『失敗があるから今がある』
2015.11.12 02:29
「失敗があるから今があるんだ」
ビデオに録画しておいた「下町ロケット」。
阿部寛さんが演じる主人公、佃航平が裁判の証言の場で熱く語る
「技術者魂」に、息子と二人で胸を熱くしました。
原作は半沢直樹シリーズの池井戸潤さん。
「下町ロケット」の主人公は、元宇宙科学開発機構の研究員で、
現在は父親が遺した下町の工場「佃製作所」の経営者である佃航平。
経営は順調で次第に業績を上げていく佃製作所。
しかし、あきらめきれない自分の夢であるロケットエンジンの開発に
力を入れすぎて、少しずつ業績は下降気味という状況。
ある日突然、取引先からの中止通知、メインバンクからの貸し渋り、
ライバル企業からの特許侵害訴訟、と難問が続出・・
そして大企業である帝国重工から佃製作所の持つ特許を20億円で
買い取りたいとの話が持ち上がる。
多額の負債を抱え、生死の瀬戸際に立つ佃製作所にとっては是が非でも必要なお金。しかし、その特許には佃の夢が詰まっている。
佃航平は果たして、経営者として、多数の社員の生活を抱える社長として、
どんな結論を出すのか…?
ライバル企業からの特許侵害訴訟で、証人喚問に呼び出された航平に対して、
相手の大手企業・顧問弁護士は、過去に宇宙科学開発機構で研究失敗が
あったことを指摘。佃製作所にはステラエンジンを開発する技術が無いと罵倒します。
それに対して、「失敗があるから今がある。その積み上げられた失敗を、
技術者の報われなかった努力をバカにすることは許さない」と反論する航平。
「技術者はみんな自分の無力さを知ってるよ。毎日、壁にぶつかって
ばかりだからな。だからこそ日々努力し、腕を磨いて、徹夜で開発に
没頭し、次こそはと信じて物を作り続けてるんだ。なんでか分かるか?
面白いんだよ。昨日できなかった事が出来るようになるからだ。」
この技術者論を聞いて、私は在りし日の父の姿を思い浮かべました。
自分が設計した機械の製品化に向け、作業服に着替え、自ら工場で汗と油に
まみれて、熱心に取り組んでいたその姿。
子どもの眼に映ったその姿は、一生忘れないもの。
終戦後、日本の復興を支えてきた中に、多くのそのような方たちがいた
ことはいうまでもありません。
航平は、「裁判長、これだけは言っておきます。たとえ裁判で負けたと
しても、ナカシマに特許を奪われたとしても、屁でもありません。
培ってきた技術力は決して奪えない。正義は我にありだ」と宣言。
思わず息子と、「そうだ!」とテレビの前で言ってしまいました。