『夢はかなえられる』
「人生にとって大切なことは成功することではなく努力すること」
(ピエール・ド・クーベルタン男爵)
いよいよスポーツの祭典、オリンピックが始まります。
今回、日本からは選手団300人超で、前回のロンドン
大会から倍となる金14個が目標だとか。
この五輪には、IOC(国際オリンピック委員会)に
より初めて結成された、ROT(難民五輪選手団)
が参加。
難民であるために、母国の代表にはなれない選手を
救済する目的で結成されたROTは、アフリカと中東
出身の選手合わせて10人で構成されています。
その中の一人、シリア出身で競泳女子のユスラ・マル
ディニ選手(18)。
リオデジャネイロで行われた会見では、「オリンピックは
すべての選手にとって夢の舞台で、世界中の難民に
『夢はかなえられる』と伝えたい。一生懸命練習に取り
組めば、4年後の東京ではメダルが取れるかもしれない」
と、目標を掲げました。
内戦の早期終結が困難と考えたマルディニ選手は、
2015年8月、同じく競泳選手だった姉のサラさんと共に
首都ダマスカスから脱出。
そしてレバノンのベイルート、トルコのイスタンブールや
イズミルを経て、地中海を渡りギリシャへと逃れました。
トルコからは、密航業者が用意したボートに他の密航者
とともにへ向かいます。ボートには、通常6〜7人しか乗れ
ないところ、20人ほどが乗っていたそうです。
ところが、出港からわずか15分ほどでボートのエンジンが
停止。だんだんと水没し、マルディニ選手は、姉や他の
泳げる人々ともに海へ飛び込んで、ボートを押しました。
”泳ぎ方を知らない人もいました。私はただそこに座って、
溺れることに文句を言うだけでいるつもりはありません
でした。
溺れていたとしても、最低でも、私は自分自身と姉のこと
を誇りに思いながら溺れていたでしょう。”
(国連UNHCR協会)