『食の問題、格差解決への取組み』
世界の人口は、現在72億人。
1分に137人、1日で20万人、1年で7千万人
が増えている。そして1年に6千万人が亡くなり、
1億3千万人が産まれています。
これだけ多くの人たちが毎日を生きている中で、
食料と水、空気は欠かせないもの。
ところが現実では貧富の拡大が進み、まともに
口にすることができない人たちが多くいます。
OECDは昨年10月、世界の富裕層と貧困層
の格差の拡大は1820年代と同じ水準にまで
悪化しているとの報告書を公表。
こうした変化は過去200年で「最も憂慮すべき」事柄
の1つだと警告しました。
世界の所得格差についてはフランスの経済学者、
トマ・ピケティ氏が著書「21世紀の資本論」の中で
厳しい警告を発して議論を呼び、同書はベストセラー
になっています。
「格差の拡大」により、食料の問題も様々議論される
ようになってきました。急速に増える世界人口、
とりわけ途上国に対する「食糧危機」が注目されて
います。
人口に対して足りない食料の「生産量を増やす」ため
に農業技術の開発や品種改良などを進めることが
大事であるというもの。
一方で、飽食の状況にある先進国では「食料の無駄
遣いを減らす」ことが必要といわれてきました。
1年間の食料廃棄量は、世界全体で16億トン。
食料生産量の約3分の1に相当する分が、毎年廃棄
されている現実。
先進国の一員で、食料廃棄が問題となっており、
片やグルメ情報があふれ返る日本。そんな日本で
今、ショッキングな現実が見られます。
それは、満足な食事をとれていない子どもたち
が増えているということ。
昨年NHKがNPOと新潟県立大との協力で、調査
した結果は驚くべきものでした。
2014年8月に発表された数字は16.3%と過去最悪
を更新。40人学級で6~7人が貧困家庭ということ。
夏休み明けに体重が減っている子どもが少なくない
といいます。日々の栄養を学校給食に頼っていて、
給食のない夏休みは食事を満足にとっていないから。
NHKの調査では、子ども1人当たり1日の食費
は329円、300円未満が半数近かったそう。
1食100円では、内容もコメだけ、麺だけとか、
栄養のバランスどころではありません。
貧血で倒れたなどの健康面だけでなく、学校
生活や友人関係にまで影響していたといいます。
「衝撃でした。社会がもっと力を尽くさないと」
神奈川県立保健福祉大の新保幸男教授は、
「友だちと同じにできないと、子どもは自己肯定感
を下げてしまうんです。なぜ自分だけ人より劣って
いるのかと...。これが深刻な問題です」といいます。
政府は昨年、子どもの貧困対策大綱を閣議決定
しました。支援の柱は4つ。教育、生活、保護者の
就労、経済。
対策会議の座長代理でもある新保教授は、
「学びの前提条件である食べることの支援をもっと
具体的に制度化する必要があります」と語りました。
出来合いの弁当や菓子パンだけで毎日の食事を
済ます子。家計が苦しく食事を抜く子。心と体の
成長の土台である「食」が揺らいでいます。
”「もう、ひとりぼっちで食べなくてすむ」「(給食が
ない)夏休みの食事が心配だった」。
食卓を囲む子どもたちから、ふとそんな言葉が
もれる。”
様々な生きづらさを抱えた子どもたちを、手作り
の温かな食事で支えたい。
そんな「子ども食堂」の試みが各地に広がり始めた
という嬉しいニュースもあります。
英国ロンドンでは食料の"譲りたい"と"譲ってほしい"
を、可能なかぎり近距離で、タイムラグなく、効率的に
マッチングさせる取り組みが始まっています。
事業者は、寄付したい食料があれば、ウェブサイト
やスマートフォンアプリを通じて、その情報を入力。
すると、近隣のチャリティ団体らに通知が届く仕組み
となっています。
寄付を希望する団体は、その意思を申し出て、
寄付先が決まったら、地元のボランティアが運搬を
サポートし、事業者から寄付先に食料が届けられる
という流れ。
食料を寄付したい事業者と、食料を求めている
チャリティ団体やNPOの情報を、オンラインマップ
に集約するもの。
テクノロジーを活用したこの「Plan Zheroes」の活動
は、他でも参考になりとても素晴らしいです。
「サス学」では、こういう問題解決のアイデアを
生み出せる、やわらか頭で未来志向の子どもたち
を増やしていきたいと願ってます。