アメリカ各地で広まるヤバいグループライド『RIDEOUT』
『RIDEOUT』って言葉をご存知だろうか? じつはこれ、4~5年前からアメリカのストリートで広まっているちょっとしたバイクムーブメントのこと。そもそも、BMXをバックボーンに持つブランドが、そのエッセンスを活かしてデザインした26”と29”ホイール版のBMX(クルーザー)を好んで乗るクールな輩が増え始めた。そんなバイクゆえに誰もがちょっと練習すればウイリーをキメられるようになる。いつしか、そんなウイリーガイたちを称して『BIKELIFE』と呼ぶようになった。そして、利用者が急増し始めたINSTAGRAMで、誰かが、「RIDEOUTやろうぜ!」とつぶやいた。すると、次から次からBIKELIFEな人々が集まった。それが、RIDEOUTのルーツだ。
どこからともなく集まる、ちょっとイカれた感じのバイクに乗った人々。誰が先導するでもなく、行き先を決めるわけでもなく、ただただノリで街を走るだけ。それも、皆がウイリーをしながら。RUIDEOUTは、正確なライディングルートや、終わり時間が決まったイベントではない。それどころか、特定の先導者がいないのもあたり前。すべてが自由で自己責任のグループライドなのだ。BIKELIFEスタイルの連中が一緒に乗るってこと。それだけが唯一の共通点だ。今じゃ、一度、インスタで呼びかければ、少ない時でも100人、多い時には1000人を超えるライドになる時もあるとか。
じつは、アメリカで実行されるRIDEOUTでは、ほとんどのライダーがSE BIKESに乗っている。SE BIKESは、40年以上もの歴史を持つアメリカ生まれの老舗BMXブランドのひとつ。そんなSE BIKESは、ブランドマネージャーであり、カリスマライダーでもあるトッド・ライオンズのクリエイトするBIKELIFEな自転車をずらり揃える。ラインアップには、歴代のBMXレーサーをそのまま26”や29”に拡大したようなバイクも多い。アップハンドル、ド派手なフレームパッドなど、他社のバイクとは一線を画すデザインが目を引く。なかでも人気が高いのが、BIG RIPPERで、このバイクはもはやRIDEOUTのキングといえる。
SE BIKES「DOG TOWN RIPPER29」
¥89,800(税抜き)
SE BIKES「BLOCKS FLYER26(カモフラージュ)」
¥63,800(税抜き)
問合せ=モトクロスインターナショナル
とはいえ、元々が自由なグループライド。SE BIKES以外のクロスバイクで走る普通の女子や、BMXキッズもいる。一緒に走ってその空気を楽しめりゃ自転車はなんでもいい。それがRIDEOUTのスピリットなんだとか。参加者の年齢層は、15歳から25歳が中心。これまでに開催された都市は、以下の通り。
フィラデルフィア、ピッツバーグ州
ニューヨーク、ニューヨーク州
ボストン、マサチューセッツ州
サンタクルズ、カリフォルニア州
オークランド、カリフォルニア州
ロサンゼルス、カリフォルニア州
セントオーガスティン、フロリダ州
とくに、フィラデルフィアとニューヨークシティが、RIDEOUTの聖地のような盛り上がりをみせている。
そして、RIDEOUTで注目されているのが「Dblocks」というカリスマ的存在のライダーだ。彼の本名はDARNELL MEYERS。ニューヨークのハーレム生まれ。バイクメッセンジャーでもあるDblocksは、何年もの間、ニューヨークのストリートでスタイリッシュなウイリーをキメたり、ときにバスの背面を歩くように走ったり、クレイジーな走りを続けてきた。間違いなく、今のBIKELIFEシーンで、もっとも影響力のあるライダーだ。有名ミュージシャンにも彼のファンは多く、様々なミュージックビデオにも登場している。なかでもPublic Enemyとの親交は深く、SE BIKESのサポートを受けるDblocksの影響で、2017年にはSE BIKESからPublic EnemyモデルのBIG RIPPERが登場した。現在、DblocksのINSTAGRAMには、30万人を超えるフォロワーがいる。ぜひ、rrdblocksをフォロー、合わせて「#sebikeslife」をチェックしてみよう。
じつは、2018年5月には、日本初となるRIDEOUTが愛知県豊明市で行われた。最近では、横浜あたりで火が付いたとの噂もあり。アメリカではアンダーグラウンドなカルチャーとして広がりをみせているRIDEOUT。いよいよ日本でも、このやばいグループライドが広がりそう。
気になる方は、ぜひYoutubeで「RIDEOUT」と検索してみよう。
(文/山本修二 写真/SE BIKES)