも濃厚な天竜茶の美味しさのシンボルマークなのです。

 茶園に掛かる天竜川の深い霧。茶葉に水分を与え、適度に日光を遮って甘味成分テアニンが渋味成分カテキンに変わるのを防ぎます。
 天竜茶は渋いと言われますが、これは成分が濃厚で、茶本来の味わいを活かすため深蒸しにはせず、高級茶らしい浅蒸しで仕上げているためで、渋味の後に濃厚な甘味と旨味が出てくるのは、アミノ酸含有量が豊富な証しです。

 天竜茶は香りが強く、旨味甘味も濃厚ですので、「高級煎茶」に強いこだわりを持った茶師の方が多くいます。
 天竜では玉露、冠茶も作られていますが、品種本来の香りを活かすには…やはり煎茶が最適です。
 平賀義行師の畑からは、露地栽培で充分な旨味と甘味のある濃厚な煎茶が作られています。「印雑131」や「月のやまかい」のような個性的な芳香を持った品種の魅力が最大限に引出されているのです。