パリ組曲㉓ モン・サン・ミッシェル観光
2018.09.22 02:43


モン・サン・ミッシェルを望む橋の階段に腰を掛けて、村のパン屋で買ってきたパンを頬張る。
大きなフランスパンに、ハムとレタス、それにマスタードが挟まれている。
おそらく本来は食べやすい大きさに包丁で切って食べるのだろう。一口かぶりつくだけでも大きな口を開けてパンを突っ込まなければならないほど。
「谷川さん、そのパン、すごいですネ。」
谷川が手に持っているそのパンに、ミヒャンが突然かじりつく。ところがフランスパンが固くて噛み切れず、犯人を捕まえた警察犬のように離さない。
谷川も面白がって、フランスパンを右に左に引っ張るとようやくミヒャンが噛み切ることができた。フランスパンには、しっかりと歯型状に跡が残っている。
「わー、とてもおいしいですネ。」
「よくそんなに口に入るね。」
「ワタシの口は、大きいデスカラ。」
そう言ってミヒャンは三日月のように綺麗な弧を口元に描く。
