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”人と自然を調和しながら『持続可能な未来』を共創する”

『根を育てる人生』

2015.02.05 03:28

「人間にとって、その人生は作品である」
尊敬する司馬遼太郎さんの言葉です。

今日、私は50歳の誕生日を無事迎えることが
できました。

この世に有難く生を受けた半世紀前1965年
(昭和40年)2月5日
の天気は晴れ、 
最高気温8度、最低気温マイナス2度

この年の主な出来事として「いざなぎ景気」「3C時代」

(車、カラーテレビ、クーラー)などがあったと記録されて

います。


物心ついた頃に見た風景として、一家が集まる食卓の前に、

普段は織布が下げられている装飾の施された観音扉で画面を

守られたナショナル製の大きな四つ足の家具調カラーテレビ

がありました。仮面ライダーやウルトラマンなどを夢中に

なって見ていたことが懐かしい。


毎春、年が改まる度に「俺はもういくつになったなぁ」と年を

数え、二十年前、三十年前に比べて、自分自身がどれほど

進歩したか思い比べると、ただ恥ずかしいことばかりが

多くあります。


青年のときに思い描いていた理想が、いわゆる世の中の現実

によって擦れていき、磨滅してしまったこともあります。

しかし、この年にしては、自分ながらまだ理想を持っている

ように思えます。



生まれ育った半世紀を振り返ると、走馬灯に浮かぶそれこれ

が懐かしく思い浮かび、感謝の気持ちが溢れます。

両親、妻、息子、友人たち、素晴らしい人々の慈愛を頂き

ながら、意味のある人生の日々を送る実感を持つことが

できています。

「遠い異国で自分と同じ一生を生きている。
つまりその旅は、自分が育ち、今生きている世界
を相対化して視る目を与えてくれた。
それは大きなことだった」


敬愛する星野道夫さんの世界に触れてから、この

世界で生きていることの意味をなおさらに実感

したくなりました。


独り身の時であれば未だしも、家族を持ってからは

その協力がなければ、とても進んでいけないものです。

数年前、勤めていた大手企業の管理職に昇進(リーマン

ショック後の厳しい振り落とし試験での合格)しました。


しかし東日本大震災の後、子どもたちが夢や希望を

持てる未来の社会づくりに取り組んでいきたいという

気持ちが強く芽生え、悩みます。その際に理解を示し

応援してくれた妻。安定した収入を失う中で、家計を

支えてくれました。


現在では良い思い出にできているのも妻のお陰

いつも励ましてくれる息子と共に、本当に感謝の

気持ちでいっぱいです。


新渡戸稲造先生は、「一年に二回の花盛り」という

言葉で終わりを全うすることの大切さを説かれました。 

”哲学的詩人として有名なブラウニングの詩の一節に

 「the last of life for which the first was made」

とあるが、私は日ごろこの句の湧き出るような興味に

感嘆する。


「人生の終わりーこれぞすなわち深く人生の始めに

作られた目的」

実にこの通りだと思う。人生というものは

「終わりを全うする」ということなのだろう。

物事には始めと終わりがあり、始めは終わりのため

にあり、終わりは始めのためにあるのではない。

草木が発芽するのは、花が咲き実を結ぶためである。

人が生まれるのは成熟して死ぬためであるから、幼少・

青年時代はその「準備の時代」であり、人生の「目的

時代」はその後に来る。

私は「古今和歌集」の中にある菊に寄せた一首

を読んで、さすがに菊は長命だと少なからず

その趣に感じ入った。


年をとっても菊のように花を咲かせ、「老の香」

を放って、「老華」が若葉に劣らないことを示す

ことこそ、年を重ねた者の使命であろう。


「色変わる 秋の菊をば 一年に 

 ふたたび匂ふ 花とこそ見れ」(古今集)

(秋の菊は色変わりするが、一年の間に二度

の花盛りがあるのだと見るべきで、散る前の

単なる変色だと考えてはいけないのだ) ”


新渡戸先生は菊の花を例えにして、葉や花という

世の中に現れる変化は全て「根」から起こるもので

あり、なにはさておきこの根を育てるのが大事で

あると教えてくれます。


”「植えし植えば 秋なき時や 咲かざらん

 はなこそ散らめ 根さへ枯れめや」

(古今集)”


(菊の花だから、秋でないときには咲かない

だろう。だが、心をこめて植えてくだされば、

花こそ散るだろうが、根まで枯れることはない)

古い書にある通り、「汝一度水田に種子を播け、

数日を経て収穫すべし」と。


私たちがひとたび播いた種子の報いは、私たち

自身が刈り取らなければならない。若いときに

植える種子は、後年植えるものより、いっそう

深く根を張る。


根さえ確かであれば、幹・枝・葉・花は自然

結果として栄えるもの。そのことを自覚できた

私は、持続可能な未来を共創していくべく、

よりいっそう活動して参ります。